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宙に舞え、ショウタ/後藤祥太アシスタントコーチ②

コーチの語源は、
人や荷物を目的地へ確実に届ける「馬車」に由来すると言われます。
高級ブランドのロゴからもそれはわかります。

届ける、すなわち導く。
富士通レッドウェーブの後藤祥太アシスタントコーチもまた、
選手たちを、彼女たちが目指している場所へ導くため、
日々、奔走しています。

点を線につなげてレベルアップへ

ショウタさんがレッドウェーブのコーチになって今季で3年目。
選手たちの変化にはっきりとした手ごたえを感じています。

「誤解を恐れずに言えば、女子バスケットって、選手たちがまじめで、一生懸命であるがゆえに、たまに楽しそうに見えないときがあるんです。本当に楽しんでいるのかなと思ってしまう。それが、上手くなることで『楽しい』と思ってくれたらいいなと思っていて、最近、特に変わってきたと実感できるのがキラ(内尾聡菜選手)です。ディフェンスの選手だと思われていたキラが、得点力も上がったことで表情まですごく変わりました。成功体験というか、年齢を重ねても上手くなれるんだと思ってもらえることは、コーチとしてのやりがいです」

ベテランの町田瑠唯選手や宮澤夕貴選手とも、
練習してきたスキルが試合で出ると、
試合後「今日、してきたことが出たよね」と話をするそうです。
選手たちとのそうした瞬間がたまらなく楽しい時間だとショウタさんは言います。

「選手個々が持っているスキルセットはそれぞれ違います。でもそれぞれが持つ得意なことがきちんと発揮できるように、それを補うものを作ってあげれば、選手たちはまだまだ伸びていきます。それを二人三脚でコーディネートしているんです」


伸ばすのは得意なことだけではありません。
学生時代はしていたのに、年齢を重ねて、しなくなったプレーもあります。
眠ってしまったスキルを呼び起こし、今のスキルとつなげることも、
個人スキルを中心に見るショウタさんの役割というわけです。
「持っているものの使い方や考え方、物の見方を少し変えたり、つなげたりする手助けをするだけで、選手たちはみんなすごくうまくなるんです」

就任1年目はショウタさんの言うことを
ただ「している」だけのように映っていたそうです。
今は違います。
選手たちが結果につながる過程を楽しみはじめ、
「もっとこういうスキルも身につけたい」
と言いに来る選手が増えてきたのです。
ベテランや中堅だけでなく、
ルーキーを含めた若手も、です。
その瞬間こそが今のショウタさんの喜びだと言います。

選手たちの上達は彼女たちの努力の賜物です。
しかし、その努力を結果につなげようとサポートし続ける、
ショウタさんらアシスタントコーチの存在があることも忘れたくはありません。

背中を押す責任を担う覚悟で

アシスタントコーチの役割は選手のスキルアップだけに留まりません。
ゲーム分析や対戦相手のスカウティング、チーム練習のメニュー提案などもあります。
さらにはゲームのなかでも大切な役割があると、ショウタさんは考えています。
「ヘッドコーチの背中を押す」ことです。

10月下旬におこなわれたアイシン ウィングスとのゲーム。
結果は連勝でしたが、試合後、ショウタさんはどこか憤っているようでした。
矛先は選手やチームに向けられたものではありません。
自分に向けられたものです。
「あの試合では、選手たちはみんな頑張っていて、テーブスヘッドコーチもいろんな作戦を考えているなかで、自分ももっと何かできたんじゃないかと」


自分にもっとできることがあったのではないか。
ヘッドコーチの決断を後押しするアクションができたのではないか。
ショウタさんはそう考えていたのです。
「ヘッドコーチの一番大変なところは決断することです。決断することは簡単なように思いますが、実はとても難しいことです。それをもっとスムーズにできるように、アシスタントコーチである僕にもなにか手助けができたのではないかと思うんです」

ショウタさんはB.LEAGUE(B3)のベルテックス静岡で
ヘッドコーチを務めた経験があります。
だからこそわかる、ゲームにおけるヘッドコーチの決断の難しさ。
ゲームには流れがあり、現況があり、残り時間があります。
それらを考えながら、頭の中にはいろんな対策、戦術が浮かび上がってきます。
それを1つに絞って、決断することは難しいものです。
ゲームの勝敗にも大きく影響します。
AIがその場で最善手を教えてくれるわけではありません。
そのときこそ、アシスタントコーチの出番です。

「試合中にテーブスヘッドコーチが決断したいと思うタイミングで、自信を持って背中を押せることがあると思っています。そういった提案をすることもアシスタントコーチの責任だと思っているし、ヘッドコーチが決断をするまでは、僕らもその責任を担っているんです」

だからこそ生まれるコーチ陣のハーモニーがあります。
「光さんにできることは僕にはできません。光さんはそれくらいプロとしてさまざまな経験を積んできていて、その豊富な経験も踏まえて、光さんらしいコーチングをしていますから。でも、僕の立場でできることが必ずあるんです」

テーブスヘッドコーチと日下アシスタントコーチ、
そして、ショウタさんの3人がいるからこそ、
レッドウェーブはレッドウェーブらしく、いられるのです。

ショウタさんが今思う1つのこと

今、ショウタさんが思うのは、今シーズンのタイトルを獲ることです。
将来的な夢がないわけではありませんが、
とにかく今はレッドウェーブでタイトルを獲る。
それだけにフォーカスしています。
「これまで一緒に戦ってきたスタッフ、選手……すでに現役を退いている選手も含めた全員で作り上げてきたレッドウェーブの集大成として、今シーズンはタイトルを獲りたいんです」

ショウタさんがスキルコーチに就任した1年目、
チームはWリーグのファイナルまで勝ち進み、敗れています。

「シィさん(篠崎澪さん)たちがいた、僕が1年目のファイナルは本当に悔しかった。でもあのときは、どこかで『タイトルを獲れたらいいな』くらいに思っていた自分がいました。それではダメなんです。もっと自分事に捉えて、自分を主語にして、今年は獲りに行きます。そのためにそのためには何でもしたいと考えています」

熱い。
熱くて、誠実なショウタさんが
チームをタイトルに導き、宙を舞う。
ぜひ、そんなシーンを見せてほしい。
いや、ここは自分を主語にしなければいけません。
ショウタさんが宙に舞う姿を、みんなで見ましょう。



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