見出し画像

撮って出しが絵画チックになるLUMIX用フォトスタイル

今年のGW中、滋賀に帰省した際に新緑の琵琶湖周辺をLUMIX S5M2のリアルタイムLUTを使って撮影していました。LUMIX用の自作LUTはいくつか公開していますが、まだ未公開だったLUTもあり、今回はその中の「ClaireBlue for FLAT」を利用したMY PHOTO STYLE設定を紹介したいと思います。

LUMIX S5M2などリアルタイムLUTを使える機種の場合、MY PHOTO STYLEを使うことで、ベースとなるフォトスタイル+LUT+各種パラメーターによりJPEG撮って出しでいろんな表現が楽しめます。よければ以前紹介した自作フォトスタイル「Rusted Neo」の説明もご参考ください。

写真作例

今回の設定を使うと、JPEGでこんな雰囲気の写真が撮れます。

SIGMA 50mm F2 DG DN / F5.6(絞り優先) / 1/250 / ISO100 / 露出補正 -1 / AWB
SIGMA 50mm F2 DG DN / F7.1(絞り優先) / 1/640 / ISO100 / 露出補正 -1 / AWB
SIGMA 50mm F2 DG DN / F9(絞り優先) / 1/400 / ISO100 / 露出補正 -1 / AWB
SIGMA 50mm F2 DG DN / F10(絞り優先) / 1/60 / ISO100 / 露出補正なし / AWB

このように、LUMIXのMY PHOTO STYLEでLUTを当てた上である程度追い込むと、JPEG撮って出しでも絵画のような面白い写真が撮影できます。それでは今回の設定方法を紹介します。

LUTと設定

最初に、今回の設定は撮影体験において割と「打率の低い」ものである、というのをお断りしておきます。どういう事かと言うと、撮影条件によっては、なんだかなぁという写真が量産されがちです。その中で何枚か「ヒット」が出る、という程度で遊んでみていただけばと思います。自分なりに遊んできた中で「ヒット」の出やすい条件や場面を後半で紹介します。

① ClaireBlue for FLATを入手

まずLUT「ClaireBlue for FLAT」を以下よりダウンロードください。もともとこのLUTは、リアルタイムLUT用に自作し配布した「ClaireBlue(クレールブルー)」を、通常ガンマ用に作り直したLUTになります。リアルタイムLUTの場合、基本的にベースのフォトスタイルがV-Log(ログガンマ)になりますが、今回の「ClaireBlue for FLAT」はベースのフォトスタイルが「FLAT」になります。

ClaireBlue for FLATダウンロード

ダウンロードの際は、この記事をシェアいただけると嬉しいです!

② LUTライブラリに呼び込む

上記でダウンロードした「ClaireBlue_for_FLAT_by_Akiraxe.cube」をカメラメニュー内の「LUTライブラリ」に登録しておきます。

③ MY PHOTO STYLEでの設定

LUMIXのフォトスタイル設定から「MY PHOTO STYLE」のどれかに進んでもらい以下のように設定ください。

MY PHOTO STYLE 設定画面でひとまずこの設定に

ベースのフォトスタイルはFLATを選んでおいてください。一番最後の項目で、LUTをONにし、ClaireBlue_for_FLATを選択してください。
以上の設定が終わったらこの設定を「登録」しておいてください。その際、フォトスタイルに「ClaireBlue for FLAT」など名前を付けておく事をオススメします。

場面により適宜調整

今回の設定では、場面によりいくつかの項目を変更しながら撮影する事をお勧めします。特に明暗差の大きい場面では、シャドウの値を+方向に調整します。逆に明暗差のそこまで無い場面でシャドウを上げると気持ち悪い写真になるので、その場合はシャドウを0付近まで戻します。
また、この設定でClaireBlue for FLATを適用すると、緑〜シアンにかけて色が飽和する感じがあります。これは意図通りなのですが、そのまま彩度が高いと気持ち悪い写真になってしまうので、適宜、彩度を下げて全体的に優しい色に仕上げます。ひとまず-3程度で撮影し、好みにより彩度をもう少し下げても良い感じになります。
なおシャープネスとノイズリダクションという相反するパラメーターを互いにMAX(+5)にしているのは、輪郭を明確にしつつ塗りのディテールはのっぺりさせる、という処理を狙っています。この辺りの考察は以前、Xでポストした通りです。

絞り優先モードで露出補正を使う

まずは絞り優先(A)モードにして、意図したF値(F5.6〜11辺りを推奨)で撮影していきます。その際、露出補正は0 〜 −1の範囲で、場面により少しアンダー目に撮影すると好結果になります。この露出補正がキモで「全体的に飛び気味かな?」と思うくらいが良いかもしれません。逆に露出補正で-2などアンダーに振りすぎると、色はしっかり出てくる反面、絵画っぽくはならずフツーの写真になりがちです。

露出補正なしで撮影したもの。全体的にハイキーだがこれくらいがちょうど良いと思う
露出補正-2アンダーにして撮影したもの。好みかもしれないが世界観は薄らぐ

この設定でヒットを出すコツ

さきほど「この設定は割と打率の低いもの」と言いましたが、場面によってはただのノペっとした気持ち悪い写真になってしまいがちです。つまり万能なフォトスタイルではありません。
そこで、どういった場面に有効なのか、どういう状況下で撮影すると良好な結果が得られるかを自分なりにまとめてみました。

1)晴天時に木々や街路樹が映り込む場面

いわずもがな、曇天だどかなりふぬけた写真になります。晴天時、対象物がしっかりと影を落とした場面で有効です。またLUT自体が空の青や木々の緑を強調させる効果を狙っているため、木が多めの構図が良結果を生みます。たとえばキャンプ場や緑が多い公園、街路樹が映える住宅街などがオススメです。

2)絞りは基本的に絞ってシャープに

シャープネス最強で線画のような効果を狙っているので、その世界観を壊さない程度に絞りを考察して撮影します。作例ではF5.6-11程度を行ったりきたりしていました。ただ例外もあり、時に絞りを開けてみても面白い表現になる事もあります。また先ほども言いましたが、場面により露出補正による明るさの調整も忘れずに。

3)光は順光もしくはサイド光で狙う

逆光になると明暗差がうまく活かせなくなるので、順光を基本とし、時にサイド光で印象的に見せるのがオススメです。

SIGMA 50mm F2 DG DN / F9(絞り優先) / 1/400 / ISO100 / 露出補正 -1 / AWB

4)木漏れ日による影が、まだらなコントラストを作っている

木々の木漏れ日の明暗差が出る場面は、このフォトスタイルのもっとも得意とする場面です。

SIGMA 50mm F2 DG DN / F2.8(絞り優先) / 1/400 / ISO100 / 露出補正なし / AWB

5)単色無機質なモニュメントと街路樹の組み合わせ

木々の緑に、単色でシンプルなモニュメントの組み合わせもヒットします。そういう意味では、街路樹+アスファルト、という組み合わせも向いています。

SIGMA 50mm F2 DG DN / F2.0(絞り優先) / 1/6400 / ISO100 / 露出補正-1 / AWB
SIGMA 50mm F2 DG DN / F7.1(絞り優先) / 1/400 / ISO100 / 露出補正-1 / AWB

以上になります!ぜひ一度このMY PHOTO STYLE設定で遊んでみてください。今回も最後までご覧いただき、ありがとうございました。もしこの記事を気に入っていただけたらシェアいただけると嬉しいです。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?