レアル・マドリーへの電撃移籍が決まった“日本の至宝”久保建英。元バルセロナ下部組織出身にも関わらず、18歳にしてそのバルサのライバルクラブに移籍するという決断に、大きな反響の声が上がっています。

一説によれば、バルセロナには下部組織出身者に対するサラリー・キャップが存在し、それ以上の要求を突き付けた久保との折り合いが付かず、ライバルへの“流出”を認めざるを得なかったといいます。一方、レアル・マドリーは年俸120万ユーロをポンと支払うようです。バルセロナの提示限界年俸は25万ユーロあたりだったとも言われ、レアル・マドリーの提示年俸とは大きな開きが存在します。

しかし本気になれば、サラリー・キャップなど平気で破るクラブであろうバルセロナが、サラリー・キャップを気にして獲得を断念したとは考えられないでしょう。まだ国際的には何も勝ち取っていないフレンキー・デヨングに高額年俸を提示したとされるクラブです。良いことか悪いことかはともかくとして、節操があるクラブとはとても言えません。存在しうるかも怪しい“サラリー・キャップ”は、獲得断念理由に使っただけでしょう。

レアル・マドリーの機関紙的存在であるマルカは『Transfermarkt』通りにバルセロナとパリ・サンジェルマン(PSG)は契約が2020年1月までだと思い込んでいた、とも書いていたようです。しかし、欧州のスカウトが『Transfermarkt』のように誤情報が多いサイトを信用することはまずもってあり得ません。狙っている選手の契約期間など、契約条項の詳細は代理人や照会を通じて探ります。バルセロナに於けるスポルト同様、機関紙がドサクサに紛れて大嘘を書いていると言わざるを得ません。
ただし、契約が今年6月1日に満了、もしくはなんらかの条項が発効したというのは状況証拠的に確実だと思われます。というのも、久保はコパ・アメリカを戦う日本代表に招集されていますが、リーグ優勝争いをリードしているFC東京に残留するならこの招集は拒否しているはずです。コパ・アメリカの参戦メンバーになった時点で、今夏の移籍は確実だったといえます。

話を元に戻して、ではなぜ、ポール・ポジションにいたはずのバルセロナは久保を獲得しなかったのでしょう。筆者が推察するに、「バルサとレアルの間で評価の乖離が起きていた」のではないでしょうか。

バルセロナは別に久保を評価していなかったわけではないはずです。ただ、その評価は「何が何でも取り戻したい」ではなく、(言い方は悪いが)「自分たちに従順ならば戻しても良いよ」くらいのスタンスだった。それもそのはず、バルセロナ下部組織出身の18歳とはいえ、極東のリーグで半年ほどレギュラーでプレーしただけの選手です。キリヤン・エムバペ(PSG)のような例外存在と比較するのはまだしも、年齢当時のマルティン・ウーデゴーア(フィテッセ/レアル・マドリーからレンタル中)や、フィル・フォーデン(マンチェスター・シティ)あたりにも実績では劣ります。欧州と親和性が決して高くない極東のリーグにおける実績は評価も難しく、あまり強気な要求は飲めないというのが正直なところだったのではないでしょうか。

では、逆になぜレアル・マドリーはバルセロナ、さらには金満クラブであるPSG以上の年俸を提示したのか。それは恐らく選手としての価値以上に、日本マーケティングに於ける広告塔としての価値に魅力を感じたからでしょう。
バルセロナは、純粋な戦力として以上に久保を見込む必要がない。日本マーケティングに於ける広告塔としては、提携企業に近い存在である楽天傘下のクラブでプレーしているアンドレス・イニエスタの方がハイバリューです。イニエスタという広告塔がいる以上、久保を広告塔として獲得する意味はなく、年俸1億円以上を支払って得るリターンは少ないという判断でしょう。
一方のレアル・マドリーは、こと日本でのマークティングという観点ではバルセロナに劣っていると言わざるを得ません。下部組織に中井卓大が在籍しているとはいえ、久保ほど日本人にとって身近な存在ではなく、広告塔として機能してはいないのが現状です。
だからこそ、120万ユーロを5年だか6年だか支払ってでも日本市場に於ける広告塔を獲得し、リターンを得ようとしたのです。その広告塔が化ければなおさら儲けものだ、という考えもそこにはあるでしょう。

残念ながら、値段的に見ると久保はまだ商業用獲得選手の域は出ていないように思えます。今風の言葉で言えば「ワンチャン狙い」枠で、「ワンチャン狙い」に「日本マーケティング」と「ライバルのイメージダウン狙い」が合わさって、レアル・マドリーのターゲットになったと見るのが妥当でしょう。

久保を獲得しなかったバルセロナも、久保を獲得したレアル・マドリーも至極普通の判断をしたと言えます。感情論が渦巻くのはわかりますが、どちらも有能でも無能でもないというのが正直なところです。

(投稿:変態糞幼女愛好家)