【無料】日本経済は終わったはずなのになぜ日経平均株価は史上最高値なの?
この記事は
なぜ海外投資家は日本株を買うの?
月末の土壇場で更新する短めの記事です。
日経平均株価はバブル経済をついに乗り越え、史上最高値を記録しました。
理由は色々とあるんでしょうけど、一般的に言われるのは以下の通り。
そもそも日本株は割安な株価で放置されていた
円安により海外勢はさらに割安で日本株を買えるようになった
長引く不景気の中で企業の足腰が鍛えられた
日本は終わったというイメージが世界的に定着していた
日本企業が投資家に対する優遇を始めた(増配・自社株買い・IR強化)
日経平均株価への寄与度が高い半導体関連株の絶好調
率直に業績が良い
中国経済の停滞と国際情勢の悪化で世界のマネーが中国から日本へ移転
そもそも儲かっていたところ、株主との対話や還元を開始し、中国経済の失墜によるリスク回避が重なり、「あれ?日本株お得じゃね?」となった。
昨年、割安の日本株にいち早く目を付けたのはバフェット爺さんでしたね。
円安なのは日本の未来が暗いと判断されてるから!
日本の未来は暗い! 国民一人当りの借金はフンダララ!と、財務省の犬みたいなコメントを出すジャーナリストは多いですけど、そんなことを理由に円安だなんて嘘八百です。
為替レートは二国間の需給で決まります。その国の将来を悲観したからって安くなるわけじゃない。
円ドルのレートはこんな感じ。
バブル絶頂期は今と似たような140円-150円。
逆に、バブル崩壊後は円高が進み90円台。東日本大震災時には80円台と、史上最も円高が進みました。
バブル崩壊真っ最中や、東日本大震災直後、世界は日本の未来を素晴らしいと判断して円を買ったんでしょうか。
んなわけないだろ。
円安の理由を「日本の未来が暗いから!」などと言う人は、歴史を知らない嘘つきなので注意しましょう。
日本が停滞している間にアメリカの株価は10倍!のインチキ
こういうグラフ、見たことあるでしょうか。日本のダメさを強調すべく多用された、日米の平均株価比較です。
2022年までのデータですけど、こんなものを見せられたら「日本オワタw」と感じるようになります。
でもこれ、日本がクソ強かった(アメリカがクソ弱かった)バブル崩壊直前の最高値を100としてるからこんなグラフになるんです。
逆に、バブル崩壊後の最安値を100にするとこうなります。
どうです? 見えてくる景色、全然違うでしょ。
「日本はGDPでドイツに抜かれた!!」とキャホキャホしてた人も、ちょっと冷静になろう。民主党から自民党へ政権の移った2012年以降、日本企業は奇跡の復活を見せてるんですよ。
実質賃金は上がってないぞ!
実質賃金の停滞を根拠に、日本人を必要以上に「苦しい人々」と設定したがる人も後を絶ちません。確かに日本の大企業は、リストラで浮いた金を社内に貯め込み、投資もしなけりゃ社員へ還元もしない。株主にすら配当をケチった。ほんとクソでした。
でもこれを見て。
失業率の推移です。
日本は世界も有数の「失業しない国」です。
どれほど欧米好きでも「失業した方がいい」なんて人はいませんよね。
リストラをしたといっても失業率は低い。日本企業は、給料を出し渋るものの首を切りません(法律上、解雇しにくい)
上記グラフにある2009年の失業率は5%を超えています。働き口のない状況は本当に辛く、どんな国でも失業率の上昇は政変へつながります。
事実〝年越し派遣村〟なんてニュースを多く目にした2008年は民主党の支持率が自民党を上回り、麻生政権は風前の灯火。翌年の政権交代へつながりました。
それでもアメリカやドイツより失業率は低かったんだから、ねぇ。
「日本は実質賃金が低い!」と怒ってる人は、以下の点を考えてほしい。
マスコミ「X国の実質賃金は1億万円! 日本の20倍!! 日本死ね!!」
ってそりゃ、上位1/5に入れる上級国民ならX国でもいいけど、無理っしょ。僕なんて絶対に失業者ですわ。
実質賃金の罠
さらにこちら。
これ、わかるかな。
実質賃金で比べた場合、その差は驚きの120万円。2010年の日本すげぇ。
でもこれ、本当に2010年の方が幸せ?
絶対に違うよね。
少なくともBさんとCさんは地獄でしょ。格差社会だよこんなの。
2023年なら、失業していたBさんとCさんも低賃金ながら仕事を得られた。失業していた人だから、すぐ高給取りにはなれないけど、無職よりマシだよ。他の人達も収入が減ったわけじゃない。
でも、実質賃金だと「2010年の方が良かった!」となってしまうのね。
実質賃金ばかり強調する人達には注意しましょう。そういう人は絶対に失業率を語りません。
数字は嘘をつかないけど、嘘つきは数字を使うんです。
ついでに、野党支持者やマスコミの大好きな北欧フィンランドと日本の失業率を比較してみましょうか。
フィンランドは手厚い社会福祉で、働かずとも死なない?
そういう生き方を求めるならフィンランドもいいのかもね。
でも、フィンランドって徴兵あるんだぜ?
日本の問題点ってなにさ
最後にGDPの成長率を見てほしい。
経済をGDP総額ではかると一人当りの豊かさを把握しにくくなるものの、やはり日本の低成長と停滞感の根源はここだと思う。
伸びてないんだよね。2009年をスタートラインとしてもなお、この低成長。
なぜかってーと、GDPとは付加価値の総額だから。
かみくだいて言うと、日本は大きな付加価値を生めない国なんです。
例えばこんな感じ。価格や中身は適当です。イメージを伝えたい。
加工するたびに価格は上がる。これが〝付加価値〟です。
日本の強みは原油から良質なナフサを取り出したり、高品質のプラスチックを作り出す部分。鉄鉱石から世界一の鉄板を作ったりね。
一方でアメリカの強みは、1個10万どころか20万のiPhoneを作っちゃうところ。
日本の場合、トヨタの成功と家電メーカーの没落はこれで説明できます。
最終商品は工業製品とは限りません。ITを駆使したサービスでもそう。末端のプログラマーより、最終商品として提供する会社の方が儲かる。
日本の弱さ、見えてきませんか。
日本の強みってなにさ
ほんじゃ、日本はダメダメかってーと、もちろんそんなことはない。ダメなら海外投資家は日本株を買いません。
昨年から今年にかけて、海外勢は日本株を買い続けました。
日本の強みは、高品質な原材料を生む力と、半導体関連株に代表される「製造するための機械」を作る力です。
また、失われた30年を経てもなお、製造業におけるフルラインを維持し続けたのは特筆に値します。価格さえ考えなければ全てを国内でまかなえる。
原材料をぶっ込むだけで自動車まで作れちゃう国は、世界中を見渡してもアメリカとドイツ、日本くらいじゃないかな。
極端な話、原油と鉄鉱石を持ってくれば、日本は自動車だろうと家電だろうと作れてしまう。
失われた30年でも、なんとか製造業のフルラインを維持できた。圧倒的な底堅さこそ日本の強みなんですね。
だから30年経っても、日本は終わらなかった。
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