2023年10月のプロレス感想

ロッキー・ロメロvsゲイブリエル・フエルサ(Northern Crown 2023/5/27)

カードからは想像できない、基礎の基礎から掘り起こしたレスリング。
もちろん両者ともある程度経験を重ねた選手であることは周知ですが、
こういうじっくりとした見せ方をとってくるとは思わなかった。
ロッキーは壁役として器用にこなしていますね。オールラウンダーとしての資質を発揮できている。
フエルサも普段はFoFとしての活動が多いですが、この試合においては
シングルプレイヤーとしての可能性を惜しみなく見せてくれました。
旗揚げ興行にしては題目が理解できていないと思いましたが、理解できていなかったのは私のほうでしたね。

***1/4

バッド・デュード・ティトvsトム・ローラー(FSW 2023/5/27)

メンバーから見るにBloodsport的大会でしょうか。
FSWということでローカルスターが多いものの、メインは興行に名を冠するローラーが出陣。
やはりこの手の試合だとレベルが段違いですね。
戦局の打開、盤面の制御に対するレスポンスが卓越している。
今のローラーはショーマンシップが強いので過度なリアリズムに陥っていないのも良い。
そしてティト。MMAではなくMMA要素を試合に還元し、
オールラウンダーとして分かりやすく展開づける。影のヒーローです。
劇的な面白さはないが、成立しているだけで十分価値のある内容。

***

ファスト・タイム・ムード&ピーター・ティハニvsサンシャイン・マシーン(GWF 2023/7/2)

圧倒的な連携力で押せ押せのSMに対し、ムード&ティハニは個を押し出しつつ
結果的にチームの乗算になっているという対比。
これは王者と挑戦者が逆だったら成り立っていません。
そういう意味ではSMのステージがどんどん上がっているのを感じますね。
とはいえムード&ティハニの場面処理も実に巧みだったし、
即席タッグとは思えない完成度でした。
もう少し鬩ぎ合えば更にヒートアップするのに、と思ってしまうのは
マニアの悲しい性か。面白さを凝縮させた充実のタッグ・マッチ。

***1/4

ジェームス・メイソンvsジョードン・ブレイクス(RevPro 2023/7/2)

私、恥ずかしながらメイソンは初見です。
素晴らしい以外の言葉が出てこないですね。
自分のファイトスタイルとパフォーマンスが完全に一致している。
肉体が言語を持ち、体系的に言葉が散りばめられていきます。
若手の壁となるべきベテランのお手本。
メイソンばかり褒めていますが、ブレイクスも劣らずの技巧派。
若さにかまけず、経験に甘えず、真摯にブリティッシュ・レスリングというものに向き合っている。
それだけで尊ぶべきなのに、非常に面白い。
試合を通して会話している、という言葉がぴったりの一戦でした。

***1/2

アクセル・ティッシャーvsクロウチェスター(GWF 2023/9/3)

妖しい雰囲気を纏うクロウチェスター。
ギミックとファイトスタイルの方向性がやや一致していない気もしますが、
活きの良い飛びっぷりを見せます。そんなクロウチェスターの流れを切り、断つ。
ティッシャーの大物感が日に日に増していますね。その支配力は
どことなく全盛オートンのような安定感が漂います。
クロウチェスターもポイントポイントで
印象に残るハイ・フライを見せ、金星をもぎ取るというフィニッシュに繋げました。
カラ、バザード、クリアリーと欧州の若手ハイフライヤーが続々と台頭していますが
彼もその潮流に加わることができるか。注目の選手です。

***1/4


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