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JOKER  偏愛記録①

 GWに三連休がとれた。
早速JOKERを見直してテンション爆上がりした私。
ストーリーに沿って特に好きな場面やセリフを紹介していこうと思う。

1. オープニング
鏡の前でピエロのメイクをするアーサー。
手で口角を引っ張って無理やり笑顔を作る。頬には一筋の涙が流れる。

映画.COMより引用

街中でピエロの仕事をしている途中、悪ガキに絡まれてボコボコにされてしまう。路地裏に横たわるアーサーから、カメラが引いていき、そのまま画面いっぱいに「JOKER」のタイトルコール
開始からわずか数分間で、しがない中年男性アーサーの悲哀がよくわかる。
ぐっと心を掴まれる完璧なオープニングだ。

2.不幸が続くアーサー

カウンセリング中の場面。
病的に笑い続けるアーサー。
”Is it just me, or is it getting crazier out there?”
俺だけがおかしいのか、それとも周りが狂ってるのか?

映画が開始してから最初のアーサーのセリフがこれだ。
カウンセラーはあまり真剣に聞こうとはしない。

自宅には介護が必要な母親がいる。彼女はアーサーのことをHappyと呼ぶ。
母と一緒に憧れのコメディアンであるマレー・フランクリンの番組を見ながら、
実際にスタジオへ観覧しにいく妄想をする。
その中でアーサーは誇らしげにこう述べる。
”She always tells me to smile and put on a happy face.
She says I was put here to spread joy and laughter."
母は僕にいつも笑って、楽しそうな顔をしなさいって言うんだ。
僕はみんなを笑顔にするために生まれてきたんだって。

サムネに使用した写真の通り「Put on a Happy face」という母親に言われた言葉はアーサーに大きな影響を与えている。「楽しそうにしなさい」というニュアンスであり、心から笑うのとは訳が違う。まさに道化であったアーサーを長年縛り、苦しめてきたことが伺える。
また、妄想の中でマレーから「君のような息子が欲しい」と言われていることから、アーサーはマレーに理想の父親像を重ねていることが分かる。

職場で同僚のランドルから強引に銃を押し付けられる。
断れずに受け取るアーサー。
その後ボスに呼ばれ仕事のことで叱責されてしまう。
怒りが爆発し、路地裏のゴミ袋を蹴りまくる。
アパートのエレベーターで住人の女性と出会う。
自分への好意を感じたアーサーは女性をストーキングしてしまう。

部屋で一人、ネタ帳にジョークを書き留める。
"The worst part of having a mental illness is
people expect you to behave as if you don't."
精神疾患を持つことで何より最悪なのは、
あたかもそうでないかのような振る舞いを求められることだ。
ノートを眺めてにんまりと笑うアーサー。
彼自身はブラックジョークだと思っているようだ。

小児病棟で歌とダンスのパフォーマンスをしていた最中に、うっかりポケットに入れておいた銃を落としてしまう。すぐさま職場にバレてしまい、ピエロの仕事をクビになる。
アーサーは失意の中、地下鉄に乗り込む。

3.失望は絶望へ

地下鉄の中で3人組の男たちに絡まれ暴行を受ける。
耐えきれずに銃の引き金を引き、3人を殺害してしまう。動揺するアーサー。
走って公衆トイレへ逃げ込むが、ダンスを踊っているうちに落ち着きを取り戻し、
次第に高揚感を覚える。

映画.com から引用

アパートに戻り、例の女性の部屋に行って強引にキスをする。
女性もそれを受け入れ、二人は部屋の奥へと消えていく。

再びカウンセリングの場面。
相変わらず話を聞かないカウンセラー。
アーサーは淡々と訴える。
"I don't think you ever really hear me.
You just ask the same questions every week.
“How's your job?””Are you having any negative thoughts?”
All I have
 are negative thoughts. But you don’t listen anyway."
あなたは一度だって僕の話を真剣に聞かないよね。
毎週同じ質問を繰り返すだけ。
「仕事はどう?」「ネガティブな考えは浮かぶ?」
ネガティブな考えしか浮かばないさ。でもどうせ聞いてないよね。

I said, for my whole life, I didn't know if I even really existed.
But I do. And people are starting to notice.
僕は今までの人生の中で、自分が本当に存在しているかどうかすら分からなかったって言ったんだ。でも僕は確かに存在している。
そしてようやく他の人にも認識されるようになってきてるんだ。

コメディーショーに出演するアーサー。
例の女性とデートへ出掛けて楽しい時間を過ごす。
女性を見つめるアーサーの優しい眼差しが印象的だ。

映画.comから引用

母親が市長候補のトーマスウェインに宛てた書いた手紙を読んでしまい、彼が自分の父親だという事実を知る。真相を確かめるためウェイン宅へと訪問するが門前払いされてしまう。帰宅すると倒れた母親が救急搬送されるところだった。
母親の病室でマレーの番組が流れる。なんと自分のショーが紹介されていた。
ついに認めてもらえるのかと心を躍らせるアーサーだったが、実際はネタにされていることが分かり大きなショックを受ける。

トーマスウェイン本人に会いに行き、自分の父親なのか問いただすが、お前は息子ではないし養子だと一蹴されてしまう。
自宅に戻り半裸で冷蔵庫に入るシーンはホアキンのアドリブらしい。
マレーの番組から招待の電話を受ける。

自分が養子だという事実を信じられないアーサーは、かつて母が入院していた病院に行きカルテを盗む。そこには母が重度の精神疾患を抱えており、自分は養子であること、母のパートナーからの虐待で脳に障害を負ったことが書かれていた。自分の笑いの発作は後天的なものだったのだ。
病院の踊り場で一人涙を流すアーサー。
失意のどん底の中、いつもの女性の部屋へ行くが、女性はただ驚くばかり。
今までの彼女との思い出は全てアーサーの妄想だったことが判明する。
”I had a bad day."
今日は最悪な一日だった。
動揺する女性に対して、ぼそっと呟くアーサーが切ない。

映画.comから引用

病室にいる母のもとへ。
彼女がHappyと問いかけるとアーサーはおもむろに話し出す。
Happy…I haven't been happy one minute in my entire fucking life.
Do you know what's funny?
I used to think, that my life was tragedy,
but now I realize, it's a fucking comedy.
ハッピーか…こんなクソみたいな人生で、一度だってハッピーだったことはないよ。何が面白いかって?僕は今までずっと自分の人生が悲劇だと思ってた。
でも今分かったんだ。全ては最高の喜劇だってことが。

母親の顔に枕を押し当てて殺害し、病室の窓から空を仰ぐアーサー。


次回、ジョーカーの誕生へと続く。






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