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ゲノム編集治療に期待しますか?


はじめに

高齢者に必ずウケる話と言えば健康ネタですね。
自分には関係なくとも最新の医療を知っておきたい高齢者。
遺伝子治療と言ったら多くの人が関心を持つでしょう。
自分が生きている間には実用化されないだろうと口には出しては言うが、心の内にはかすかな期待という話題です。

ヘモグロビン異常の病気とその原因

鎌状赤血球貧血症とベータサラセミアというヘモグロビン蛋白異常の病気のゲノム編集治療が英国と米国で承認されました(2024.1.17 朝日新聞)。
この病気は重度の貧血、手足の強い痛み、臓器不全などの症状があります。
病気の原因は、遺伝子が原因で正常なヘモグロビンが作れないためです。

従来の治療法

従来の唯一の治療法は、健康な人の造血幹細胞の骨髄移植だけでした。
しかし、やはり自分の細胞ではありません。
適合するドナーが見つかりにくい上に、移植しても合併症が起こり易い。

新しい治療法とその流れ

新しい治療法は患者自身の遺伝子の異常を修正するという方法です。
生涯続く効果が期待できます。
1.患者の骨髄から造血幹細胞を取り出す。
2.取り出した造血幹細胞の遺伝子をクリスパー・キャス9という手法で編集して、正常な赤血球を作れるようにする。
3.注射して患者の体内に戻す。

新しい治療法の課題

新しい技術であり、技術が未成熟で、間違って目的外の遺伝子を改変してしまうことはないでしょうか?
間違って編集した結果、細胞が癌化するかもしれません。
臨床試験では問題は起きていませんが、治療後は15年間の追跡調査を予定しています。
このように、予想外の副作用が起きていないかなど注意深く見守りながら、遺伝子編集技術を確実なものにしていくしかありません。

治療費は高額です。
米国では200万ドル、約3億円ほどになります。
今後の研究課題の一つはコストの低下です。

まとめ

日本ではこの病気の患者は少なく、期待されているのはこの病気の治療法ではありません。
これまで治せなかった遺伝子疾患を、同様の手法で治療できるようになることでしょう。
ゲノム編集治療が手が届くところまでになったことが実感できます。
このゲノム編集治療に期待しますか?


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