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1ページ漫画集『大丈夫マン』(仮)に向かって

4月の頭ぐらいからラジオのスタジオに飛沫感染防止のため、アクリル板の仕切りが設置されはじめ、ほとんどのパーソナリティが「刑務所の面会みたい」と言っていた。

うちの近所のスーパーでは、4月半ばごろからレジにビニールが張られた。昨日買い物に行った時には、レジの前の床にソーシャル・ディスタンシングを保つための印がテープで付けられていた。最近は、ひきわり納豆にはまっている。いりごまと海苔と大葉をのせる。キムチをのせることもある。

スーパーへの買い物と散歩以外は外に出ない生活をするようになって1か月半。営業している映画館がゼロになり、志村けんが亡くなり、すれ違う人の9割がマスクをするようになった。

2作目の1ページ漫画集について、ナナロク社の村井さんとちょこちょこ話し始めている。こんなことを話した。

・1作目『夏がとまらない』の頃に比べて、1ページあたりのコマ数も密度も増えているので、今回はそこまでボリュームを大きくしないほうが1冊の本として読みやすく、いいものになるんじゃないだろうか。『夏がとまらない』は217本収録したが、今回は80~100本がいいかな。

・本のサイズは、『夏がとまらない』より一回り大きく。

・今回はハードカバーが似合いそう。

・タイトルと表紙に掲載する漫画は、『大丈夫マン』でいきたい!

これは初めて書くが、『大丈夫マン』は自分のために描いた。2018年はなんだかとてもしんどい年だった。生きていれば色々あるわけだが、最大の要因はSNS上で飛んでくる悪口の矢、これを上手くかわすことができずに、心をやられてしまっていた。ただならぬ猛暑に追い打ちをかけられたのか夏の間は特にひどく、たびたび呼吸が下手になり、茶碗に半分のご飯を食べるのに1時間半ぐらいかかる日も多かった。

そんな日々の中で自分のためのお守りを作るような気持ちで、狂った気分の隙を見て『大丈夫マン』を描き、SNSにアップした。頂いた一つ一つの感想が沁みた。自分以外にも、少なくない人がこの漫画をお守りのようにしてくれているのを感じている。

新しい漫画集のために作品を厳選してみると、約50本たまっている。80本収録としても、あと30本ほど描かねばならない。がんばるぞ。今のこの状況が落ち着いたとて時折やってくるだろう不安な夜に、本棚から取り出したくなるような本を作りたいと思います。1ページ漫画集『大丈夫マン』(仮)。よろしくお願いします。

余談。
漫画の中に、今の現実を反映させるかどうか、とても悩んでしまう。たとえばスーパーのレジを描くとき、感染防止のビニールは描くのか。描いてしまうと、そこにいる人々がマスクをつけていないとおかしい。すると、表情で笑わせることが難しくなったりする。

「漫画の中の世界ではコロナ騒動は無かった」というつもりで描くにしても、たとえば「誰かとすれ違うたびに握手をするおっさん」というようなネタは今は描けない。どうしても違和感が生じてしまうから。

緊急事態宣言後に初めて描いた漫画では、どうしても現実を無視できず、作品の中に取り入れた。

ビニールが外される日はいつになるのだろうか。それまでは、ディスタンスを保ちながらのネタ作りが続く。長編漫画や映画やコントを作る人たちは、自分よりももっと、このことに悩んでいるだろうな。自分が描いてるのは、連続性がなく1ページごとに独立している漫画だから、わりとどうにでもなる。色々試しながらどんどん描こうと思う。

最後に、ひきわり納豆についてもうひとつ。たまご豆腐を付属のだしと一緒に1分20秒、レンジでチン(ラップ必須!飛び散る)して納豆に混ぜ崩しながら食べるのもおいしいです。

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