4コマ漫画を100本描く方法

『100日後に死ぬワニ』のヒット以降、あとに続けとばかりにTwitterなどで「4コマ漫画を100本描きます!」「毎日更新!」とやっている人が多くなりました。中にはまんま『100日後に○○する××』というフォーマットを使っている人もいたり。その企画の立て方はどうなんだという指摘はさておき、私の見る限り、ほとんどの人が途中で更新しなくなったり、クオリティが一気に落ちたりして、初志貫徹とは言いがたい結果に終わっているように見えます。
この記事では、『さーちゃんともめこの登校風景』『さーちゃんともめこの昼休み』(各電子書籍ストアにて発売中!)という4コマ漫画で計400本を完走した経験を持つ者として、【続ける方法】と【クオリティ維持】、この2点にしぼってお話をしていきたいと思います。

4コマ漫画を100本描くという目標を掲げたということは、「自分の描いた漫画を書籍化させたい」「ワニのようにヒットさせて人生を一発逆転させたい」「バズって有名になりたい」「何か一つのことを成し遂げる経験をしてみたい」など様々な思惑があることでしょう。しかし、20本,30本とアップしていくうちに皆様はあることに思い当たるかと思います。こんなことをして何になるのか?最初の15本くらいは勢いで何とかやれたが、もうネタが思いつかない。ストックはすでにない。やっとの思いで描き上げてもすぐに明日の分に取り掛からなければならない。仕事にも影響が出てしまっている。睡眠時間を削ってまでやることだろうか。もはや描いてて楽しくもない。「いいね」も減ってるし…。
このような思考を辿ってやめてしまわれるのではないでしょうか。
はっきり言ってそれは正しいのです。
まアゆるくやっている人は別に問題なくやれるでしょうけど、志高くやっている人はやめてしまうことの方が正常だと私は思います。
毎日4コマ漫画を更新するというのは、すでに漫画のテクニックを持っている人にとっても並大抵のことではありません。
毎日続けるということはつまり、「絶好調ではない日もやらなくてはならない」ということであり、体調が悪くても、失恋してしまっても、天気が悪くても、ペットが入院しても、机に向かわなくてはならない。誰に頼まれるわけでもなく自分で勝手にやり出したことなので、「机に向かわなくてはならない」ってこともないんですけどね。都合が悪くなったらやめてしまった方が精神衛生上は良いに決まっています。
それでも自分は描きたいんだという人に私から言えることは、「4コマ漫画を毎日描くというのは基本的に異常な行為である」という認識を血液まで叩き込むべきだということです。何かを毎日続けるということは、いつか必ず「そんなことしてる場合じゃない日」にブチ当たります。私も病院の待合室で4コマ漫画を描いた日がありました。睡眠時間を削って描いてたら仕事中に体調を悪くしたりして、他人に迷惑をかけることもあるでしょう。
そんなこと、大人はしてはならないのです。間違った行為なのです。
4コマ漫画を100本描こうとする人が最初にするべきなのは、脳を麻痺させることです。目標達成のためには、しんどいとか、つらいとか、疲れたとか、そういう自意識は邪魔です。「意味があるのか」とかそんなことも考えてはいけません。意味なんか最初からないのです。意味のない間違った異常な行為であると脳に叩き込んでおけば、疲れててもつらくても机に向かえるし、「いいね」が少なくても些末な問題になります。絵の描き込み量やネタの練り込み具合にもよりますが、基本的に毎日4コマは忙しいので、そんなことを考えてるヒマなどありません。脳の自意識の部分を麻痺させて、常にネタのことに集中する。はっきり言って、やる理由よりやめる理由の方が圧倒的に多いし、かつ、そっちの方が正しいのです。理詰めで責められたら必ず負ける論法で戦ってるわけですから、世の中の雑音に耳を貸さない精神性が重要になります。「夢に向かって自分は正しいことをしているんだ」みたいな意識を持ってやっている人は、正当性を失った時に一気にモチベが落ちるので気をつけてください。

次に【クオリティ維持】についてですが、これはそれぞれの作風によってアドバイスが変わってくるので大雑把なことしか言えませんが、「4コマ漫画を100本描く」という目標を立てた人には、必ず4コマ漫画において特化した部分があると思います。今の時代、何かを始めようと思ったらYouTubeもあるし、ラップやボカロもTikTokだってある。その中から4コマ漫画を選んだということは、そこに少なからず勝算を感じたからではないでしょうか。100m走18秒の人は短距離の陸上選手を目指さないわけで。だから、まずはその特化した部分を活かせる型を作りましょう。4コマ100本は勢いだけでやると必ず息切れします。自分の能力を存分に発揮できるフォーマットさえ作れば、調子の悪い日でも何とかなります。私の場合も、私が漫画を描きやすくする仕掛けを作中にいくつも施してます。型を作ることでできなくなってしまう表現もありますが、表現の幅が狭まることでネタ作りに迷いがなくなったり、それによって深くまでテーマを追求できたりもします。とにかく自分に合った型をしっかりと練り上げてください。漫才の人達は「システム」って呼んでますね。もちろんミルクボーイのような芸術的なまでに完成されたシステムを作ることは大変ですが、自分の特化した部分と一度真剣に向き合って、それがうまく機能する型をつくることがクオリティ維持のコツではないでしょうか。

私から言えることは以上となります。
あとはクオリティを落とさずに100本描いている作品を研究してみるのもいいと思います。『さーちゃんともめこの昼休み』という作品があるのですが、それなどは教材として最適ではないでしょうか。大学の教科書とか3~4千円しますけど、こちらは300円という破格なまでの安さとなっております。リンク貼っておきますんで、ぜひ買って勉強してみてください。

『さーちゃんともめこの登校風景』
https://amzn.to/2TRQlS3
『さーちゃんともめこの昼休み』
https://amzn.to/3fhsvH7
(noteでも読めるけど、あえて電子書籍で金を払って読む方が身につくと思います!kindle以外でも70以上のストアからお買い求めいただけます)

このnoteを読んで4コマ100本描いたよーって人は、私のTwitterなどで教えていただければ嬉しいです。見に行きます。ではまた。

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