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ちゃんちゃら忙しい年度末に定時退社しようとしている女

恋人タミオ君が、お正月以外で年に一度あるかないかの連休を獲得した。このチャンチャラ忙しい年度末に。

仕事は休めないしテレワークにもできない。

そして最終日の今日は、もともと約束されていたマダムのお別れ会が予定されている。

年度末の仕事終わりに参加するには心も体も余裕が足りないが、マダムがこの日しか空いてないというんだから仕方がない。
残業になっても後から合流する、という約束で受け入れた。


そして信じられないほど順調に進んだ年度末処理により、私は定時退社を目指している。



今日のお別れ会に参加する予定なのは、マダムを筆頭に家が近いご近所組3人。私とマダムと、先日実は辞めることを上司から暴露された天使♂だ。

ご近所組として、野菜やパンのおすそ分けをしたり、時々ランチをかますためのLINEグループがあった。仕事のチームメンバーとは別に作ったご近所LINE。

今日はマダムが最近買った低温調理器で夕飯をご馳走してくれる予定。見送られる側なのに。我々は自らと納品用の酒をもって仕事終わりに襲来する。おうちにお邪魔するのは初めてだ。



タミオ君はお休みの日、私の仕事の送り迎えをしてくれている。昨日今日も例の如く送迎つきで、今日に限ってはマダムの家にも送迎してくれるそうだ。行きは別々だけど、帰りは天使も同乗させてくれるらしい。

せっかくの2連休なのに、一緒に過ごせる時間がほとんど無い上に、先に決まっていた予定とは言え私は夜ごはんも作らずに出かけてしまう。しかも置き去りにするタミオ君の送り迎え付きで。王女様か。


申し訳ない気持ちと、それ以上に自分自身が残念な気持ちでいっぱいになり詫びた。ご飯はいつも作ってくれてるし、ストック(タミオ君がことあるごとにドンキで調達してくる棚にびっしり詰まったカップラーメン)を消費したいから大丈夫らしい。

それより会社の送り迎えだけじゃなくて、本当はどこかに連れて行ってあげたいのに残念だといった。休みが直前にしか決まらないのはいつものことだし、時期的に仕事を休めないのは私の方なのに、タミオ君の方が申し訳ない気持ちになっていることが申し訳ない。


*****


入籍にもってこいな吉日揃いの最強開運日が5月にあることを、先日穏やかで楽しい日記に書き綴りましたが

4月から慢性人手不足と久々の新人教育が始まり、チーム長も宿敵に代わることによる運用についての不安、行かない予定だった5月の出張者に任命されたことにより、最強開運日を見送る計画まで出ていた。

元々どうしてもその日がいいという拘りもなければ、急いで籍を入れなきゃいけない理由もないので、見送ることで困ることもないんだけれど

特別思い入れのある日が別に存在しているわけでもないし
せっかくなら良い日にしようかと選んだだけの日程ではあるものの
最初に決めた予定を 仕事のために覆す、という事実がどうしても個人的に腑に落ちなくなっていた。

訪れる来年度の不安や恐怖で、いささか自暴自棄になっているせいもある。この時期に休めない と思っているのは私だけで 他のメンバーは用があれば休む。有休が残ってれば消費するし、そりゃ重要な理由がある場合もあるだろうけど、それで出勤メンバーが減って負荷が増えても 大変なだけでちゃんと仕事は回る。


いつだって私は母譲りの責任感から仕事での役回りを優先してきた。
思えばタミオ君とのふたりのおうち探しだって、出張や出張予告を理由に見送った内覧や契約もあった。決してタミオ君の休みが不定期で不安定なだけが理由ではない。

忙しい年度末や年度初めに休みやテレワークを入れないのは暗黙の了解で、メンバーの休みやテレワークを優先して自分の予定や希望はいつも後回しにしてきた。

自分しかできない仕事があることは自信のひとつでもあったから、手放したくないという潜在意識もどこかであったかもしれない。

もちろんどうにもならない家庭の事情で休みや連休を取得したことは今までにもあったけれど、時期や業務都合や周りのメンバーとの兼ね合いを考慮して、少しでも負担が減るように最大限の準備をした上での話。
みんなが同じようにしていないことには気付いていたけれど、それでもそうしておかないと自分が安心できなかった。

考えようによっちゃ、ある意味自分がみんなを信頼していないことになる。実際ある程度放置したって仕事はちゃんと回るのに。

これは今のメンバーがある程度経験値を積んで単独運転が確立がされたからというのもある。長年人の入れ替わりが激しくて自分だけに業務がのしかかっていた時代が長かった故の言い訳でもあるけれど、自分がいなくても仕事は回るという事実に気付いたのが遅かった。

そうじゃないと思い込みたかった節もあるかもしれない。

落ち着いてきた最近やっと、周りのメンバーに
仕事はみんなができるから家庭を優先しなさい、と もう基本ルールのように声に出して伝えられるようになった。


伝えられるようにはなったのに、それでも自分の都合を その用事が些細なことであれば猶更、優先できていなかった。

精神的に追い詰められかけた年度末に、それでも休むメンバーや、それでも回る(その分いつも以上にみんなが頑張ってるからだけど)仕事をこなしながら

そして自分が獲得した連休を私と一緒に、私のために使えないことを嘆く恋人を目の前にして


この人と過ごす未来の約束より大事な仕事なんてねえわ

と、思った。

もし無理なら無理で、特別こだわりがないからこそ諦めもつくし
最初に約束した5月に、籍を入れれるように準備しないか と持ち掛けた。

仕事場に連れて行ってもらう車の中で。

数日前から考えていたことではあったけど
なんだか自分でもびっくりするぐらい、言い出す勇気が出なかった。


入籍を焦っているわけではないし
けしかけるつもりもない

でもそう伝わったら嫌だな、と考えたら
なかなか言葉にできなかった けど


意を決して伝えた打診に返ってきたのは 即答のYESで、
続けてタミオ君は

『吉日もいいけどその日に入籍する人多いだろうから、みんなと一緒の記念日よりも二人だけの記念日を決めてもいいかな って実は昨日考えてた。』と言った。

二人して考えてはいたけれど
なかなか口には出せなくて

日常に紛れ込むように自然と流れ込んできたしまった人生の一大事を、言葉にするのに勇気がいる程度には ちゃんと重く受け止めているんだとわかって

建物の中に入るまで見送ってくれる車の中のタミオ君に、人目も憚らず指ハート捧げておきました。
最近指ハートで仕事に送り出すルーティンにハマッている。
今日は私が見送られる側だけど。


とりあえず、5月に入籍できるような準備は進めることにした。
結局まだ、母が勝手にもらってきてくれた婚姻届と必要書類の説明が入った封筒は開けてもいない。

本来は一緒にもらいに行く予定だった婚姻届。せめて一緒に実物を見ようと封筒に入ったまま引き出しに封印してもう3か月程経過した。


せっかくの2連休なのに、ほとんど一緒にいられない。
でもそのおかげで芽生えた罪悪感と、あらためて実感した相手への愛情により、家族になるための準備が少しだけ進みそう。



普段獲得できない連休だからこそ 一緒にいられないことへの無念はありつつも、タミオ君が長時間一人の時間や空間を手に入れることもなかなかないから ゆっくり休んで満喫できてるならそれはそれで嬉しいことだ。

土日は美味しいご飯作ってタミオ君の帰りを待とう。

私は私で仕事を頑張って、友人や同僚や家族と楽しく時間を過ごすことで、タミオ君も喜んでくれる。もちろん逆だって同じ、私もタミオ君と一緒にいる時間だけが全てではないし、私と一緒にいない時間もタミオ君には楽しく過ごしていてほしい。


来週は予定が変動しなければ、久々に休みが揃う予定。
それまで頑張って乗り越える ぞ。

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