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小さかったドバイマジェスティの18

まず冒頭に、この度の大震災で被災された方々に対しまして心からお見舞い申し上げます。
被災地の皆様の安全と1日も早い復旧を心よりお祈り申し上げます。

有馬記念には出資馬シャフリヤールが出走。香港での出走が叶わず、帰国して中山競馬場での調整ということが嫌われたのか、8番人気という評価にとどまりましたが、勝ったドウデュースから0.3秒、3着馬とは同タイムの5着と、ダービー馬の意地をみせてくれました。
ブリーダーズカップから香港ヴァーズというローテーションが発表された際には、「おそらく、海外2戦を使って引退なのだろうな」と想像していましたが、明けて6歳となる今年も現役を続行する模様。早く種牡馬になってもらってホッとしたい気持ちもありますが、今年もシャフリヤールの走りを楽しめる嬉しさもあります。なにはともあれ、無事に今年も走り切ってくれることを願うばかりです。

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さて、アルアインが3月の大阪杯で2つ目のG1タイトルを手にした年の募集、目玉の一頭が「ドバイマジェスティの18」でした。募集が確定する前の段階で「募集予定馬リスト」というのが公表されるのですが、その段階で「アルアインの弟は1億5000万円(募集)かな?」なんて会話をしたのを覚えています。

実際に募集確定となったドバイマジェスティの18の募集価格は1億2000万円。世代最高価格であり、十分に高額ではありますが、予想よりは3000万円もお安い価格です(笑)。
クラシックホースの全弟で入厩予定は西の名門・藤原厩舎。募集動画をみてみると、いかにも運動神経の良さそうな、実に柔らかみのある動きをしています。この原稿を書くにあたり、カタログを見直してみると、「本馬の真髄は究極の軽さにあり、放牧地を疾走する姿はまさに飛ぶが如くです」と記されていました。

実は、このカタログの言葉こそ、この馬の特徴を表しており、出資の悩みどころを端的に示していました。
1歳の募集時に発表されたこの馬の馬体重は354キロ。5月生まれの全兄アルアインよりも、2週間以上早く生まれているのにも関わらず、馬体重は30キロ以上少なかったのです。
一口馬主の出資経験のある方は想像がつくと思いますが、1歳6月の段階で350キロ台というのは、牡馬としてはかなり小さめな部類に入ります。“小さい”というのは、出資馬選定においては大きなリスクであり、それが高額馬であれば尚更です。
実際に、募集馬ツアーに参加された方にこの馬の印象を訪ねたところ「ヒョロいですねー」という返答で、見た目にも華奢だったよう。

それでも私は、揺らぐことなく、この馬をドラ1(第一希望)に指名しました。
それぐらい、募集動画の動きが、飛び抜けてよく見えたのです。単純な馬体の比較なら、この馬よりも見栄えのする馬はいましたが、動きも加味したら、この「ドバイマジェスティの18」がダントツだと感じました。
サイズについても、管囲(簡単に言えば脚の太さです)から、ある程度までは成長するだろうという算段はありました。
出資馬を選定する際、競馬仲間に意見を募ることが多いのですが、この年に関しては、即決だったように思います。迷った馬がいれば、必ず覚えているはずですから(笑)。

翌春、『競馬王のPOG』の取材でノーザンファーム空港を訪ね、念願の初対面。
そこには、なんとも上品な佇まいのサラブレッドが立っていました。

(次回更新は1月23日)

やまもとまさ
プロ通算219勝、3度の最多勝、沢村賞、史上最年長でのノーヒットノーラン、50歳での登板など、記録にも記憶にも残る活躍を果たした球界のレジェンド。現在は野球解説者・スポーツコメンテーターとして活動している。ラジコン、クワガタ飼育等、多趣味としても知られる。競馬への造詣も深く、一口馬主としてアルアイン、シャフリヤールに出資する相馬眼の持ち主。
X(ツイッター) @yamamoto34masa

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