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TikTokを展開する、バイトダンス社の新サービス

2019年1月15日、今日は、中国インターネット業界にとって、ひとつの記念的な一日になりました。

まず、中国人が最も使っているSNSといえば、こちらのDAU10億人(2019年1月現在)を誇るWechatです。日本でWechatといえば、中国版LINEといった印象が強いですが、実際はメッセンジャー機能のみならず、ゲームや支払い、ブログ、検索など様々な複合的なプラットフォームであり、1日の平均使用時間は60分を超える、中国人にとって、生活に欠かせないのSNSです。

0. 王者テンセントへの3通の挑戦状

そんな、中国の押しも押されもせぬSNSの王座に鎮座するWechatに対して、あろうことか、真っ向挑戦としか捉えらえない事件が、起こりました。

2019年1月15日という同じ日に、中国の大手新興IT会社3社から示し合わせたかのごとく、同時にて、メッセンジャーアプリがリリースされたのです。

中国のメッセンジャーと言ったらWeChat一択の現状に、明らかに一石を投じるようなこの出来事は、中国IT界を大きく賑わし、「中国のインターネット業界における記念すべき日だ」と、大々的に報道されました。

では、その3つのアプリを紹介していきたいと思います。

1.リリース当日に、即BAN

1つ目は、ムービー系アプリである快播の創業者である王欣がリリースした马桶MT(訳:便所MT)です。

これは「密な人間関係で交流するWeChatと違って、匿名の状態で秘密話をするような、リラックスしたコミュニケーションができる」と言ったコンセプトのメッセンジャーです。

新作発表会の前日14日の夜、CEO王欣が、自身のWeChatアカウントのタイムラインにて、新作のアプリである马桶MTへの誘導QRコードとリンクを載せました。
そして、リリース発表会後に、満を持して、拡散を行おうとタイムラインを覗いた矢先、王者WeChatによる無慈悲な接続BAN(内容非表示とリンク接続解除)が、発覚したのです・・・。

これに対して、CEO王欣は、Weibo(中国版Twitter)に、接続BANされたスクショとともに、「(WeChatの運営会社であるテンセントは)何を怖がっているんだか・・・」)と強がりコメント。

続いては、WeChatにBANされて、「どうしよう???」とあたふたしているシーンをうp。

「WeChatを挑発しているにも関わらず、WeChatをアテにした拡散施策ってどうよ?」

という素朴な疑問を横に置きつつ、不幸はさらに続きました。

15日発表会午後、どんな根回しがあったのか、Apple Storeでも、桶MTが、突如ダウンロード不可になったのです・・・。

これで、晴れて、リリース当日に、落とせない、開けない、使えないアプリが爆誕しました。

王者テンセントは、なかなか侮れない。(当たり前)


2. バグ大量発生にて、効果測定不能

続いての2つ目は、子科技のCEO永浩が発表したアプリ、「聊天宝」。こちらは、同社が8月にリリースした「子弹短信」というメッセンジャーアプリを改良したもの。

本日発表された3アプリの中でも、唯一、Apple Storeでダウンロードできたアプリですが、如何せん、バグが多過ぎて使用不可能・・・。

なので、今後に期待するとして、詳しい説明は省かせていただきます。。

3. テンセントと一騎打ちする、バイトダンス

そして、3つ目がTikTokを運営するバイトダンスによるメッセンジャーアプリ「多闪」。

コンセプトは、「若者の時代のためのメッセンジャーアプリ」。

そんな多の責任者である、徐璐冉マネージャーは、今年25歳です。

社員3万人、平均年齢30歳以下、常にDAY1であることを意識し、絶え間ないイノベーションを追いかけ続けるバイトダンスらしい人選です。

現在、アンドロイド版で試験的にリリースを開始しており、メッセンジャー形式で、文字や絵文字以外に、TikTokのようなショートムービーの送付もでき、公開タイムラインでは公72時間で消える機能がついています。

(2019年1月にて、中国版TikTikのDAUは2.5億人を達成)

多闪は、友人間でのイイネやコメントしかできない仕様であり、あくまでもクローズドでのコミュニケーションに特化しています。これは、WeChatに非常に近いポジショニングであり、今後サービスが育っていくにつれ、テンセント社との一騎打ちになるでしょう。

そして、言うまでもなく、本日リリースした多も既にWeChatに接続BANされています。

スマホユーザーにとって、最も使用頻度が高い、メッセンジャーアプリを抑えると、キャッシュレスペイメントやECといった、付随する周辺サービスを取り込みやすくなり、一気にキャッシュポイントが多様化します。実際に、WeChatも、アリババが先発で展開し始めたQRコードペイメント事業に後発で参加したものの、メッセンジャーアプリでの優位を生かし、現在では、シェア50%近くまで追い上げてきました。

よって、どんなに難しい戦いになろうとも、バイトダンスはテンセントに一騎打ちを続けますし、他のプレイヤーも虎視眈々と、チャンスを狙っていくでしょう。


サポートいただけたら、スライディング土下座で、お礼を言いに行きますーーー!!!(涙)