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無職になった僕が書いた歌詞

ある日突然僕は無職になった。

前回note「僕が会社を辞めた理由」

途方に暮れていた、
一体全体これからどうすれば良いのか。

持病の不安もあって選択肢も多くはない。
積もる不安はやがて焦りに変わり、
そして自分の無力さを嘆いた。

ただただカレンダーと時計を眺める時間が続いた。

ついこの間までは当たり前に持っていた
自分の存在意義が、全く無くなってしまったのだ。

しかし人生とは不思議なものだ、
退職してからひと月ほど過ぎたあたりに

「一度会ってお話がしたい」と打診があった。

相手はあのワーナーミュージックさんだった。
青天の霹靂とは正にこの事だった、
まるで狐につままれたようにポカンとした。

実は社会人として企業に勤めながら、
休日を利用して「TORAfic☆signALL」(以下トラシグ)という名義で音楽活動をしていた。

しかし「目標はメジャーデビュー!」
「武道館ライブ!」「絶対売れてやる!」

と言った、いわゆるインディーズのミュージシャンの方々の熱量とは程遠く

相方のGA-HA-とは
「無理せずやれる範囲でやりたい様にやろう」と
のんびりやっていた。

そのトラシグの楽曲に興味を持って頂いたのだ。

断る理由などどこを探しても見当たらなかったのでGA-HA-と都内の事務所へ出向く事にした。

正直言えばその時僕は浮き足立つこともなければ緊張することもなかった。

何故ならその時の僕の自己肯定感ゲージはエンプティーを指していたからだ。0なのだ。

反対に「僕なんかに興味を持つはずがない」と言う自信だけは満タンになってた。


確かにGA-HA-は音楽に関して沢山の魅力とスキルを持ってる。

しかし問題は僕だ。
「僕の音楽的評価などこの世に存在するのか?」
と半信半疑のまま事務所に向かった。

いや、いささか話を盛ってしまった。

半信すら持ち合わせていなかった。


軽い挨拶をし、広い会議室に通された。
都内一等地の洗練されたオフィスはとても煌びやかに見えた。

担当の方はとても温和で丁寧かつユーモアのある方だった。
しかし相手はあのワーナーミュージックの本部長である。
思い出した様に緊張が湧いてくる。

和やかな雑談を終え話は本題に向かっていく、
僕らの音楽活動の話しだ。

音楽関係の話はGA-HA-の方が造詣が深いので、僕と言えば取り留めもない相槌に終始していた。

しかしその会話の中での
本部長のある言葉が突如胸に響いた。

「トラシグのお二人だからこそ書けるメッセージがあるんです」



「・・・・・・・・・・・・!?」

「えっお二人?それ僕も入ってます?」

耳を疑った、しかし話の流れからすると僕の耳には間違いが無いようだった。

自己肯定感エンプティーマンが、今まさに肯定されてるのだ。

そして屈託の無い無邪気な笑顔で
「みんなが元気になるような応援歌作りましょうよ!」と続けてくれた。

無くなっていた存在意義に再び火が灯り始めた


その会談から程なくしてGA-HA-から一つの音源が上がってきた。

その楽曲は「Mayday」というタイトルだった。
5月、抱いていた理想と立ちはだかる現実に苛まれている人の背中を押すと言うのが楽曲のテーマだ。

結成以来、僕らは自身の歌詞パートは各々が担当している。

GA-HA-が先行して書いていたサビと1バース目を聴いて直ぐに気付いた、

「これは表面的なフレーズの羅列では書ききれない曲だ」と。

受け取る人への敬意と配慮を細部までこだわらなければ完成しない事、

またその為には自分の経験を具体的かつ深く掘り下げて表現しなければいけない事、

そして僕自身が生き生きと歌うことが
周りの人達への最大の応援、恩返しになると言うことを。

まさかあの時の挫折と葛藤の経験が財産になるとは思いもよらなかった、

ひとの人生とはまったく不思議なものだ。

また表現者の端くれとして、発信できる者が発信すべきものを作品に昇華しなければならないとも思った。

歌い回しなどの手直しはあったものの、歌詞の内容はほぼ初稿のままFixした。

3バース目に至っては初稿のまま丸ごと使うことになった。

この曲の終盤にどうしても書きたかった一節があった、

もしこの先、
環境や人間関係に困ったり
自信を無くしてしまったとしても、
覚えておいて欲しいことがある。

「必要ない奴なんかいない
      思ってるより世界は広い」

と言うことを。

トラシグの新曲「Mayday」には沢山の想いと愛情を込めました。

是非一度お聴き頂ければ幸いです🙏

「Mayday」配信サイト


「Mayday」MV YouTube

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