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ゲームを遊ばない老母に『リングフィットアドベンチャー』を勧めてみたら、大変だったけど楽しかった話

70を過ぎ、ゲームに興味がほぼない母に『リングフィットアドベンチャー』を勧めてみた。
50分ぐらいほぼつきっきりだったが、最期には「結構運動した感覚があるねぇ!」と喜んで終わってくれて嬉しかった……だけでなく、見ていて「ゲーム経験がないとこんなに苦労するのか」と知識としてためになったのでそのときのことを書き記しておく。

母は若い頃からテニスなどの運動が好きで、この年になってもテニスサークルに通っている。
最近はコロナの都合もあるし、雨でテニスが中止になるとがっかりするし、家でできる運動として『リングフィットアドベンチャー』を勧めてみたところ……。


ゲームはやりたくないからいい。


これは専用器具を買わないとできない運動の一種で、これだけ遊んで筋肉ムキムキになった人もいるぐらいすごいんだよ。
ブルワーカーみたいなちゃんとした道具でやる運動なの。


筋肉がつくゲームなんてあるの!?
やるやる!(豹変)

母が知っていそうな年代の器具で説明すると、「筋肉がつく」ことに食いついてやることに。母はほんと、健康や運動には関心があるけど、コンピューターゲームはあまり好きではないのだった。

母にとってみると、ここ20年で初めてのゲーム機が Nintendo Switch になった(タッチパネルで遊ぶ麻雀がテニスサークルで流行っており、スマホで麻雀はやっている)。

Nintendo Switchが起動できない!

Nintendo Switchを起動するには、一定時間内にボタンの3連打しなければならない。ところが、母の連打が遅すぎて、Nintendo Switchの画面を起動できない。
いきなり予想もしない障害にびっくり。
スマホに慣れているのでタッチパネルを使おうとする傾向があり、タッチパネルは3連打しようとしていたのが原因だった。
ボタンは3連打できたが、さすがにここはタッチパネルでも3回連打できるように練習してもらった。

スティックで選択できない

スティックを弾くように入力する(フリックの要領を想像してもらえると良いかも)ので、スティックを使ってメニュー画面の移動ができない。
ここはスマホを利用しているから画面タッチで乗り切れたが、スティックをすぐに戻せず、1回だけ横に入れたいのに、弾くか押しっぱなしにして2~3個以上横に移動してからニュートラル状態に戻してしまう。

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ファミコン時代のコントローラーはとてもシンプルだったが、現代のコントローラーはとても複雑だ。
十字キーよりもスティックは平面操作に対して直感的ではないし、年配になってから初めて触るものとして、ゲームコントローラー、とくにコントローラーの脱着まで行う Nintendo Switch は、ややハードルが高い装置と言えそうだ。

決定ボタンを押しても進まない!

Nintendo Switch ではAボタンを決定に使用する。
だが、リングコントローラーに Joy-Conを取り付けるとXボタンで決定に変化する(本来、右ボタンが決定になっているという説明が適切)。

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というわけで、私がメニューで「Aボタンで決定」と教えたのに、Xが決定になってしまってゲームが進めなくなっていた。
母は知らないスイッチを押してしまうことに、PCで想定していない入力をすると挙動が予想がつかないなどの経験から警戒を抱いている。
よって、Nintendo Switch を壊さないように他のボタンを押して試すことなく、先に進めなくなってしまった。

一応、最初にそれは説明したし、ゲーム内でも出るけど、この日の母は覚えることが多くて、忘れてしまったようだ。

その他、障害が襲い掛かる!

その後もいろいろな障害があって、少し目を離すたびにゲームが進まなくなっていた。

・リングコンの持ち方が違うので反応せず、進まない。
・疲れたのでリングフィットを押し込む力が弱くなり、押し込んで決定ができなくなって大混乱。
・黄色に白抜きのメッセージ画面が見えづらいから、途中から見なくなる。

などなど、多数の障害があったのだが、最後に印象的だった勘違いが1つあったのでそれを紹介して終わる。

話しているのに進まない!

最初にリングフィットコントローラーを押し込んだりしてメッセージを読み進める方法など説明し、初期設定を終えた(ここでも年齢をスティックで入力できず大変だった)あとも、カルチャーショックを受ける状況が続いた。

一番驚いたのは「話しているのにゲームが進まない!」事件だった。
ゲームが進んでいないので様子を見に近くに行くと、母が必死にゲームに話しかけていた。
そして、「話しているのに返事してくれない」と母は言う。

普通にボタンなどでメッセージ送りすれば進むシーンなのだが、母の中では「会話して進むシーン」という認識になっているようで、リングに話しかけてゲームを進めようとしていたのだった。

そうして母のプレイを見守っていると、リングが「任せろ!」と言えば母は「頼んだわよ」と語り、ゲーム中すべての会話に返事をしていた。
あまりにゲームに縁がないので、人に接するようにゲームに接するしかできなかったのかもしれない。いずれにせよ、礼儀正しくリングと会話して遊ぶ母の様子は楽しそうだった。。

そういえば、最後に母が興味を示したゲームは、もう20年前、ドリームキャストの『シーマン』だった。

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あのときは私が声をかけているのを見ていたし、ゲーム内にいるキャラクターは生きているもので、返事をしないことは失礼に当たるし、適切に会話しなければ進まないものという意識があったのかもしれない。

どうしたものか悩んだ後、最後に「声をかけても反応しないよ」と教えたが、母はゲームと会話しようとすることをやめなかった。
私にはもう、とてもそういった遊び方はできない(ぜったい返事をしないし、声を認識していないと分かりきっているから)。
そういった楽しみ方ができるのが、とても羨ましかった。

追記

そして3日後、母はリングフィットに飽きてやめた。

「テニスに行ったら、やっぱりテニスで体動かす方が良かったから」

が理由。




げーむきゃすと は あなた を みて、「さいごまで よんでくれて うれしい」と かたった。