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ルカ・ヨビッチはユニット次第。全ては補強次第の新戦力。

ルカ・ヨビッチのレアル・マドリー移籍が決まった。移籍金は推定6000万ユーロ、契約期間は6年らしい。まだ若いこともあって、期待は大きいようだ。
ヨビッチはここ2年で台頭したプレーヤーだ。ベンフィカ時代は鳴かず飛ばずで、あのコスタス・ミトログル大先生にも勝てないレベルであったが、フランクフルト移籍後は49試合で25ゴールを挙げているらしい。

筆者はスカパーには加入していないので、ブンデスでのプレーはよく知らないが、Unai Emery Leagueでのプレーをみる限りは、周辺環境で左右されるタイプの選手という印象である。フランクフルトの中盤以前は流動的だが、サイドにフィリップ・コスティッチ、右サイドにダニー・ダコスタ、中盤前方にミヤト・ガチノビッチ、前線のヨビッチの相方にアンテ・レビッチを置くのは不動のようだ。
コスティッチとダコスタは縦突破を武器とするウインガーらしいウインガーだ。コスティッチがウインガー的、ダコスタはSB的といったところか。ガチノビッチとレビッチは、前線でヨビッチのお守りを託された奴隷役といった印象。前者は主にトップ下で前線守備を整えながら飛び出しで、後者は推進力とキープ力を活かしてゴールに迫る。

ヨビッチを活かすヒントは、おそらくこのユニットだろう。ヨビッチ自体のプレーは、ゴールとアシストに特化していて、自分自身を活かす動きには長けているものの、味方を活かす動きに関しては不得手な印象だ。彼を帰結点として、攻撃を組んでいく必要があるのはクリスティアーノ・ロナウドと同様。味方との相性次第では失敗補強と化すだろう。
安泰なのはやはりカリム・ベンゼマだろう。奴隷としての性能はロナウドと組んでいた時期に実証されている。この世界最高級の前線バランサーの存在は大きい。
ヨビッチが到来したならば、ガレス・ベイルを左サイドに置いてもいいと思う。流石に退団濃厚で、守備面に問題があるかもしれないが。クロスに合わせる性能の高いヨビッチを活かすには、供給ウインガーは是非とも欲しいところだ。燻り気味のマルコ・アセンシオにとってはチャンス到来と言えるのではないか。
エデン・アザールは到来しても、ヨビッチとの組成は難しいのではないか。連携パサーの彼はそもそもレアル・マドリー向きではなくバルセロナ向きの選手。予想される移籍金や年齢含めて、メスト・エジルくらいに活躍してくれたら御の字といったところか。

少し前線の守備力が不安な上、最終ラインはこのチームで伝統的・相対的に最も弱いセクションなので、中盤は守備を計算させておきたい。カゼミーロは安泰だが、劣化がはっきりしてきたルカ・モドリッチ、守備力に関しては信頼の置けないトニ・クロースには一考の余地がある。とはいえ現陣容に代わりはおらず、補強も中盤にはあまり手が回らなさそうである。来シーズンは妥協したまま突入すると見るのが現実的か。

理想はキリヤン・エムバペを取り、ヨビッチをアルバロ・モラタ的に起用することだろう。ユニットで計算するしかないが、ユニットの組成は時間がかかりそうで、即効的ソリューションとはならないと予想する。エデン・アザールを獲得してもダブつきそうなのも含め、ジネディーヌ・ジダンがどう料理していくか。稀代の名将の神通力を持ってしても、流石に厳しそうではなかろうか。少なくとも来季は。

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