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元鬱病、外の事を思う

とある土曜日。午前7時30分。
山口県は徳山駅みゆき口にいた。

駅から徒歩10分の場所にある徳山港を7時35分発の船に乗りたかったので、やむを得ず大人の力を駆使してタクシーに飛び乗る。

「どちらまで?え?港まで?5分後の船?!」
「回天記念館まで?え?若い方お一人で?!」
「この時間に新幹線ってありますの?え?夜行バスで?!」

往復夜行バスによる変な場所ひとり旅が趣味である私。往復夜行バス旅は確実に体力が持っていかれるので、週末の弾丸旅に向けて、今週はジムで普段の1.5倍きついメニューをこなした。平日に堆積した筋トレ疲れと夜行バス明け特有の体勢でガチガチになった体をほぐしつつ、そして旅先にていつも受ける質問を聞き流しつつ、困惑と好奇心の塊と化した地元のドライバーさんに可能な限り車を飛ばしてもらう。

今回の目的地は回天記念館である。特攻と言えば零戦がイメージしやすいかもしれないが、実は戦争時に最初に発案された特攻(人間魚雷)である。人間魚雷っていう言葉ってえぐいですよね。

特段思想やらなんやらがあるわけでもない。学生の頃、カリフォルニアにいた時に空母で話した退役軍人に「あの時の日本の魚雷は凄かった」等と聞いてから、なんとなく回天の存在を知り、いつか行きたいリストに加えて少しずつ勉強していた。

知識がある状態で行ったので、作られた背景の衝撃や悲惨さにショックを受けることはあまりなかった。が、出撃した兄から弟へ宛てられた一通の遺書に目が止まった。

「外の事を考えるな。考えると迷う。」

遺書は写真を撮れないので朧気な記憶ながら、こんな感じの文章だったとしか言えない。しかし、この文を書いた彼は迷っていたんだろうなと思った。外の事を考えたかったんだろうなとも思った。

私は考えることが好きだ。その弊害もあるのだけれど、自由に考えられる今の時代に生きられているラッキーに感謝したい。

そんなこんなで日本に限れば平和な大型連休。皆様も良きGWになりますように。

明日も自分に優しくできますように。

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