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【学会参加記録】第2回日本地域医療学会学術大会に参加して

12月15日から16日まで第2回日本地域医療学会学術大会に参加してきました。いつも参加しているプライマリ・ケア連合学会は、家庭医療、総合診療の切り口、もしくは、国保地域医療学会は多職種連携の切り口ですが、今回は、初参加で参加してみたら「地域医療」の切り口でありました。マネジメントや地域との関わりの内容が多くて、臨床的知識を学ぶ場は比較的少ない、「地域」との関わりを大事にする会であるような印象を受けました。

今回の学術大会への参加の目的


・「地域医療」について考える機会を得ること
・地域医療の実践者や地域医療に興味がある人との交流
であったと考えます。

いろんなセッションがありました。
どうやら後でオンデマンド配信もされるような話を耳にしましたので、参加できなかったセッションについてはそれに期待しつつ。(されるかはでもわかりませんので、されなくてもご容赦ください。)

学会という場は「活動を知ってもらう場」と、「交流の機会を得る場」、「学び考えるきっかけ(学びの種)を得る場」だと個人的には思っております。それぞれについて書いてみます。

活動を知ってもらう場

・シンポジウムV  「ライフイベント×医師キャリアシンポジウム」 プレゼンター:今庄にきてくださったことがある学生の皆さんが招待くださり、夫婦で現地参加しました。おもしろ自己紹介にチャレンジしてみました。いかがでしたでしょうか。失笑だった!?いやいや、盛り上がった!?どちらでしょうか。登壇者の先生方、ご夫婦の皆さんのそれぞれの仕事へのスタイル、地域との関わり方が拝聴していて、自身の糧になりました。共通していたのは、それぞれの登壇者の皆様が仕事や家族・生活について、芯となる信念を持っておられることかなと感じました。

豊原亮子さんが描いてくださったグラレコ
豊原亮子さんが描いてくださったグラレコ

交流の機会を得る場

事前にプログラムを見ていると

・尊敬する、お話を直接伺ってみたいと思っていた、本を読んだことのある地域医療のベテランの先生方
・若手でご活躍の先生
・総合診療・家庭医療・地域医療志望の熱い学生の皆さん
が多数参加され、いろいろな方と出会い、具体的な話をすることができ、感謝です。

全国の同世代の先生方と今回は「地域医療」をキーワードに再会できてそれがまず楽しかった。交流が一番でした。

総合診療関係でもいろんな学会ができてきて、制度設計を理解したり、専門医をとったり、学会費を払ったりするのは大変ですが、交流という点ではおもしろさがあります。自分を高めることはもちろんですが、今後仲間を増やしたいという思いでなんとかついて行こうとしています。一方で、学生や初期研修医に総合診療医の制度を説明するときには、複雑さと説明の難しさを感じる点があります。しかし、小生のような若輩者が議論できる点ではありません。

学び考えるきっかけ(学びの種)を得る場


自治体病院の制度を知ったり、PRについて本格派から学んだり、
田舎における人財獲得の手法を教えてもらったり、
地域医療の未来について語ったり、
いろんなセッションがありました。

地域の産業が衰退すると,地域の医療も消滅するという話もありました。
学校がなくなると医療機関も持たなくなるという話と似ているなあと思いました。

言語化できていないものを頑張って言語化してみます。

種その1 地域医療とは

目指している診療所医療ってなんだろうなあ。
目指している「地域医療」ってなんだろうなあ。
ということについては追求を止めたくはないと思っています。

差し当たって、地域医療という言葉については、この本にとても詳しく書いてあります。拝読すると、なお「地域医療」の深さを感じる、とても好きな本です。素敵な本を作ってくださってありがとうございます。

・種その2  家族との在り方(ワークライフバランス)とは

とりあえず先のセッションも含め、どうしても地域医療の定義はやや曖昧でありがちです。そんな地域医療に従事する人についてくるのが家族との在り方。地域枠の学生・研修医・専攻医・医師には必須の事象です。

「逆駐在夫・妻現象」という言葉を今回初めて聞きました。先般、とある先生と話していて、一緒に行く家族のケアも大事だよねーという話になっていてまさにその話でした。これは、職場と居住地が近いからこそ起きる問題なのかもしれないと感じました。

・種その3  診療所医療従事者と居住地

『諦めなかったことってなんですか』って質問があり、咄嗟に浮かび答えたのは「地域の現場に居続けること」でした。今思うと、『暮らしに向き合うこと』っていえばよかったかなとも思います。

働いている医療機関のすぐ横に住むのが理想であります。赤髭先生ってそんなイメージですよね。シンポジウムでは『諦めたことはない』ようなことを話しましたが、実は諦めたのは、診療所があるところでの居住です。それは共働きの中で、子供を見る人がいなくなってしまうことを懸念してです。患者さんは本当はすぐ横に住んでいる医者を求めているんだろうなあという場面がいっぱいありました。それが当然であり、その通りで、迷惑をかけているなあという自覚もあります。しかし、外に目を向けると必ずしもそうではなくって、居住地と勤務地が違うことで、メタ認知が進みやすくなる、かえって適度な距離感でみんなと関わることができる、そんなメリットがあるとも感じており、それを若輩者ながら発言してみました。でも本当は、地域のお祭りに参加してワイワイできる、ドクターコトーのような近接性で地域と関われる、そんな世界が個人的には好きです。

・種その4 地域枠とは
地域枠って色々あります。
地域枠ってどうしてもネガティブに捉えがち。でも実はポジティブに捉えるといいことがある。
・ 他の人が受けたくても受けられない地域医療実習を受けられる(ちなみに、当院ではカリキュラム外でも見学や実習を歓迎しています。)
・ 早くから多職種のお仕事に触れられる。
・ 将来いくところを見据えて、目標を持って研鑽できる。(自治医科大学では、◯◯に行くなら、将来こういう地域にいいくんだから、この手技はできるようにねなどと地域オーダーメイドの実習を受けられると聞いたことがあります)

シンポジウムでは、いまいち、言語化が不十分だから、なかなかうまく答えられない場面が出てしまったように思っております。

とりあえず、一つ言えるのは、高校生に医学部卒業後の将来の進路を決めなさいっていうのはかなり酷であるような気がします。例えば性教育と絡めて、キャリア教育、ライフプランニングと合わせて学んでもらい、地域医療の泥臭さを知ってもらった上で、それでも地域医療をしたいと望む高校生に、地域枠を受けてほしいと思っています。ときにすれ違いによる不幸が発生してしまう地域枠。不幸ではなく、ポジティブになるように、高校生には何かアプローチをしたい。

・種その5 業務上のマネジメント
 
臨床疑問は、調べたりすればまだ消化•吸収しやすいけど、業務上の疑問は、消化不良の日々を繰り返し、抱えており、本学会でいろんな意見や実践に出会い、直面せざるを得なかった気がします。それには理由があります。それは知識不足、考えても実態に反映するほどの実力が自分にないもどかしさなどでしょうか。この消化不良が最近の1番の悩みかもしれないと、帰りの車中で妻と話していて気づいています。診療所のマネジメントを学びたい。知識も技術も態度も足りない。

・種その6 診療所医療で必要とされる実践とは

地域医療の実践者でどんどん進んでいくのがいいと思います!(中略)
その実践知のなかから、何か学問的な知見が生まれてくるように煮詰めていきましょう!

山形におられる F先生よりメッセージを頂戴しました

日々の経験と比べながら、学会で見た現実と夢、ワクワクと苦悩。

できること できないこと
目指すべきこと 目指してもできないこと
目指すと大変さを起こす可能性があること 許容できる大変さ
仲間作り つながり作り
同世代の病院長!?
事実と意見
自分のスタンスを持つこと
まちづくり

この辺りが今後の活動のキーワードになってきそう。

人集めに関しては、
地域医療は楽しいよ!では人は集まらない。
地域医療は大変だ!でももちろん人は集まらない。

教育としては、
何が学べるか
何を経験できるか
何を人に 地域に還元できるか
1人の医者として 人としてどこまでやるべきか。あえてやらざるべきか。
自分のところの魅力を高める 魅力を認識しないと 対外的に募集はかけれない。

実践知を増やしていこう。

2023年12月19日