見出し画像

【詩】じんせい

岩に打つ荒波
幾度も幾度も
打ち寄せては砕け散り
また生まれて
割れていく


子供ながらに思い出す
人生は波の様に
寄せては
砕け散るのだろうか


ボールを壁に当てては
拾いもせず
ただボールの行方を見るだけ


どこにいても
いるようでいない


気持ちをわかってくれるのは
父の部屋にある
小さな本棚にある本たち


いくら歩いても
空を見つめても
見つからない
人生の答え


読んだところで
本の中には答えはない
また荒波を見る


それでも
たおやかな言葉に
おされて
歌を歌い
励まされ
違う景色を見せてくれる


哀しみには意味があり
悦びにも意味はある


黄色いハンカチを
揺らしながら
我が子がこちらを
向いている

ボールを取って
子供の近くに寄る
無邪気に笑う姿は
固くなった心を溶かす


まだわからない
人生の意味
なぜ人は生きているのか


答えは今じゃなくていい
いつか会えるあの人のように
文庫本を鞄に入れ
ゆっくりと答えを探す



この記事が参加している募集

#スキしてみて

523,049件

#私の作品紹介

95,380件

書き手としてサポートしていただくと励みになります。サポートしたいと言う優しい方々、心の広い方々よろしくお願いします🎵