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物件、買いました。若者が集まる拠点「みんなの公民館」をつくります。

このたび、焼津駅前通り商店街の物件を購入することにしました。そして、来年夏頃の開館目標に「みんなの公民館まる」を開設します。

焼津駅前通り商店街で活動をはじめて早6年。まだ6年か、という感じもしますが、僕にとっての大事な場所になっています。そんな場所で新しい拠点づくりをはじめることにしました。


若者の地域交流拠点からはじまった商店街との関わり

もともと焼津駅前通り商店街と関わることになったのは、若者世代の地域交流拠点「若者ぷらっとホームやいぱる」を運営することになったのがきっかけです。

全国の地方都市と同じように若い世代の人口流出が激しかった焼津市。若い世代の視点をまちづくりに活かし、「わかもののまちづくり」を推進したいと相談され、商店街のなかに若者の拠点をつくる活動が2018年からはじまりました。

拠点とは言っても、一部屋だけのちいさなスペースでした。それでも、中学生や高校生世代を中心にたくさんの若い世代が集まってくれて、地域の大人の話を聴く会を開催したり、みんなでご飯を食べたり、手作りの場づくりを展開してきました。

また、当時大学院生だった自分が代表のNPOに施設運営の委託を出してくれた焼津市役所は本当にありがたかったなと感じています。当時の担当の皆さんには感謝です。

自分も、スタッフも、市役所も、手探りで、いろんなトラブルが起こったけど、それもまた良い思い出で、我ながら良い場所だったなと思います。

突然の閉館。事業は終了。

しかし、事業がはじまって3年目の2020年。この年に全国的に新型コロナウイルスが蔓延することになります。やいぱるはとても狭いスペースだったこともあって、すぐに休館の対応となり、翌年度の事業の見通しも立たなくなりました。

焼津市役所にはオンラインでの場の提供や、プログラム型の場づくりなど、様々な方法を提案してきましたが、うまく方向性のすり合わせることができず、最終的な結論は「事業終了」でした。

正直このときは虚しかったです。目の前には場所に来てくれる中高生がいるのに、大人都合で居場所がなくなってしまう。申し訳ない気持ちでいっぱいでした。でも、それは自分の力不足でもあります。

世界で一番、こども・若者に優しい商店街に

もともと若者の地域交流拠点「若者ぷらっとホームやいぱる」を開設したときに構想していたのは、商店街全体をこども・若者の居場所としていくことです。

ひとつの場所、ひとつの居場所では、こども・若者の居場所に多様性がありません。「こっちのほうが好き」「あっちのほうが私に合う」「今日はこっちの気分」と、街中にいろんな場所がある方がこども・若者にとっては豊かなまちになると考えています。

だから「やいぱる」を起点にしながら、こども・若者の居場所をまちに滲ませていくのがひとつの目標です。

そんな考え方を表現するためのひとつの運動としてはじめたのが「みんなでつくる、みんなのアソビバ」です。商店街に人工芝を敷いて、みんなの遊び場をつくるプロジェクト。

ドイツを訪れた際に、まちの様々な公共空間が遊び場として使われているのに衝撃を受けて取り組み始めたのがきっかけで、自分を含めた有志3名からスタートしました。

年に2回だけの開催ですが、アソビバはもう6年目になっています。実行委員会のメンバーの層も厚くなってきて、だいぶ地域の中に定着してきたように感じています。

みんなの図書館さんかくという実験

その次にはじめたのが「みんなの図書館さんかく」です。

やいぱるをやっているときからずっと感じていたのは、行政事業だからこその危うさです。行政事業だとやいぱるのように突然事業がなくなってしまうこともあるし、行政ならではの縛りもたくさんあります。

さらには言うまでもなく人口減・税収減の社会では、なんでもかんでも行政頼みのまちづくりには限界があります。住みたいまちは自分たちでつくる必要があります。

これを「私設公共」の概念として掲げ、さんかくという社会実験をはじめました。本当は行政が運営するものを民間ベースでやってみようという実験です。なんで図書館だったかというと、単純に自分の家の本棚が溢れていたからです。笑

さんかくの名前は、三角形ではなく「参画」。それを実現するシェア型図書館を実現する「一箱本棚オーナー制度」の仕組みを考え、多くの方に参画いただきながら間もなく4年目です。

ありがたいことにこの仕組みは全国に横展開していって、気が付けば全国70館以上にも広がっています。さんかくをはじめたことで、同じ問題意識を持つ仲間とも多く出会うことができました。

「みんなの公民館」というコンセプト

さんかくで大きな手応えを感じつつも、自分の頭の片隅にはずっと「やいぱる」のことがありました。どうにか若者の居場所を復活させられないかと考えていました。

そして、図書館のネクストプロジェクト「みんなの公民館」というコンセプトを思いつきました。それも、こども・若者まんなかの公民館です。

そんなことを考えて物件の候補を探しているときに、たまたまさんかくの目の前の物件が売りに出る話が浮上しました。この話を聞いたとき、お金の算段もなにもない状態でしたが、「買いたいです!」と口が動いていました。

そこから銀行と相談してお金の算段をつけたり、不動産屋さんと調整をしたり、事業計画を詰めるためにいろんな人に相談をしたり…。(この半年ははじめてのことばかりで目まぐるしかったな)

そして、本日12月19日に支払いを終え、無事に物件取得をすることができました。パチパチ。

もともとは塩川新聞舗という新聞屋さんをやっていた物件で、その後に地元の青年会議所が事務所として利用をしていたり、地域のなかで重要な役割を果たしていた場所です。

銀行の担当の方からは「こんなに楽しげな融資実行ははじめてですよ!」と言われるくらい物件をお持ちだった塩川さんや不動産屋さんとは和やかにやり取りをすることができて、「オープン時はお招きします!」とお話しをしたところです。

集まる、はじまる。まる。

みんなの公民館には「まる」という名前をつけました。さんかくの次なので「まる」です。笑(「しかく」もいつかつくらないと…。)

人が集まり、そこからなにかがはじまる。そんなこと考えて、名前をつけてみました。

とにかく物件が広いんです。屋上もあるし、庭もあるし、とにかく広くて持て余してしまいそう。笑

「みんなの公民館」という名のもとに、10代・20代が集まる場所、大人の社交場(スナック)、新聞社、コワーキングスペースなどなど、いろんな機能があります。乞うご期待。

人生の寄り道ができる場所をつくりたい

この場所のコンセプトは「寄り道」です。

ちょっと個人的な話になるのですが、自分の中学生時代の居場所はゲームセンターでした。毎日毎日ゲーセンに通って、パチスロを打つ。それが自分の中学生のときの過ごし方です。

いま思うと、なんてムダな時間だったんだ…と思ったりもしますが、大人になったいまだからこそ、そんなムダな時間が自分を築き上げてきたとも振り返ることができます。大人から見るとムダに思えるような時間も、こども・若者にとっては、自分自身を考えたり、向き合ったりする大切な時間です。

一方で、いまのこども・若者たちを見ると、とても忙しく、余裕がない生活をしています。

ベネッセ総合教育研究所,第57回「ゆとり」がない子どもたちの放課後

ベネッセ総合教育総合研究所が実施した調査によれば、小中高生で日々の生活が忙しいと感じる割合は5割以上です。高校生になると7割にもなります。

部活に習い事、やることだらけで遊んでいる暇もありません。これはどう考えても大人の責任で、「効率」や「生産性」という言葉でこども・若者たちをがんじがらめにしてしまいました。

そうすることによって、こども・若者たちは生活から「あそび(余白)」を失い、意味のあることだけをするようになりました。その結果、自分迷子になる子が増えたように感じるし、非効率なこと、非生産的なことは無意味なことになってしまいました。

たしかにゲームセンターで過ごした時間には意味はありません。なにかを生み出すどころか、お金をムダに浪費していきました。

でも、そんな無意味な時間のなかで自分と向き合ったことが、いまの自分に大きく結びついているといまだから言えるような気がします。

だから、別に意味がなくても、誰からも認められなくても、自分の好きなこと・興味のあることを突き詰められる場所。人生の「寄り道」になるような場所をつくりたいと考えています。

開館は来年夏頃の予定。

ということで、今日のnoteでは、開館に向けての思いを綴ってみました。具体的なことはこれからちょっとずつ公開していきます。いろいろイベントも企画していきます。

はじめての何千万円レベルの借金で、すでにドキドキしています。でも、ここでとったリスクにはきっと意味があると思います。人生は一回しかないわけだし、とれるリスクはどんどんとります。笑

そして、もちろん運営も完全民営。行政からの委託などではありません。さんかくに次ぐ、新しい公民館モデルを構築していきます。

物件を買ったあとすぐの記念写真は栗下さんと!

 GW周辺でクラウドファンディングも計画しています。支援する準備もしていてください。笑

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