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刀ミュ『東京心覚』の桑名君がどこまでも大地だった。心を耕された審神者の問わず語り

大地の下からこんにちは、桑名君目当てで審神者になったライターのハシビロコです。

5月23日に行われた『ミュージカル『刀剣乱舞』―東京心覚―』大千秋楽を心の中で掘り返しては、思い出し桑名君の尊さを噛みしめております。
ライブ配信ではありますが、あの時間をともに過ごすことができて本当に幸せです。

実は大千秋楽が『東京心覚』初見だった私。
ゲーム内の桑名君イラストや声が大好きすぎて、「別の人が演じるとどうなってしまうんだろう」と、ふんぎりがつかず別日の配信チケットを買えずにいました。

しかし見る前から判断するわけにはいかないと決心。
ドキドキしながら観劇した結果……不安がきれいに分解されて土に還りました。なんだこれ土壌が喜んでいる。

桑名君、実在した。

あまりにも幸せすぎて感想を書かずにはいられなかったので、しばし問わず語りにお付き合いください。

※あくまで個人の感想であり、公式等とは一切関係ありません。
※桑名君が大好きすぎるあまりにバイアスがかかっているかもしれませんがご容赦ください。
※この審神者はよく土に還ります。

全身が桑名君そのもの

今回桑名君を演じてくださったのは福井巴也さん
大変申し訳ないことに俳優事情にうといので、桑名君役になるまで存じ上げませんでした。
しかし見れば見るほど、桑名君になるべくして生まれてきたとしか思えない完璧な骨格。
全身のバランス感が桑名君そのものです。

そもそも桑名君は衣装がダボっとしているので、がっしりした骨格でないとだらしなく見えがち。
ボリューム感のあるズボンからハイカットのスニーカーにかけてシュッと洗練されていくようなラインも、脚にしっかり筋肉が付いていないと動いたときに頼りなさが出てしまいます

その点、福井さん演じる桑名君は理想的なバランス感。作画が、いい。
手のひらもがっしりしているので、鍬を握るときの無骨さや収穫したお野菜を持つときの包容力も感じられます。
とくに鍬を担いだときの肩幅とのバランス、1億点満点。

さらに戦うときは腰を落として重心を低めにしているので軸の安定感が抜群。
遡行軍のみなさんに踏み込むときの一歩にも力強さがあふれています。
走るときの歩幅が大きいのもいい。

あと大地に触れる膝と手がとてもやさしくて泣きました。尊さで前が見えない。

ここで少し真面目な話をすると、両メカクレキャラって外からは目と眉が見えないんですよ。

……何を当たり前のことを、と思ったかもしれません。
しかし「目は口ほどに物を言う」といわれているだけあり、演者にとって目元はかなり重要な要素。
メカクレはそんな感情表現の武器でもある目を使うことができません。
しかも桑名君は両目が隠れているのでかわいい……じゃなかった、演技がかなり難しい。

だというのに、ステージに立つ桑名君は本当に表情が豊かでした。

目が隠れている分、視線が集中しやすい口元の角度や開き方が絶妙
ときには舞台上を両腕を広げてダイナミックに走り回ることもあり、全身で喜怒哀楽を表現していました。
立っているときに片手をポケットに入れている姿や、脚を大きく開いてどっしりとした腕組みをする姿も桑名君らしいです。

口元でのある意味「静」の演技と、身体全体を使った「動」の演技
ふたつの使い分けや緩急がすばらしく、画面の前でずっと拝み倒していました。

衣装が全方向から拝める

ゲームの立ち絵では見えない角度やパーツをチェックできるのも、刀ミュの長所。後ろ姿ああなっていたのか……。

さらに動きが加わることで、「あの衣装だと布がどう揺れるんだろう」と妄想で補っていた部分も確認できます

ズボンが脚に密着しないからこそ出るひらひら感、大きめパーカーや長めのひも、身軽さと丈夫さを兼ね備えた布の質感など、衣装の好きな部分に見入ってしまいました。
あとウィッグの造形が神。

さらに刀ミュは2部のライブパートで衣装チェンジが用意されているので何度もおいしい。
思い出しただけで心の大地に花が咲きます。

2部の衣装は戦闘服をモチーフにした、あいどる感のあるキラキラしたデザイン
アウターの裾は長めで、動くたびに少し遅れて桑名君の後ろをついてきます。
それでもハイカットのスニーカーは健在なので、このまま農作業に行っても土の中で転びにくい仕様。
華やかですが泥臭さも残っており、桑名君のあいどる姿にぴったりです。

しかしこれだけではありません。
2部の衣装はあと2段階進化可能。だんだん布面積が減っていきます。
そして私のライフも減っていきます。
もうやめて! ライフはとっくに0よ!(半そでとタンクトップに感謝)

「あれだけ鍬を振るっていたらそれだけ鍛えられるよね」と納得した腕回りの筋肉量にもぜひ注目してほしいです。

衣装などの写真は福井さんのTwitterにたくさん掲載されているので、ぜひメディア欄をのぞいてみてください……!
蜻蛉切さんとのツーショットやアホ毛どアップのお写真もありますよ……!

作中での立ち位置が大地

ここまでさんざん外見の話をしてきたので、いい加減中身の話もしなければ。
時系列が複雑に絡み合い形を成す『東京心覚』の物語はもちろん、桑名君の立ち位置もお気に入りです。

これから見る方もいるかもしれないので大きなネタバレなしで表現すると「どんな大地でも地道に耕し続ける桑名君」です。
これを聞いたら、だいたいの桑名君近侍審神者は卒倒すると思う(暴論)。

だってそんなのもう神じゃん……すでに付喪神だけど……太陽よりも眩しいじゃん……。

これまで桑名君には、大地をのんびりと歩いていく大型犬のようなイメージを勝手に抱いていました。
しかし本作を見て「大地に根差したみんなのお兄さん」に脳内アップデート。
絶大な包容力と安定感に、何度も魂を救われました。

何度も悲しい場面がやってくる物語ですが、桑名君は常に自然体
どんなときもありのままで、いつも通りでいてくれるからこそ「ここに帰ってこれば大丈夫」と思えました。まるで実家。
もはや審神者が桑名君に育てられている気がしてきました。

地に足のついた歌声

ミュージカルなので当然桑名君も歌います。
楽しみでもありましたが、曲調や歌詞が自分の解釈と違っていたら受け入れられるだろうかと、少し不安でもありました。

緊張しながら待っていると、耳に入ってきたのはアコースティックギターのイントロ。
一瞬であふれ出る里山感。せっせと大地を耕す桑名君の姿。

それでは聞いてください。
タイトルは「大地とこんにちは」

はい豊作ー!!!! トマトも真っ赤に実るね!

……すみませんかなり取り乱しました。

歌詞も振り付けも桑名君にしかできないものばかり
大地をコンコンとノックしたり、サクサク掘り返したりする振り付けに、なんか変な声が出ました。
きっと土の中から悶絶する審神者の声が聞こえてくる(幻聴)。心もぐるぐるするんじゃ。
クリエイターさんに一生分のお野菜をお送りしたい気持ちでいっぱいです。

途中で大地に向かって「はじめまして」とあいさつする歌詞もあり、しかもお辞儀までする礼儀正しさ。
ちゃんとあいさつできる子えらい……。大地への愛を感じる。
お辞儀した瞬間に頭にちょっと乗っかるパーカーの動きも最高にかわいいです。
しゃがんだり走り回ったりと運動量の多い振り付けなのに、息を切らさずに歌い切る桑名君の肺活量に感服いたしました。

音域は桑名君らしく、どっしりとした中低音がメイン
ほかの刀剣男士と歌うシーンでは、たいてい下ハモや1オクターブ下を担当していました。
まさに縁の下の力持ち。いや、大地じゃん。

地に足をつけつつ、どこまでも広がって森羅万象を包み込むかのようなあたたかい歌声
これを子守歌にしたら安らかに永眠できます。

いつか満開の花の中で

思いのたけを長々と書いてしまいましたが、結局言いたいことはひとつ。
舞台の上で桑名君が生きていたことはたしかです。

本作の観劇後に残ったのは、両手で抱えきれないほどの幸福感と、野菜と花でいっぱいの美しい大地の風景
カーテンコールで目にした山吹色の光は、心の中にずっと残ると思います。

それぞれの本丸にそれぞれの刀剣男士がいるように、ミュージカルもあくまで解釈のひとつかもしれません。
それでも私にとっては、充分すぎるほど心の養分となりました。

全力で桑名君に向き合ってくださった福井さんや共演者の皆様、そしてスタッフさんや関係者の皆様、本当にありがとうございます。
いつかまた桑名君が満開の花を咲かせてくれる日が楽しみです。大根をかじりながら待っています。

ほら、江6振で出陣してくれてもいいんですよ……。

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