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CHRISTMAS TIME FOREVER

<詞>

桑田佳祐
「サザンは、これからの時代、暗いモノが多くなってくると思うね、どんどん暗黒を提示していくと思うね。」(1992年)

アルバム「世に万葉の花が咲くなり」のキーワードの一つに「暗黒の提示」というものがある。
これは前年に勃発した湾岸戦争であったり、バブル崩壊であったり、時代は明らかに暗い方向に向かいつつあった事を示唆している。

しかし、その反面ヘアヌード写真集が大売れしたり、トレンディードラマとのタイアップでメガヒット曲が連発されたり(←サザンも当事者である)
ディスコブームでジュリアナ東京がもてはやされたりと、暗いのか明るいのかわからないほど“混沌”とした時代の幕開けであった。
(他にもソビエト連邦の崩壊やPKOでの自衛隊海外派遣などがあって、私個人的にも、時代が変化し始めてる実感があったし、ヤバイ方向に向かってるなあとボンヤリと感じていた記憶がある。)

そういった時代状況を踏まえて、リアリティのあるものとしての作品=「暗黒の提示」と考えてよかろう。

桑田佳祐
「クリスマスソングを作らないかって話は、前にもよくあったんですよ。でも、最近はみんな作ってるし、どうしようかなあ、みたいな。
それで、いざ作ってみたら、どうも気分的に“恋愛の舞台としてのクリスマス”みたいなものは出てこなかった。もっと暗黒なものというか、そういうものを思わざるを得ない。

世の中、不景気になるとスケベがはやるとか、そんな分析はあるけど、音楽をやる以前のボクらの気分というのが、いまは決して明るいものじゃない。何か、“病気とお付き合いしてる”っていうか。

これからの時代にサザンとしてつき合っていこうとすると、どうしてもそういったことを“見つめた”歌が出てくる。これがきっと、通り一遍のラブソングとか、リアルじゃない時代が来ると思うし、そんなことの予告も含めました。」(1992年)

“病気とお付き合い”しなければならない、先行きの見えない不安な時代の到来。反面、年を追うごとにヒートアップしていく平和ボケした“ニッポン”でのクリスマス熱。絶望にも似た感情の上での救済の歌、つまり「祈り」であったに違いない。いわゆる「ハッピークリスマス!めでたいめでたい!(笑)」の歌、つまり「通り一遍のラブソング」ではない。

桑田佳祐
「この歌は、現在(いま)をじっと見据えて作った曲ですね。
アルバムの最後に収めたこともあって、これからのサザンの歌の予告編っていう気がしますね。」(1992年)

翌年リリースされた「クリスマスラブ」の時の発言と対比してみるのも興味深い。

<1999.12.18記>

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