みんな秘密主義な話
無事に定時退社を果たし、お留守番の恋人タミオ君に送迎され、マダムのお家でおいしいご飯と少々の酒を頂いて参りました。
少々だったのは私だけだったけど。
なんだか気が乗らないな、って行く前は思ってても
行ってしまえば楽しいのはいつものこと。
でも今回に限っては、楽しかった!って言葉にして誰かに伝えたくなるぐらい楽しい夜でした。
話が弾みすぎて、マダムが次に何の仕事をするのか聞けてない。
お食事会に同席した天使♂も含めて、私以外の誰も知らなかった【マダムは実は離婚している件】から始まった。
『今新しい人はいるんですか?』という天使の質問により、実はマダムに10歳も年下の彼氏がいることが発覚。
ついでに、ずっと独り身で寂しい日常を送っていると思い込んでいた天使にも、既に2年交際している彼女がいることが発覚。
それぞれのお相手の写真を見せ合い、馴れ初めを発表し合うなどした。
散々盛り上がった挙句に気付いてしまった。
マダムは50歳
私も天使も、それぞれの相手も、全員40歳~42歳の同年代。
身の回りの友人や同僚は、ほとんど既婚者である。
私もタミオ君という恋人ができてからというもの、まぁご時世的なこともあってあんまりたくさんの人に普段会ったりはしないんだけど
仲の良い友達や普段会う同世代の人たちに、独身はほとんどいない。
よっぽどの環境変化がない限り、自ら進んで日常の報告はしないけど、聞かれて話すことも多々ある。聞かれたから答えてるだけだけど、大体返ってくる言葉といえば
『今が一番楽しい時だよね』
『幸せそう』
『いいなァ・・・』
間違っちゃいないけど
たとえ溢したのが惚気じゃなく愚痴だとしても
同じような言葉が投げかけられる不思議。
幸せを願って、喜んでくれているのは嘘じゃないとしても
【羨ましい】と言われてしまうとそれ以上話せない。
そんなやり取りに違和感を覚えていたわけではなかったけれど、この年にして、この年代の集まりにして、みんながみんな【結婚前のラブラブ交際中】という状況が重なっていたために
みんなが次から次へと自分の日常をぶっ放し、時には共感したり時には感動したり、お互いの馴れ初めや行く末に興味津々でキラキラしながらそれぞれの相手についてしゃべり倒す なんていう空間が生まれた。
これって奇跡的じゃないかしら。
女子高生の集まりじゃあるまいし。
一人でも絶望の淵にいたらできないことだよね。
って
改めてお互いの幸せを喜び実感した。
そして
これまでマダムが誰にも言ってこなかった【実は離婚している】という事実を、努力で隠そうとせずともバレずに最後まで来れたのは
会社のみんなが根掘り葉掘り聞いてくるタイプじゃなかったこと、とてもそれが助かったと言っていた。
だからこそお互いの素行についてはほとんど知らないまま、こうして特別仲よくなれば自ら話すことはあっても(私もタミオ君や女体の不具合についてはマダムに話していた)
それぞれに恋人がいるのかどうか とか
家族構成とか仕事以外で日頃何をしているかとか
毎日誰よりも長い時間と共に過ごしているのに知らないことだらけだね、って話をした。
会社なんてものはそんなモンかもしれないし
下手するとパワハラだのセクハラだの、神経質に発言に気を使わなきゃいけないルールなんかもあったりして
家族よりも長い時間一緒にいるのに、本当に必要以上のことを知る機会がない。今なんかはもう、歓送迎会や忘年会新年会も含めて、会社の飲み会だって3年以上していないから尚更だ。
結局天使は、自分が辞めることについては一言も言わなかった。
直接聞けるかな、と少し期待はしてたけど
本人が言わないという判断をしたのならそれはそれでいいし、あの日言わなかったからってきっと結論が変わるわけでもない。
私も知っていることは言わなかったし
マダムが聞いているのかどうかも知らないまま。
仕事のことも含めて、今まで会社で言えなかった色んなことを話したり聞いたりたくさんしたけれど、核心に迫らないまま卒業パーティーはおしまい。
それでも、とても楽しい夜だったし
マダムのご飯はとても美味しかったし
働く場所が変わっても、一緒にいる時間が減っても、時々こうして繋がっていられる仲間で居続けられたらいいな、と改めて思った。
心配していた4月は、思った以上に落ち着いていて
天使は新人教育を頑張ってくれているし、グイグイ引っ張ったり指示する力はなくても、物腰柔らかで話しやすい性格は 意外に適役かもしれない。
新人さんは、天使と同じ40代前半の男性。
これまで同じ職種の経験はないようだけど、意欲はありそうだし礼儀正しいし、まだまだこれからだ。
天使がいるうちにたくさん吸収しておいてほしい(人任せお局)
直属のトップに昇格した宿敵の主任は
なぜか4月から結婚指輪を装着している。
結婚していることは知っていたけど、今まで装着していなかった指輪をなぜ今。九州から単身赴任でこちらに来ていたらしく、頻繁に長期テレワークなどをしていた主任時代、チーム長になればほとんど会社にいないなんて言うわけにもいかないし、家族で引っ越してきたりしたんだろうか。
一緒にいない時はよかったけど、一緒にいれば指輪もしとかなきゃ不自然だよな、家庭的に。なんて、余計なことを!勘ぐってしまう!
なぜなら
かつて交際していた男(当時海外の事務所にいた会社の人で、日本に出張に来た時に会っていた)が、夏に帰国した際に左手の薬指が指輪型に焼けていたことにより既婚者だと発覚したことがあるからだ!この野郎!
バツイチ子ありとは聞いていた。
しかし再婚してるなんて聞いてねえ!
私の余計な過去の思い出は置いといて
妄想していたよりも穏やかな4月を迎えられていて一安心な、春。
月末の二日間、業務の多忙とお食事会により夜ご飯を手抜きしてしまったので、土曜日の夜はタミオ君の好きなハンバーグにした。
初めての煮込みハンバーグ。
子供みたいに喜んで美味しい美味しいとはしゃぎながら食べてくれるタミオ君を見て、なんだか涙がちょちょ切れたのは内緒。
結局タミオ君とお花見はできてないけど
疲れとストレスにより土日は頭痛で寝込んでいた私の分まで、月曜日のお弁当はタミオ君がおにぎりを作ってくれた。
薬が効いて夜ご飯はちゃんと作れるレベルだったけど、私がお風呂に入っている間に二人分のおにぎりができてた。
会社にはレンジがあるけど
いつもタミオ君がそうしているように、チンしないで食べた。
具なしの塩むすび。
代わりに愛情がたくさん入ってるらしい。
幸せ噛みしめて、今月も乗り越える ぞ。
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