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言葉の魔法

告白には勇気がいる。

「僕と付き合ってください」

その言葉は、天国に昇らせることもあれば地獄に突き落とすこともある。
結果次第で効果が変わる、魔法の言葉だ。

「僕と付き合ってください」

はじめてのデート。
僕は勇気を振り絞って、彼女に告白した。
すると、彼女は「考えさせて」と答えた。

その晩、僕は眠れなかった。
彼女がOKする妄想と、彼女に振られる妄想を交互に繰り返した。

告白してからも、彼女に何気ないラインを送ると今まで通り返してくれた。
告白の返事がないということは、迷っているということだろうか。
きっと、彼女と付き合える。
そう自分に言い聞かせて、彼女からの答えを待った。

あれから、1週間がたった。
彼女からの返事はない。

あれから、2週間がたった。
彼女からの返事はない。

あれから、1ヶ月がたった。
彼女からの返事はない。

僕は思いきって、彼女にラインで聞いてみた。

「あの、答えを聞きたいんだけど…」

「答えって何?」

「告白の答え」

「ごめん。友達でいよう」

僕はラインであっさり振られた。
告白された時から、彼女の中で答えはすでに決まっていたのだろう。
きっと、目の前で断る勇気がなかったのだ。
ラインなら、振った相手を目の前にして気を遣わずにすむ。

告白には勇気がいる。
その一歩を踏み出すことで、僕のように不幸になってしまうこともある。
だけど、その一歩は幸せになるために必要な一歩だ。
そう言い聞かせて、僕は泣いた。

数年後

「僕と付き合ってください」

この言葉で僕は幸せになり

「僕と結婚してください」

この言葉で僕はもっと幸せになった。

僕は彼女に魔法をかけて、彼女は僕に魔法をかけた。

ギブミーマネー!ギブミーチョコレート!!