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The Met Unframed を体験した感想

The Met Unframed とは

 The Met Unframedとは、アメリカ合衆国ニューヨーク市マンハッタンにあるメトロポリタン美術館と同国大手携帯電話事業者Verizonが共同開催している、双方向性があるバーチャルアートを体験できるウェブ上のコンテンツです。モバイル専用の無料コンテンツで、PCの場合サイトのQRコードから飛ぶことで誰でも体験することが出来ます。(現在はサービス終了)

具体的な内容

このコンテンツは、 人  と  アートやアイディア  をコネクトする という使命のもと開発・提供されていて、Verizonの言葉を借りると、ミュージアムへの仮想的なドアを開くものという位置付けになっています。

1, バーチャル化されたミュージアム内を歩き回る

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 上記の写真のように、実際の美術館を模して作られたバーチャル美術館内を、GoogleEarthと同じ要領で移動することができ、移動の際は足音が鳴ります。中心にThe Great Hallがあり、そこから種類別のギャラリーにアクセスすることが出来ます。ミュージアム全体に言えることとして、BGMが流れ続けていて、別の部屋へ移動すると曲が変わるようになっています。実際の一般的な美術館では、騒音を極力立てないように注意を呼び掛けるほど音には繊細で、パブリックなBGMをかけない場合が多いです。しかし、バーチャルコンテンツの場合、各々がパブリック(と本来認識していた)音を調整できる権限を持っているため、起動時から無差別的にBGMを流すことが出来ます。また、このBGMは空間的な聞こえ方になるように、パンニングやリバーブの処理がされています。美術館のような、音の聞こえ方に特徴がある構造の建物や環境をバーチャル表現する場合、音の立体的的デザインから、無意識に空間を連想させることがとても有効と感じました。

2, 展示されている絵や像をARで表示する

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オブジェクトのクオリティが高いことを除けば、平凡なコンテンツに見えますが、実際に体験して感じたことは 楽しい です。これには、The Met Unframed独自のフローが関係していると考えます。

1,自分の家を美術館化できる
 平面検出により、壁に絵を描けたり、床に像を立てることができ、自由に場所・大きさ・向きを決められます。
これの楽しさの要因の解像度上げる

2,ゲーム性付与や条件付き配置による体験のプレミア化

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 この写真はバーチャル美術館内のある展示物をタップしてからAR表示するまでのフローです。AR表示するためには展示物によってそれぞれのミニゲームをクリアしなければなりません。ゲーム内容は、パズルゲームから、展示物にまつわるクイズ等多種多様です。現状のARサービスにゲーム性を付与させる必要性とそれによって生まれる満足度の向上については、MESONのKAJIさんのnoteに詳しい説明が書いてあるので興味のある方は見てみてください。

終わりに

  元々フィジカルだったイベントがバーチャルで再現されるようなことがコロナウイルスをきっかけに増えてきました。2020年末の紅白歌合戦は代表的で無観客で実施されました。しかしそこには無観客を生かした工夫がたくさん見られました。GReeeeNの演出、観客席を使ったパフォーマンス、観客席からの視線を遮るカメラワーク、レーザー照射の自由度増加による表現の幅の広がり等他にもたくさんありました。バーチャルや無観客ならではのことがたくさんあり、そこにあらゆるチームがリソースを割いていると思います。そんな中、私は メッセージドリブンのコンテンツが強い と思いました。The Met Unframedに関しては、コロナ化で来場できない人たちにアートやアイディア  をコネクトしたいというメッセージがありますし、紅白は人に希望を持ってもらうという不変的なメッセージがぶれていなかったそうです。逆にメッセージが弱かった2019年の紅白では、美空ひばりさんの紅白の件で物議を醸す演出に繋がってしまったという話を聞きました。フィジカルだったイベントがバーチャルで再現する際に受け継ぐべきものは表面的なデザインではなくメッセージだと思います。

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