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2021年のタイインディーズシーンを独断と偏見で総括

2021年のタイインディーズシーンを独断と偏見で総括。

2020年よりもライブができない年だった。
第二波が2020年末にやってきて、2021年前半に収まりを見せたかと思いきや、すぐに第三波の到来。これが長かった。タイとしても夜間外出禁止、店内飲食禁止など、なかなかに厳しい措置。ゆえにイベントは全部中止か延期。去年よりもイベントが打てなかったんじゃないかな。バンドにとってはもちろん、サウンドエンジニアやスタッフやイベンターやプロモーターには極寒の時期。

フェスも同じく中止や延期が相次いだ。有名どころのBig Mountain Music Festivalは中止、CAT EXPOは延期(2022年2月開催予定)、Maho Rasopは2年連続の延期(実質の中止)となった。
その他、大小様々なフェスが中止や延期、もしくはオンラインでの開催となった。

インディーズがライブできる場所がそもそも少ないタイ。店舗の存続が危ぶまれたが、Speakerboxは存続しており、de communeも移転して営業再開予定。とある店は閉店になりそうで(まだ公になってないので名前は伏せる)、インディーズシーンの中でもさらにコアなジャンルにも快く場所を貸してくれるところだったので非常に残念。オーナーさんの次なる一歩にエールを送りたい。

インディーズシーンというと、今まで牽引してきたCat RadioやFungjaiの他に、本来はイベントスペース業であるLido Connectが若手インディーズをブッキングしてのイベントを仕掛けるようになり、第三極として名乗りを上げつつある。

インディーズレーベルではsundae recordsとNewEchoesが気を吐いた。
DOGWHINE、Soft Pine、Supergoodsと、ここ数年タイのアングラインディーズシーンを騒がせている良バンドが所属しているsundae records。Alec Orachi、Rosalyn、Numchaと、世界を狙えるポテンシャルのあるバンドを軒並みかっさらったNewEchoes。
他にも新たなインディーズレーベルが続々と産まれてきている。インディーズシーンがどんどん活況となっていけばなにより。
メジャー系では、相変わらずWhat The DuckやGeneLab所属バンドの躍進が目立つ。

タイは日本よりも早くデジタル化の波がやってきていて、ほとんどのバンド・アーティストがストリーミングサービスに登録している。CDがとっくに売れなくなっているので、基本的にはストリーミングが主戦場。コアなファンがついているインディーズバンドは、レコードやカセットテープで限定生産リリースなどもおこなっている。
デジタルディストリビューターは実質believeの一人勝ち状態。裏事情なので公には書けないが、あれをああするにはbelieveに依頼するしかないので、タイではそうなるよね。
こんだけ高い参入障壁作られちゃったら、もう入り込むの難しいだろうな。よっぽどのアイデアと、本気のアーティストファーストを実現できるデジタルディストリビューターが参入しない限りは。
一方で、データを分析して活動に活かす、みたいなサービスは耳にしない(僕が気付いてないだけかもしれないが)。ここには、もしかしたら勝機があるかもしれないけど、それも早くしないと地場か外資がさらっていくでしょう。

2022年、ライブの本格的な復活は2月以降かと予想している。Cat Radio主催の大型野外フェス「CAT EXPO」、日本を含めアジアのバンドを多数招聘しているプロモーター「Seen Scene Space」がイベントを企画しているのが2月。
思えば2020年、第一波の収まりとともにイベント本格復活の狼煙をあげたのもこの2つの団体だった。
ただし、オミクロン株の感染拡大とともに、タイ政府は緩和していた規制を厳格化し始めた。2021年と同じことにならないことを強く祈る。

音楽やエンタメ業界は、こういうとき、一番初めに影響を受け、復活は一番最後となる。
音楽を生業としている方々に仕事が戻り、また街で音楽が鳴り響きますように。

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dessin the world
日本とアジアのインディーズシーンを支援するためのレーベルです。 「日本の音楽をアジアに。アジアの音楽を日本に。」をコンセプトに、アジア音楽交流のための草の根活動をおこなっています。主に、タイのインディーズ事情について発信していきます。
日本・タイのインディーズバンドによるコンピレーションアルバムのフリーダウンロード「a plan named overlap」、アジアの現場で鳴っている音を共有するためのプレイリスト「Scenario Asia」はこちらから。

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