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ブータンの障害者事情から見えてくること。

昨日、今日と、『東洋経済オンライン』にて、私が寄稿した記事が掲載されている。“幸せの国”として知られるブータンにおける障害者の現状をレポートしたものだ。

他にも何件かの取材をしたが、この記事には収録しきれなかった話もある。障害児を抱える母親たちにインタビューをした時のことだ。

うちの娘は3歳のダウン症です。いまは少しずつ自分でできることも増えてきましたが、生まれた時には、「この子は一生歩くことも、話すこともできないだろう」と医師から言われて、目の前が真っ暗になりました。

日本であれば、たとえダウン症であっても、歩いたり、話したりできることを多くの人が知っている。しかし、ブータンでは医師という立場であっても、そうした知識に乏しいという事実に驚かされた。

発達障害の傾向が見られる4歳の男の子を持つ母親からは、「手術をしてこの子をフツーにしてあげることはできないのか」と何度も質問された。それは質問というよりも、懇願に近いものだった。

日本においても、まだ「発達障害は周囲に比べて劣る存在ではなく、認知の仕方が周囲と異なるだけ。ただの違いである」という考えが広く受け入れられているとは言い難い。そんななかで、「手術で矯正などできないし、“普通”を目指すのではなく、お子さんの良さを伸ばしてあげる方向で」と言っても、ブータン人の母親の耳に届くはずがなかった。

こうしたことからもわかるように、ブータンにおける障害者は理解もされず、適切な対応も取られておらず、かなり苦しい立場に置かれていることがわかった。日本と比べれば、雲泥の差であることがわかる。

しかし、その日本も福祉先進国と言われる北欧諸国と比べれば、やはり雲泥の差であると言わざるを得ない。大切なのは「どこどこの国と比べて」ではなく、障害のある人が社会から疎外されず、その人の持つ可能性を最大限に発揮できる環境があるか、という点なのだろうと思う。

そうした意味では、まだまだ日本も発展途上。上記の問いに胸を張って、「日本にはそうした環境があります」と言えるよう、私自身、今後も力を尽くしていきたい。

【東洋経済オンライン】
幸せの国ブータンでは障害者も「幸せ」なのか

「幸せの国」ブータンで見えた障害者の過酷

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