五味ちゃんと双極性障害の10年

こんにちは、ハヤカワ五味です。

先日のnoteで触れた、持病”双極性障害”について、もう少し詳細に、公表の背景を書いてみようと思います。

これはあくまで、ハヤカワ五味の場合の双極性障害の症状と対処、付き合い方です。症状は人によって様々であるため、病気との付き合い方の一例としてご覧ください。

双極性障害の症状を自覚したのは、24歳のある朝でした。

布団から起きれなくなって「これ先輩起業家が言ってたやつだ」と思い近所の精神科に行くと、すぐに双極性障害の診断を貰いました。そもそも症状としては19歳頃から自覚があったので「そういうことだったのか!」とスッキリした気持ちだったのを覚えています。

最初は、日々気持ちの浮き沈みに振り回されていて、暗くて冷たいうつのトンネルがいつまでも続くように思えました。私は本当に友達に恵まれていたため、友人達の助けもありなんとか快方に向かいました。

正直、身近な数人に伝えておけば治療自体はできたので、親にも最近やっと軽く話したくらいで(多分あまり理解していない…)、周囲の人には殆ど双極性障害について話していませんでした。もちろん、職場の人にもです。

なぜなら、病名がなくても「睡眠時間は変えたくないんですよね〜」とか「今週来週は調子悪そうなのでリモートにします」といった具合で、周囲に説明ができ配慮を求めることができたからです。

なので、正直、ずっとクローズ(非公開)で過ごしていくつもりでしたが、この4年間で、アウティング(​​他人の秘密を許可なく話すこと)が数回ありました。手続きで書面にて持病を記載した際、後日、仕事関連の複数人に噂が広がっており、現代でもこのようなことがあるのか…と思いました。

特に、双極性障害はうつ病ほど認知度も高くないので、自分の知らないところで噂や憶測が広がり、自分の想像していない不必要な配慮が行われることが本当に怖かったです。

具体的には「精神疾患だから業務量を減らしておこう」といったようなもので、私としてはむしろそのような扱いを受けることに強いストレスを感じる方でした。後ほど説明しますが、自分の場合は睡眠時間など生活リズムを変えなければ軽躁状態にはなりづらいので、業務量を(勝手に)減らされることで生活リズムが崩れることの方が病状の悪化につながり得ます。そのように、誰かに勝手に噂を流されて勝手に解釈されるくらいなら、自分の口から正しく説明したいって感じですね。

ただ、アウティングがなければ、このように公にすることはなかったと思います。

※アウティングは主に性的指向の暴露の意味で使われる言葉ですが、意味合いとして一番近いのであえて使わせていただきました。

そもそも双極性障害とは?

双極性障害(双極症)は、躁状態または軽躁状態とうつ状態がくり返しあらわれる病気です。人は誰しも良いことやうれしいことがあれば気分が高揚し、反対に失恋したり仕事で失敗したときなどは気分が落ち込むものです。しかし双極性障害では、このような「気分の浮き沈み」をはるかに超えた激しく病的な症状が一定期間にあらわれて、困った問題が次々と起こります。20~30代に発症することが多く、発症頻度はおよそ100人に1人と決してまれな病気ではありません。うつ病の患者さんは女性が多いですが、双極性障害の場合は男女差はほとんどありません。
「障害」という言葉が偏見を持たれてしまうことや患者さん自身が言葉にとらわれてしまうことがあるため、最近では「双極症」とも呼ばれています。

加藤忠史:これだけは知っておきたい双極性障害, 第2版, 翔泳社, 東京, p.11, 2022

双極性障害は判断が難しい病気で発覚に至りづらく、私も20代前半の頃はパニック障害と診断を受けて治療を受けていました。

また双極性障害には、激しい躁状態とうつ状態のある双極性障害Ⅰ型と、軽い躁的な状態(軽躁状態)とうつ状態のある双極性障害Ⅱ型があり、私はⅡ型でした。

自分の場合は軽躁状態になると、ほぼ確定でその後に強いうつ状態となるので、うつを防ぐと言うよりは軽躁状態にならないように対処してきました。具体的には、睡眠時間など生活のルーティンを変えないこと、過集中をしないようなスケジュールにすること、攻撃的になるなど軽躁状態が疑われる場合は周囲の友人に指摘してもらえるようにしています。そのような対処を徹底して、自分自身の調子をモニタリングすることで、日々の生活を取り戻していきました。ただ、そこで1つ壁にぶつかります。

それは「双極性障害の症状こそが、私らしさなのではないか」ということです。

双極性障害の治療で難しいとされているのは、「(軽)躁状態が通常の自分だ」というように、軽躁状態こそが調子の良い状態だと認識してしまいうつ状態でなかったとしても(軽)躁状態と比べて「なんか調子が悪い」と思ってしまうことだと聞いたことがあります。

私を形作る、興味が広いことや恐れ知らずなとことか、何事にもチャレンジしてみる姿勢とか、色々な私らしさが全て双極性障害の症状のような気がして、それらが無くなったら何も私に残らないんじゃないかと。とにかく、治療することで何者でもなくなってしまうのではないか、という強い不安がありました。とはいえ治療開始当時は目の前の事業もあり正直それどころじゃなかったので、とりあえず仕事ができるコンディションに戻すために治療を始めました。

現在、主治医から「ベースライン(基準値)維持だね」と言われてから1年近く経ちます。双極性障害に"完治"はないので、寛解(症状が出ない状態)を保つことを目指していきます。現在の私は寛解状態が1年近く続いていますが、この状態を保つ必要があるので、数ヶ月に一回、変わりがないかを確認するために通院しつつ、基本的な薬の服用を続けています。

治療が落ち着いた今だから言えますが、別に治療をしても自分の起業家精神、パッション、熱量みたいなのは全く削がれなかったです。一方で、その時だけの考えで周囲を巻き込んでめちゃくちゃにするようなリスキーな行動は減ったので、自分で自分の首を絞めることは減りました。

私は、今の自分の方が好きです。

とはいえ、ハヤカワ五味としての人生の殆どは双極性障害と共にあり、SNSを通して面白いと言われていた部分も「躁状態の自分のことなんじゃないか」と思うこともあります。

SNSでバズりまくっていた20代前半の自分を振り返ると、ベースラインではなく軽躁状態の方が多かったのではないかと。軽躁状態でぶっ飛んだ発言をして、時にはキレ散らかしていて、時には泣き喚いていて、感情が爆発していて、だからバズっていたし面白かったんじゃないかと。

ハヤカワ五味を期待され煽られると、軽躁状態の私を求められているように思えてしまいます。しかも、求められたら私もそっちに引っ張られそうで怖かったんです。「あの頃の五味ちゃんの方が良かったな」と言われると、軽躁状態になったら良いのかと、魔が差すときがあります。その後にうつ状態という暗いトンネルが待っているのをわかっていてもです。

なので、私の言葉で、私の現在を説明できたらと思いました。それは私なりの再発防止の対策です。

そして、フォロワーの皆さんに改めて伝えたいことがあります。

まず、20代前半のようなキテレツで感情ジェットコースターみたいな五味ちゃんはもう見せられないと思います。なのでそういう面白さはもうないですが、今後はもっとヘルシーな面白さを、事業とか生き様を通して見せれたらなあと思っています。

キテレツではないですが、物事に深い興味を持ち、社会課題に向き合い、人の声を聞く五味ちゃんは健在ですしむしろ磨きがかかっています。今の自分の方が、圧倒的に、自信をもって人を巻き込めるし、確実にやれることが増えたように思います。

(なんかあまり強気で書きすぎると躁っぽく見えるので難しいのですが、この公表自体数ヶ月前から計画していたものなので、このnoteに書いてあることは間違いないと思います。)

先日のnoteでも掲載しましたが、一緒に働きたい人募集フォームがあるのでピンと来た人はご連絡ください。形態問わず今後やることは検討していきたいので、お気軽に!

双極性障害と働くに関するインタビューの動画がこちらで本日20時より公開されます。noteとは違った切り口で、より具体的に、双極性障害と付き合ってきた10年間を振り返っているのでよければチェックください。

また、私としても双極性障害の周知に関われたら嬉しいので、何かできることがあれば以下までご連絡ください。

hayakawagomi.info@gmail.com

では引き続き、宜しくお願いします!

いつも読んでくださりありがとうございます!サポートは、お勉強代として活用させていただいております。