Form-13FでHFの動向を探る
Form-13Fとは米国で総額1億ドル以上の株式を保有するHF(ヘッジファンド、大手機関投資家)が四半期ごとに米証券取引委員会(SEC)に提出を義務付けられている株式保有報告書のことです。超巨大ファンドの手の内の一部が開示される貴重な資料です。
Form-13F基礎
以下に基本情報をまとめます。
目的
Form-13F の主な目的は、機関投資家の保有資産に透明性を提供し、一般の投資家や他の投資家がこれらの大規模投資家の投資戦略と意思決定を理解できるようにすることです。
申告対象者
米国の対象証券に対して総額 1 億ドル以上の投資を行う機関投資運用会社に適用されます。銀行、保険会社、投資顧問、ブローカーディーラー、年金基金、企業などなど。
申告対象銘柄
取引所で取引される米国株式、特定の株式オプションおよびワラント、クローズドエンド投資会社の株式、および特定の転換社債証券など。証券は米国の取引所に上場されている必要がある。
提出期限
四半期終了後45日以内です。直近の締め切りはこちらからチェックできます。下にも貼っておきます。
締切日が土・日・祝日の場合は、翌営業日です。
申告内容
証券名、証券の種類 (普通株、オプションなど)、CUSIP (統一証券識別手順委員会) 番号、株式数、所有されている資産と、各保有資産の市場価値の合計。
申告不要
非株式証券、空売りポジション、または米国の取引所に上場されていない証券の開示は不要。
公開
提出書類は公開されており、SEC の EDGAR データベースで入手できます。機関投資家の投資傾向や戦略を追跡するために使用されます。
機密保持
場合によっては、一般公開が運用者の競争上の地位を損なう可能性がある場合、機関投資運用会社は特定の保有銘柄について機密扱いを要求することができます。 SEC がこの要請を認めた場合、その情報は公開出願から省略されることがあります。
Form-13Fを見る意義
何のために見るのか?それはもう金魚のフン戦略のためですね。
前回(2023Q4)と今回(2024Q1)のポートフォリの差分をチェックすると
保有額を大きく増やした銘柄
保有額を大きく減らした銘柄
新規に大きく取得した銘柄
全て手放した銘柄
オプションの買い
などが分かります。そこから米経済に対して強気か弱気か、特定のセクターに対して強気かどうかなどがうっすら見えてきます。
FXや日本株しかやらないトレーダーであっても、超巨大ファンドがどのように相場を見ているのかを垣間見れる貴重な情報のForm-13Fはチェックしておくべきだと思います。
注意点
Form-13Fをチェックするときの注意点をまとめます。
報告の遅延と市場動向の変化
報告される情報は最大で45日遅れであり、その間に市場環境や投資顧問のポジションが大きく変わる可能性がある。報告内容が現状(ニュースやファンダ)と一致しているかを確認することが重要です。取得した時期、回数は不明
Form-13には、3月末の保有銘柄を報告すればよい。1月~3月末のどこでその銘柄を保有したのかは分からない。同じく、1度に買ったのか10回に分けて買ったのかも分からない。小ポジションは不明
Form 13Fでは10万ドル以上の株式ポジションのみが報告される。そのため、小規模なポジションは見えない(これは特に影響ないかな)。投資戦略の目的は理解できない
彼らがなぜ特定の株式を保有しているのか、その背景や目的(短期取引なのか、ペアトレなのか、ヘッジなのか、配当目的なのか、長期投資なのかなど)を知ることはできない。類推するしかない。一部の資産クラスが除外される: Form 13Fは株式と株式関連の証券のみが対象であり、他の資産クラス(債券、現金、プライベートエクイティ、不動産など)は報告されない。投資顧問の全体的なポートフォリオのリスクや分散を完全に把握することはできない。
それでは、見ていきましょう。AUM(Assets under management、運用資産残高)が多い順です。
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