面白い旅のエピソードを求めすぎた結果、インドネシアで宝石詐欺に巻き込まれてしまいました。【巻き込まれるまで】
皆さん初めまして。
世界一周中のWebライター、はっちーと申します!
コロナウイルスが流行する直前に行ったアメリカ横断で長期の海外旅行にハマり、2022年8月1日から世界一周に出発。
面白い旅のエピソードを探し求め、33時間船に乗ってみたり、トイレより臭いバスに20時間乗ってみたり、いろいろなことに挑戦していました。
そして、出発してからちょうど50日目の9月19日、本当に宝石詐欺に巻き込まれてしまいました。
巻き込まれているときは「ついに自分にもこんなエピソードが来たか!!」と湧いていたわけですが、後から考えてみると非常に危ない状況でした。
今回は、僕の身に起こった本当の話を、注意喚起も含めて皆さんにシェアしたいと思います。
旅は自由です。
どこに行くかも、何をするかも自分で決められます。
ほとんどのことは自己責任で済みますが、もし自己責任の範囲を越えてしまった場合、他の人に迷惑がかかることも考えなければいけません。
それが自由に伴う責任というものです。
少し長くなりますが、これから海外旅行へ行く予定の方や、現地の人と触れ合った旅がしたいという方はぜひご一読ください。
宝石詐欺師との出会い
この話の舞台は、インドネシアのとある観光島です。
僕のSNSを見ればすぐどこかわかってしまうのですが、大使館の方から「直接的な表現は避けた方がいいかも」とアドバイスをいただいたので、記事内では少し間接的な表現をさせていただきます。
街に到着したばかりの僕は、Google Mapを見ながら近くの観光スポットへ歩いて向かっていました。
すると、道沿いにあるカフェの外でタバコを吸っていた男と目が合い、なんてことはない雑談タイムが始まります。
「日本に何回か行ったことあるし、友達もいるよ」
「出身はネパールだけど、今はオーストラリアに住んでいて宝石を扱う仕事をしているんだ」
会話の内容はいたって普通でしたが、何を隠そう、この男こそが1人目の宝石詐欺師(以下、ネパ)だったのです。
「なんでそんな知らないやつと長話をするんだ」というツッコミが聞こえてきたので、簡単に理由を説明させてください。
・オーストラリアでワーキングホリデーをしようと考えていたので、少しでもオーストラリアの情報が欲しかった
・旅の目的の1つが『現地の人と仲良くなる』ことだったので、明らかに怪しくなければ最初から疑わないようにしていた
さて、理由という名の言い訳が終わったところで、話を続けます。
ネパは宝石のバイヤーをしていて、世界中を飛び回りながらいろいろな国で宝石を探しているんだとか。
話が終わりそうになったタイミングで「このあとどうするの?」と聞かれたので、「適当にGoogle Map見ながら散歩する予定だよ」と答えました。
すると彼は「俺バイクで来たから、よかったらいろいろ連れてってあげるよ!」と。
東南アジアを知らない人からすると「めちゃくちゃいい人やん!」と思うかもしれませんが、だいたい東南アジアでは連れ回った最後にチップを要求してきます。
小さい詐欺みたいなもんですね。
「それお金かかるでしょ?俺お金ないし、自分で回るからいいよ」
僕がそう伝えると彼は
「ノーノー!俺はお金なんか取らないよ、普通に君と友達になりたいだけ。ここで会ったのも何かの縁だし、こういう縁を大事にしたいんだよね、俺。」
アホな僕はこう思いました。
「もしかしてこれはタダでバイクが乗れるチャンスなのでは?」と。
本当に1円も払わないよと念を押し、バイクを使って観光地を周りながら街を4時間ほど観光しました。
ネパはよくこの街に来ているらしく、とても周辺に詳しかったです。
穴場スポットやおすすめのレストランに連れて行ってくれて、最後は宿の前まで送ってくれました。
この段階では宝石に関する話は一切なく、ただの優しいネパール人という印象でした。
それから定期的に「飲みに行かない?」「コーヒー行かない?」とメッセージが来ていましたが、変な内容のメッセージはなし。
別れてから4日後にクラブへ誘われて一緒に遊びましたが、そのときも変な行動は一切なし。
面白いエピソードになるかなぁと思ってクラブに行ったのに、思った以上に平和でした。
一緒にクラブへ行った日本人の友だちも「この人(ネパ)は大丈夫だと思う」と言っていました。
今思えば、ここで信頼関係を作っておくのが彼らの作戦だったんだと思います。
彼らの作戦通り、僕はネパに対して「ただのいいやつ」という印象を抱いていました。
すべて僕を騙すための嘘だとも知らずに。
怪しい話と再会
ネパと別れてから1週間ほど経ち、僕は少し離れた別の島にいました。
今後の旅の予定を考えていると、急にネパから電話がかかってきます。
「前に俺の仕事の話をしたと思うんだけど、実は今日本のクライアントからたくさん注文が来てるんだ。でも俺らはコロナの影響で日本に入れないから、とても困ってる。 君は日本のパスポートを持ってるから日本に入れるよね?助けて欲しいんだ」
と必死に訴えてきます。
このときは特に詐欺とは思わず、
「助けるって、何をどういうふうにするの?通訳とか?」と聞くと、
「ボスに説明してもらう方がいいから、ボスから電話をかけてもいい?」と。
「ボスって誰だ?」と思いながら「わかった」と言うとすぐに電話が切れ、”ボス”から電話がかかってきます。
この男が、2人目の宝石詐欺師であり主犯格、通称”ボス”と呼ばれる人物です。
このとき僕は内心「自分にも旅の面白エピソードがきたぞ!!」とワクワクしていました。
ボスは今置かれている状況と、何を手伝って欲しいのかを説明し始めます。
・日本のクライアントからたくさん注文が来ている
・コロナの影響で日本に入れなくて、クライアントを失いそう
・ 君は日本のパスポートを持ってるから助けて欲しい
・違法なことは何一つないし、すべて合法な手続きを通して行う
・これまでもたくさん同じような旅人に手伝ってもらってきた
・お礼にいくらか謝礼も渡せるし、お互いWin-Win
こんな感じでした。
なんで僕なのか聞いたら、「今インドネシアに旅行用のビザできている日本人が君しか見つからなかった」とのこと。
さらに、何をどう手伝うのかの詳細は教えてくれず、直接会ってから教えると。
話を聞き終わってまず僕は思いました。
「これは詐欺だ」
そもそもそんな上手い話があるわけないし、数日前に会ったばかりのやつにそんな大切な仕事を任せるわけがない。
では、なぜ詐欺だと分かりながらも巻き込まれてしまったのか、その理由をこれから解説したいと思います。
「世界一周に行きたい!」と思っている方は当てはまる部分も多いと思うので、気をつけてください。
巻き込まれてしまった理由
その①面白い旅のエピソードが欲しかった
僕の知り合いは旅経験が豊富な人が多く、世界一周前から海外旅行に関するいろいろなエピソードを聞いていました。
その中でも聞いていて一番ワクワクしたのが「旅のトラブル」に関するエピソードでした。
タクシーで移動していたら山賊に襲われた話や、南米の国境で意識を失った話など、日本にいたら到底経験できないエピソードを聞くたび、「自分もそんな経験がしたいな」と思っていました。
日本のことわざで『賢者は歴史に学び、愚者は経験に学ぶ』という言葉があります。
僕は圧倒的に愚者のタイプでして、失敗とか成功とか関係なく自分で経験しないと気が済まない性格なんです。
世界一周に出たからには、何か面白いトラブルが起きて欲しいと本気で思っていました。
そんなときにネパから電話があり、「多分詐欺だけど、詐欺だってわかってれば騙されることもないだろうし、逆に面白い経験をするチャンスなのでは?」と考えてしまったのがよくありませんでした。
その②詐欺師を舐めていた
あなたの周りに「自分は詐欺には引っかからない」と言っている人はいませんか?
僕も同じことを言っていました。
「詐欺なんか話聞いたらすぐわかるじゃん」と思ってたんです。
もしあなたが友人からそういう相談を受けたら、すぐに詐欺だとわかるでしょう。
ただ、当事者になると話は変わってきます。
僕は電話してから彼らに会うまで、「多分これは詐欺だから、お金は絶対払わないし、身の危険を感じたらすぐ逃げよう」と肝に銘じていました。
ですが気づいたら、手伝うことを前向きに考えている自分がいたんです。
どこでそうなったかはわかりませんが、彼らは「自分たちは嘘をついていない」ことを証明するためにあらゆる方法を使ってきます。
今思い返しても完璧で、感動すら覚えます。
ただ僕は、騙されかけていたにも関わらず彼らに1円も払っていません。
(郵送料で4000円払いましたが、それはまた宝石詐欺の方法に関するパートでお話しします)
心の底では「これは詐欺だ」と思っていたようで、お金だけは払っちゃいけないと理性が働いてくれました。
理性、ありがとう。
身体に関しても、怪我もなくピンピンしています。
が、もし彼らがお金のためになんでもする人間だったら、僕はこの世からいなくなっていたかもしれません。
ホテルから飛行機代まですべて彼らが出してくれる予定だったので、僕が泊まっていたホテルも彼らが用意してくれたものでした。
ホテルと彼らがグルで監禁される可能性もあるので、ホテルの口コミを調べたり、フロントの人と詐欺師につながりがないかそれとなくチェックしたりしていましたが、今思えば何の意味もない行動だったと思います。
詐欺師の演技は素人が見破れるものではありませんし、自分が気づかないうちに思考を操られてしまうんです。
僕は「詐欺だってわかってれば騙されるわけがない」とたかをくくっていましたが、そんなことはありませんでした。
プロは想像以上です。
もし「これは詐欺だ」と思ったら、一切関わらないことを強くおすすめします。
本当は1つの記事で書き終えたかったのですが、あまりにも長くなってしまったので、詐欺の手口はまた明日、別の記事でまとめて投稿したいと思います。
ここまで読んでいただきありがとうございました!
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