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「猫への恩返し」はどんな価値観の表れ?

沖縄で暮らし始めて、沖縄県内でのお仕事を、少しずついただけるようになってきました。10月から隔週水曜日、全4回で行った、とまとハウジング様の社員研修が、11月16日で最終回でした。

研修の入り口

社長の川端ゆかりさんに、1年半ほど前、大学バスケ部の後輩経由で『コミュニティ・オーガナイジングーーほしい未来をみんなで創る5つのステップ』(鎌田華乃子著、英治出版)をご紹介したことがきっかけでした。

ゆかりさんは今回の研修を通して、会社の方向性や課題を、経営者や一部スタッフが決めたり解決するのではなく、一人ひとりが意見を持ち、特定のスタッフに負荷がかからないようにしたいという思いをお持ちでした。

そこで、コミュニティ・オーガナイジングのキャンペーンチーム立ち上げの過程を応用し、以下のように研修のゴールを設定しました。

研修第1回:イントロダクション/何かあったときの対応策の引き出し方

10月5日の研修スタートでは、
「みなさんがとまとハウジングで働いていて、良かったな、これいいなと思っていること」
をシェアしていただきました。

  • コミュニケーションがよくとれている

  • 休みがとりやすい

  • やさしい、気配りのある職場

  • ありがとうが言い合える

  • オンもオフも充実

  • 出たり入ったりがあっても働きやすい

これだけ聞いて、私はもうこの研修は必要ないのでは⁉と思いました。笑
しかしとまとハウジングでは社員一人ひとりのスキルアップ、学び続ける姿勢も大切にしていらっしゃるので、初回のメニューは、そのコミュニケーションに磨きをかけてもらうべく、「コミュニティ・オーガナイジングにおけるコーチング」でした。

何かの課題・困難に直面し、その解決や解消に行き詰っている理由は「頭・心・手」のどれなのかを質問で見出していく。見出したらどう進めていきたいかを、コーチが教えたり指示したりするのではなく、当事者が見つけ出せるように更に質問をするという手法です。初めて学んだみなさんの学び気づき(→それを受けての私のコメント)の一部が以下です。

  • 質問のコーチングを受けることで、課題が自分の中で整理された。自分で自分の課題の分析にも使えそう

  • 頭・心・手の3つを意識して質問するのは忙しい→3ついっぺんには聞けない。どこから聞くか考えておくと◎

  • 時間内にどう乗り越えるのか本人から引き出せなかった→研修内では制限時間を設けるが、お互いに使える時間を確認して進めると◎。繰り返すうちに短い時間で引き出すスキルが磨かれる!

  • なかなか難しい。ついつい「それは○○だね」なんて、口をついてしまいまう。口やかましいお母さんではなく、子の個性を引き出せるお母さんになれるチャンスではないか!

おそらく10年以上前の話になりますが、頼まれてもいないのに友人の占いについて行きました。 「その人と一緒になったら破れたパンツも買い換えられなくなるよ」 と隣に座る友人が告げられていたのを見て、そのお相手とのお別れを強く進めたわたしです。...

Posted by 沖縄クチコミ不動産 とまとハウジング on Wednesday, October 5, 2022

研修第2回:私を知る

チームをより機能させるためには、どういうメンバーがチーム内にいるのかよく知る必要があります。合わせて、メンバー自身が自分をよく知ることも欠かせません。そのため、2回目では「私を知る」というテーマで、自分の価値観、大事に思っていること、判断基準として内面化していることについて、それはこれまでのどのような経験で自分のものになったのかを「Story of self」というタイトルで語り、お互いに聞いて学びました。

  • 講師(あだにー)のストーリーとはシーンも学年も違うのに、自分の学生時代の話を思い出して語るなんてびっくり

  • (あるメンバーが)似た経緯を持っていることがわかり、さらに聞いてみたいことがいろいろある

  • 自分自身のことを話す機会はそんなになかったし、こういう機会がないと話さないことを話せた

研修第3回:お互いを知る/メンバーの共通点を見つける

自分を知った後は、メンバー同士がよりお互いを知るプロセスを学びます。チームができていく段階で、1対1で話し、お互いの価値観・大事な思い/関心/資源を知り合い、それをチーム全体で共有していくステップです。

  • ステップを踏んで進めることに精一杯で「感じる」ことができていない→コミュニティ・オーガナイジングのスキルの多くはまず”型”を身に付けるといいので、その進め方でOK!

  • 自分が大事にしている思いや価値観は?と聞かれると、出てこない

  • 会話をするときに、ぼんやりでもゴールや目的を決めたり深堀をすることで相手から知れる情報、深さが変わる。少しのことで違いがあるとわかった


第4回:とまとハウジングのビジョン・ミッションづくり

いよいよ最終回。自分を知り、メンバーを知り、チームで共有しているものを見える化し、ビジョン・ミッション(コミュニティ・オーガナイジングのプロセスの中では「共有目的」と呼んでいます。)を作ろう、というところなのですが、とまとハウジングには「とまとハウジングのお約束」として機能しているものがあります。改めて読んでみたら、とても素敵です。

研修前の準備中(この日は感染対策に気を付けながら、リアルとzoomのハイブリッド開催でした!)に社員のお一人にお聞きしてみました。

あだにー「とまとハウジングのお約束は、普段お仕事の中で意識されていますか?」
社員さん「はい、結構定着しています。」
あだにー「なるほど。何か迷ったときなど、戻ってくるものになっている感じ?」
社員さん「そんな感じです。」

ビジョン・ミッション(共有目的)があっても多くのメンバーが忘れてしまっていたり、一部の人(リーダーや経営者)が作ったのでしっくりきていなかったりすることも多い中、とまとハウジングのお約束はみんなのものになっているとは、なんて素晴らしいのでしょう。
そしてここで再び、もう最終回必要ないのでは⁉と思ったわけです。笑

しかしまたまた気を取り直して、4回目は、もう一度とまとハウジングのお約束をみなさんのものにしていただき、更にそれを踏まえて次のステップや、チームの新しい形、お一人おひとりが目指すことなどを自分の言葉にすることを目指しました。

具体的には、3回目で見える化した、チームで共有している価値観と関心、そしてみなさん固有の資源と、ホームページの「社長メッセージ」などからも読み取れる、とまとハウジングの価値観、関心、資源を見ながら、「私たちのチームは、(目的)どんな社会/地域/コミュニティを実現するために、(同志)誰と、(活動)どんなことに取り組むか」という一文を作り上げることです。

ワークに入る前に、私からは次のような質問もしています。

「『猫への恩返し』は価値観に近い表現なのですが、実際には関心です。猫への恩返しによって、どんな社会に、沖縄にしていきたいですか?それが価値観です。」

4つのステップを経て作り上げます。

①まずは個人で一文を書いてみる
②書いたものをチームで共有する
③②で見えた他のメンバーの表現や考え方を踏まえてもう一度文章化
④全員分から1つを選ぶ

②では、同じことを伝えるのであっても、他の人が書いたものから「あの表現の方がしっくりくるな」と感じたり、「そういう取り組みもいいな」という気づきがあったりします。
④では、最終的に1つに選びますが、選ぶ過程で、選ばれないものの中に気になるものがないか、組み合わせを変えたいものがないかなど確認し、それぞれのメンバーが自分の思いが反映されていると実感できるように気を付けます。

みなさんの気持ちが1つになった瞬間

最終回でもこのステップを踏み、1つの共有目的に絞られました。

ここまででもみなさん、お互いに影響し合いながら気持ち載せながら、思いが1つになっていく過程を味わっていらっしゃる様子が伝わってきました。
ですが、さらにもう1段階上がありました!これがとまとハウジングの魅力かー!と感動したのですが。

最後に4回の研修を振り返っての学び・気づきなどをみなさんからお聞きし、終わりに近づいたときのことです。

「私がとまとハウジングに転職したきっかけを改めて話す機会になった。スタッフ間の仲の良さ、コミュニケーションがとれていることに憧れていた。人生を無駄に過ごしたくない。だから『今ある時間を大切に』と書いた。」

という言葉を受けて、次のコメントが、

「長い一日の中大半を職場で過ごす。すでに居心地は良いのですが、今回みんなのお話を聞き『今ある時間を大切にする』というフレーズを連れて行きたくなった。(最終案の同志の前に)『限りある時間をともにする』を追加したらどうか。」

というものでした。いやもうこの流れに鳥肌立ちました。すばらしい化学変化でした。

4回の研修の中でも特に4回目で、言語化、言葉にして伝えることの大切さを感じました。既にある組織のビジョン・ミッションを改めて見直すだけでも意味があり、それを組織外の人の目で「ここがいいね」「共感する」などのフィードバックを得ることで自分の組織を好きなったりするかもしれません。
自分の内側にある、チームや仕事、もっと大きな人生に対する関心や希望を、言語化というプロセスでアウトプットし、それを一緒に仕事をする仲間、一緒にチャレンジをするメンバーに伝えることは、何と言うか力になる感じがしました。自分自身にとっても、チームにとっても。

コミュニティ・オーガナイジングを応用した社員研修をしてみて

私は今まで、市販の履歴書では書ききれないくらいの転職を繰り返してきました。その中での一番の実感は、

仕事は、何をするかも大事だけど、誰とするかがもっと重要

というものです。
そして、今回の研修を通して、コミュニティ・オーガナイジングのチーム構築のステップは、

いかにお互いに気持ちよい関係性を作り維持するか

という視点で組み立てられていると、改めて気が付きました、というかそう言語化できました。

大事な機会をくださった、ゆかりさん、一緒に学びの場を作ってくださった、とまとハウジングのみなさま、どうもありがとうございました♡

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