地方都市で秘密基地をつくる

こんにちは。遊びの備忘録です。今回は秘密基地を作っていた頃の話です。

僕の住んでいた地域はいわゆる住宅街で、山も海もない退屈な場所でした。しかし暇を持て余した少年たちにそんなことは関係ありません。僕たちは市内外のあらゆるところに秘密基地をつくりました。これまでつくってきた秘密基地について思いつく限りのことを書いていきます。


少年は橋の下へ

僕が初めて秘密基地をつくったのは小学三年生の時です。いつものように遊んでいた僕と友達のSくんは、ひょんなことから近所の川に向かいました。その川は生活排水が流れる川だったため子どもたちが遊べるほどの整備はされていませんでしたが、階段で川辺に降りることは出来ました。川辺に降りた僕とSくんはそのまま川辺のコンクリートでできた細い道を進むことにしました。道と言っても川の護岸を目的としたコンクリートの上であり、本来は人が歩くことを想定して作られていません。その道を進んでいくと橋の下に到着しました。この時僕は衝撃を受けました。普段何気なく歩いている橋の下に、人が集まり生活できるスペースが存在していたからです。橋の下といっても陸地と橋の境目、いわゆる橋の付け根であり川沿いを歩いている人から見られることもありません。

無題

この場所を見つけた僕とSくんはすぐに近所のスーパーから段ボールを貰い座る場所としてコンクリートの上に敷きました。それだけでなくライトやペン立てを置くことで秘密基地で生活が出来るようにしていきました。これが僕のつくった最初の秘密基地です。

秘密基地、増える。

一つ目の秘密基地をつくった直後から、僕や友達は次々と橋の下に秘密基地をつくっていきました。二つ目のの秘密基地は一つ目から徒歩8分ほどの橋の下です。この場所には三つの橋が横並びになっていました。まず中央にバイパスの大きな橋が、その両側に細い道路が一本ずつ並んでおり橋の下からバイパスの高架下に侵入することが出来ました。また橋の付け根のスペースが広かったため、段ボールを敷いて寝転ぶだけでなく突っ張り棒を設置してかばんを掛けたりもしていました。

三つ目の秘密基地は一つ目の秘密基地から北に自転車で10分ほど行ったところにある橋の下に作りました。この場所は主に北の小学校の友達であるNくんとの秘密基地として使いました。『10円いれて』と書いた箱を設置したり、川遊びをして濡れた服を突っ張り棒で干すなどしていました。

段ボールや生活用品などを持ち込んだ秘密基地は以上の三つですが、偶発的なアジトとして利用していた秘密基地を挙げると約10か所に秘密基地がありました。


なぜ秘密基地をつくるのか?

なぜ小学生時代の僕はこれほどまで秘密基地づくりに熱中したのでしょうか。まず一つの理由として考えられるのが『子どもだけの居場所』です。上にも書きましたが僕の住む町はほとんどが住宅地でありどこに行っても大人の目に入ってしまいます。そんな状況の中で自分たちだけが知っている場所を求めていたのだと思います。二つ目の理由は『秘密を通した友情の強化』です。秘密基地には『本当に仲の良い友達にしか場所を教えてはいけない』という暗黙の了解があります。そのため秘密基地に来るのは特定の友達と遊ぶ時だけであり、このような秘密の共有を通じて結束を強化していたのだと思います。実際、秘密基地では普段は話さないような少し踏み込んだ話をよくしていた記憶があります。

以上の二つが、僕の考える秘密基地をつくる理由です。


まとめ

大学生になり、秘密基地に行くこともなくなりました。現在はどうなっているのだろうと気になる一方、昔のように無邪気に川のフェンスを越えて橋の下へ潜り込むことに抵抗があるのが現状です。おそらく段ボールもすべてなくなり当時の生活感は残っていないのでしょう。もしかしたら今の小学生が使っているかもしれません。真相はわかりませんが、こうやって思い出の場所に思いを馳せるのも良いものですね。

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