50歳無職ユーチューバー・ピロヤンがなぜいま急成長するのか

50歳無職で貯金を食いつぶすユーチューバー・ピロヤンがいま、急成長している。2018年12月、動画投稿開始。2019年3月11日にチャンネル登録1000人を突破。同月3月15日、チャンネル登録2000人を突破。本稿を執筆している3月17日時点では2500人を突破し、なお成長を続けている。

はっきり言えば、ピロヤンは冴えないおじさんである。家族もおらず、動画の内容も、ただご飯を食べて貯金残高を公開しているだけ。盛り上がりもしない、ドキドキもワクワクもしない。仕事もしておらず、現役時代の貯金を食いつぶしている。編集も粗く、間延びしており、ふつうのユーチューバーとしてみたときに、見所は少ない。


しかし、ピロヤンは熱狂的なファンからの支持を受けている。「ちゃんとした大人」がピロヤンにハマっており、修正申告を求められて追加で12万を払った結果口座残高が激減した、という内容の動画は5万再生を数え、最近の動画の平均的な再生回数は1万回前後となっている。ふつうユーチューバーは、チャンネル登録者の1/3程度の平均再生回数になるので、ピロヤンは事実上チャンネル登録者数3万人程度の潜在的な価値を持っている。なぜ、50歳無職のチャンネルが熱狂的に支持されるのか?

【視聴者はみな潜在的にピロヤンである】

仕事や生活に不安や不満がないひとはいない。直接、嫌な上司や仕事に耐えているひとや、収入が低くて生活がままならないひとはもちろん、現在順風満帆な人生を歩んでいる人も、将来の景気動向だったり、自分の健康だったり・・・一点の曇りもないひとはいないだろう。

仕事をやめたらどうなってしまうんだろう。貯金がどの程度あればリタイアしてもいいんだろう。

仕事をしてないってやばくないか?どうなっちゃうんだ?

学生でも、自分はどういう仕事が向いているんだろう。

一度も考えたことがないという人はいないのではないか、という数々の問いに、真正面から身をもって答えているのがピロヤン である。

50目前にして高卒から30年勤め上げた仕事が嫌になり、やめてしまった。年金受給までには時間があるなか、リタイアするには心もとない額・1100万円ほどの貯金で仕事をやめた。家賃6万円の賃貸物件に暮らし、家族はいない。自炊はできないのでせず、毎日コンビニ弁当やファストフードを食べる。独居老人候補である。

我々はみな潜在的にピロヤンである。仕事もせず、家族もおらず一人になることもある。「結婚せずに、仕事をやめて、どうするの。やばいよ。」"やばくなった"男がそこにいる。

【仕事を辞めても何も起こらない】

ピロヤンの日常は平穏そのものだ。朝起きて、ご飯を食べて、散歩をし、寝る。そして貯金残高だけが減っていく。何も起こらないが、なにしろ働いていないのだ。かといって、厳しく節約をする様子もなく #贅沢はやめられん といいながら、高いコーヒーや好きなCDなどを買う。月の支出は30万円ほどだ。普通にそろばんをはじけば3年ほどで貯蓄は尽きる。それにもかかわらず、ピロヤンは淡々と数字を読み上げるだけで、焦る様子もなく、常に上機嫌だ。それを「終わってる人間だ」と嘲笑するコメントも散見される。

しかし、なぜ"終わってる人間"をわざわざ見に来て、コメントまで残していくのだろう?そう考えると、コメントをしている人間の「俺は仕事をやめたら終わってしまう、こんな貯金ではリタイアできない、俺はコイツとは違う、頑張らなくては」という悲痛な決心が感ぜられないだろうか。そして、俺はコイツとは違うという安心感を得ながらもピロヤンに将来、または現在の自分の姿を投影しているのが現在の人気の理由だと筆者は考えている。

ピロヤンはただ日常を記録しているだけなのに、お前はダメだ!というコメントが殺到し、ピロヤンはそれを華麗にスルーする。お前はダメだ!と言われるが億劫で仕事をやめた側面もあるはずだ。仕事をやめてまで手に入れた自由、その結果としていつも上機嫌な彼からはなんの悲壮感も感ぜられず、むしろコメントする人間たちにこそ悲壮感を感じざるを得ない。

【視聴者はピロヤンの嫁である】

コメント欄には「野菜食べてください」「病気に気をつけて」といったコメントがされる。ピロヤンの体は気遣われており、それにピロヤンは答え、サラダを食べたりする。これは結婚生活そのものだ。

筆者も結婚前は、毎日カップラーメンのようなひどい食生活をしていたが、結婚してからは野菜、たんぱくしつ、炭水化物をバランスよくとるようになった。妻あってのことだ。

孤独死の問題も取りざたされているが、ピロヤンは2日に一度動画を投稿しており、その動画投稿がとまればみなが心配するだろう。病院へかけつけるひともでるかもしれない。となれば、これは視聴者は家族も同じだということだ。

ピロヤンは、晩婚化や少子高齢化の結果として生まれる独居老人問題について、「かわいいおじさん」でいればよいという一つの回答を提示している。

【ピロヤンは人間の真理である】

筆者は宗教をメインにしたチャンネルを運営しているが、ピロヤンのチャンネルは宗教が教える真理とも合致する。生老病死だ。ひとは皆、生きて、老いて、病を持って、死んでいく。いつまでも幸せは続かない。得たものは失われるし、時が来れば死ぬ。そのときには、どんな立派な仕事をしていても、働いていなくても、区別なく死んでいく。貯金もあの世へは持っていけない。明日事故にあって死ぬかもしれない。

そのことがわかっているのに、我々は将来のことを設計しようとする。平均寿命まで生きる前提で、現在を犠牲にする。それがどれだけ愚かなことか。

ドキュメンタリー番組に出演した、余命2ヶ月の女性が死にもメリットはあるとしていかの項目をあげた。

以上の項目をピロヤンははからずもクリアしている。年金も気にせず、貯金も気にせず、不安な様子はみえず、苦しい思いをしているようにも見えない。チャレンジというか何もしていないし、しがらみもなく、無理して早起きもせず、遊びたいときに遊び、寝たい時に寝ているように見える。


これは宗教的な規範を内面化しているともいえる。ドキュメンタリーに出演されていた広林さんは死を目の前にして将来のことなんか考えるのはばからしいと気づいたということだが、人は誰でも死ぬわけで、生きているかもわからない将来のためにいまを犠牲にするのはばかばかしいことなのだ。


【まとめと種明かし】

社会問題を人間の真理に根差した形で体現するピロヤンに人気が集まるのは当たり前のことであり、ピロヤンの人気は今後ますます増していくだろう。

実は、私はこれを狙って起こした。ピロヤンの生きざまが非常に人間の本質的なとこをついているので、演出を間違えなければ売れるだろうと踏んでいた。それがこちらの動画で、「半世紀生きた、もう働きたくない」「贅沢はやめられん」といったワードやチャンネル名の「50歳無職の日常」も私が命名した。こちらの動画参照

【50歳】動画にダメ出し?しょぼい起業で生きていく出版パーティー【無職の日常】

そしてピロヤンは、私の期待を大きく超えた動画を期待を超えるペースで出し、期待を超える速度で人気を集めている。今後もそれは止まらない。当初の予定では3月末に1000人いくなと計画していたが、3月に急成長。1000どころか2000を超えた。

月末には、家賃とカードの支払で、とうとう貯金残高が1000万円を切る。ただでさえ月末はみんながみにくるなか、人気をもって、1000万円を切ったらどうなるのか。今月末には1万人を突破するのではないかと私はみている。


人間の真理に深く根ざしたコンテンツは売れる。それを今後も示していきたいと思う。


最後に宣伝

しょぼい起業で生きていく の理論に基づいてピロヤンを誕生させたので、ピロヤンファンは読みましょう^^


えらいてんちょう


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