BBC Stacey Dooley Investigates - Young Sex for Sale in Japan について

表題の映像が公開されてから3日以上が経過し、脊髄反射的な怒りの声も、もう少し冷静な異論も出尽くした感があるので、私なりに補足できると思う点、並びに疑問が残る点をここに記す。

1)「2014年まで児童ポルノが合法だったというデマ」について
随所のまとめ等を拡散する際の見出しになっているケースが多い上記の指摘についてだが、これは誤解である。動画の通り、記者は「単純所持の罰則」について話をしている。

2)日本人や日本文化についての発言の行き過ぎ感

・番組の冒頭で、記者は東京が世界で最も好きな街だと説明した上で「それと同時に、少し不安も感じる。なぜなら、子供から搾取して良いと考える人々に遭遇することは、間違い無いからだ」と吐露している。

・JKカフェ取材の締めくくりでは、こういう発言もある。

3)編集と意訳で「言ってほしいことを言わせている」
以下のシーンでは「大人の女性ではなく、子供と話をしたい理由は何か」という問いに対する回答が描かれているが、伝えたいことを整理している最中に漏れた言葉から都合の良い要素を抜き出して「言ってほしいことを言わせた」ように見える。回答の英語字幕の和訳を表示する。

4)都合の良い誤訳
全体的に日・英の翻訳は割と正確な印象なのに、時折真逆に誤訳されている箇所があるので、意図的なものである可能性を疑ってしまう。
JKカフェの取材時の下記のやり取りは、性的な話をした主体が女子から客に変わっている。記者は「どちらにせよダメ」というスタンスだとは思うが、純粋に間違えたのか、大人が聞き手ではインパクトが弱いから改変したのかは微妙なラインだと思う。

また、着エロの映像制作者がインタビューに答えているシーンで「あなたの娘が6歳の時に、あなたがかつて撮影した6歳児のように起用されたら、どんな気持ちになりますか?」という問いに対して、語尾が聞き取りにくいのだが、インタビュイーは「無理心中するような気持ちで行く(実行する)かもしれませんね」と言っているように聞こえる。つまり、抵抗が無いといえば嘘だが、自分の娘にだったら<絶対しない>ことをやっているつもりはないという、ある種プロの意地的な発言だと思った(この点については私の勘違いかもしれない)のだが、英語字幕では、「娘を殺した後に自殺したい気持ちになるでしょう」となっている。

なぜこの点が引っかかるかというと、その後の記者の「(着エロ等の世界は)後悔の念や道徳的な葛藤は皆無…(中略)…全ては完全な自己欺瞞の上に成り立っている」というまとめに綺麗につながるには、「他人の子にはさせるが自分の子にするくらいなら心中する」という極端な偽善の証言が効いてくるからだ。

記者のスタンスは明快で、児童ポルノはダメ絶対、着エロもポルノなのでダメ絶対、幼く見える成人のAVや漫画における性描写も小児性愛を助長し、漫画に描かれた本来グロテスクな行為が平気になってしまうし、そのうち漫画では物足りなくなって実物を求めるようになってしまうのでダメ絶対、だ。

記者の意見はもちろん自由だし、本来であれば、大なり小なり賛同する人もいそうな問題提起をしている。しかし、プレゼンテーションが稚拙すぎるゆえ問題提起の部分が完全にないがしろにされ、タブロイド紙の偽ニュースと同レベルの扱いになってしまった。「日本を誰よりも愛している」という彼女が「日本人の意識を改革したい」と宣いながら、実際に成し遂げたのは、一部のイギリス人視聴者の間で日本の評判を落としたことくらいではないだろうか。






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