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【花谷流】登山系SNSの活用法

今朝、甲斐駒ヶ岳七丈小屋の小屋番から連絡を受け、急遽花谷のSNSでも注意喚起をさせていただきました。

先に断っておきますが、「ピッケル・アイゼンを使用せずに登頂できた!」という発信に対して、私は一切非難しません。
その方は事実そうやって登れたのですから。そして多分、私も登れます。
登山は自己表現の世界です。
どういう登り方をしても、どういう発信をしても、それが自分以外の誰かがやっている以上、コントロールはできません。

唯一コントロールができのは、自分自身の行動だけです。


○情報をどう捉えるか

いまの時期の黒戸尾根は、七丈小屋から上部の北側斜面にたっぷりと雪が残っていて、その斜面を時にはトラバースしなければなりません。もしそこでスリップした場合は、場所によっては標高差500mは滑落します。滑落防止のため、前爪付きのアイゼンとピッケルを必ず持参し、適切に使用して行動してください。

昨年のGW明けの黒戸尾根(2500m付近)
昨年のGW明けの黒戸尾根(八合目〜九合目)
この場所で右側にスリップしたら助かりません。
去年のGW明けの甲斐駒ヶ岳山頂付近

とてもシンプルですが、これが今の時期の黒戸尾根です。
これだけの情報を出せば、たいていの人はしっかりと装備を持ってきてくれます。しかしこの情報が全ての人に届く訳ではありませんし、情報を受け取った全ての人が装備を持ってきてくれるわけではありません。なのでこんなことを書いても結局あまり意味はないのですが、、、
事故予防の観点で書いておきます。

いまはYAMAPやヤマレコなどの登山系SNSを中心に、沢山の山行レポートを読むことができます。これは本当に便利で、私も初めて行く山域だったり、久しぶりに行く場所であれば必ずチェックし、最新の山の状況を判断する材料にしています。
そのときにどんな情報を抽出して参考にするかは、当然ですが書いた人側ではなく読む人側の問題です。

今回もSNSで注意喚起をしたところ、情報発信側を非難するコメントが見られましたが、残念ながらこれはコントロールできません。

○客観的な情報だけを抽出する

じゃあどうしたらいいのか?
結論から言うとこの見出しの通り、客観的な情報だけを抽出するクセをつけるということが大切です。
じゃあ登山系SNSなどから抽出できる客観的な情報って何でしょうか?

それはズバリ、写真と映像です。

本文は書き手の主観です。
書き手が慎重な人かイケイケな人かで同じ日の同じ山でも表現が全然違います。なので文章はアテになりません。読むなと言っている訳ではなく、情報収集という観点では、あまり参考にしないほうがいいということです。

しかし写真と映像は、その時の状況をありのままに捉えています。そして登山系SNSの優れている点は、それがどこで撮影されたものかがひと目で分かることです。この写真や映像だけを見て、持って行く装備の判断をすればいいだけです。

【追記】
ヤマレコ社長の的場さんが、Xでコメントしてくれたので紹介します。

ポイントは
・情報をどう使うかは受け手であるあなたの責任です
・かならず複数の情報源を確認しましょう
・コースタイムも参考程度にしましょう
・情報の提供をしてくれている人に感謝をしましょう
・最終的にはすべて自分の責任であることを理解しましょう

ぜひご一読を!!

しかしどれだけ情報収集をしても、結局は行ってみないと分かりません。
記録が上がっていた日から数日で状況が変わります。
特に残雪期は日々コンディションが激しく変化します。結果として持っていったアイゼンやピッケルは使わない場合もあります。

そしてその人は書くでしょう。
アイゼンやピッケルは使わなかったと。

○自分の行動は自分で決める

登山の醍醐味は、自分の行動を自分で決められることだと思います。
装備が足りなくて、
体力がギリギリで、
天気が悪くなりそうで、
引き返すのか、それとも進むのか。その行動判断は自由です。

しかしその判断には、少なからず命がかかっています。

今年のGW後半の天気予報は良さそうで、沢山の方が山を楽しまれていると思います。

その登山が、楽しい思い出で終わることを願って止みません。

よろしければサポートもよろしくお願いします。いただいたサポートは、登山道の保全やヒマラヤキャンプといった、登山文化を次世代に引き継いでいく活動費として使わせていただきます!!