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なぜ男性は脱いでもOKなのか?

昨日の夜のこと。

夕食の片付けで食器を洗っていると
何やらテレビを見ながら子供たちが
キャッキャと騒いでいた。

何やらスポーツマンを競う番組が放映されており
とんでもない高さの跳び箱を
有名人たちが跳んでいる様子であった。

パッと見る限り子供たちが知っているような
人は出ていないような気がするのだが、
一体なぜ彼らは騒いでいるのか。

そう思っていると、娘が私のところに来て
「パパ、体操のお兄さんがでてるで」と言った。

見てみると今の一つ前の代のお兄さんが
軽々と超人的な跳び箱を飛び越えている。

妻も体操のお兄さんが出ていることで
俄然見る気になったらしく、
結局そのまま家族でその番組を観ることになった。

跳び箱、ビーチフラッグと競技が続いて
猛者たちがそろう中で体操のお兄さんは
とても善戦していた。

お兄さんが活躍する度に
リビングに黄色い声援がこだまする。

何だかその光景が面白く
私は番組の内容というよりも
家族のリアクションなど直接関係のないところに
意識を向けながら全体的な雰囲気を
楽しんでいた。

そんな風に少し斜めから見ていたせいだろうか。

私はあることが急に気になり始めた。

それは、競技する際に選手がなぜか
毎回シャツを脱ぐことである。

言うまでもなく基本的にスポーツは
着衣で行うものである。

オリンピックでもほとんどの競技は
所定のユニフォームを着用して行い、
上半身裸で行うような競技は私が知る限り
水泳や水球などの水の中でする競技以外はない。

だが、昨日観ていた番組では全員ではないものの
多くの選手が競技が始まる前に
シャツを脱ぎ捨てて、上半身裸で競技をしていたのだ。

当然このような番組に出る人たちなので
皆の体は筋肉が付きながらも引き締まり
とても見栄えするものであった。

この番組で競う競技がボディビルならば
それは間違いなく正しい選択肢であろう。

鍛え上げた体を見せて採点されることが
ボディビルの主旨だからである。

だが、今回観ていた競技においては
選手の体は全く関係のない話である。

仮に筋肉もなく脂肪が多い体であったとしても
競技でいい結果を出せば何の問題もないのだ。

にもかかわらずそれを露出させるということは
視聴者の中に一定数、選手の筋肉を見たいという
ニーズがあるということなのだろうか。

だとすれば、何だかとても奇妙な気がする。

鍛え上げた筋肉を美しいと思う感性は
私も持ち合わせているし、
私もトレーニングをする人として
他人の筋肉に興味はある。

だが、本質的に関係ない競技で
それを選手に求める事は
何だか違うと思うのだ。

性別の違いをそのまま同じモノサシで
測ることはナンセンスだと思ってはいるが、
これが女性選手ならばこのようなことを
当たり前に求めるだろうか。

恐らくそうはならないと思うのだ。

なぜ男性ならばそれが問題ないのか。

無論、本人が自分の裸を晒したいと
思っているならば問題はないのだろうが、
何度も言うようにこの番組の主旨は
競技を競うことであって
体をアピールすることではないのだ。

かつては女性の出演者の方がなぜか水着姿に
なるような番組があった。

それもニーズがあるからこそ
それに応える形で番組制作者が出演者に
水着姿をオファーしていたのであろう。

だが、今はそのような番組は私が知る限り
ほとんどなくなった気がしている。

時代の流れ的に不適切だと判断されるように
なってきたからであろう。

しかし、本質的にこれは昨日私が観たような
男性が出演する番組においても同じことが
言えるのではないだろうか。

私は男性としてこれまで生きてきて
昔から「男性なら見られてもいい」という前提で
扱われることに違和感を持ってきた。

男性は廊下で着替えさせても大丈夫。
男性トイレの小便器は外から見えても大丈夫。
男性だから裸でも大丈夫。

このように扱われるたびに、
「少なくとも私は大丈夫ではない」と思っていたのだ。

自分で言うのもおこがましいが、
私は筋トレを長らくしているので
何もしていない人と比べれば筋肉量も多いし、
それなりに引き締まった体をしている自負はある。

だが、それを人にわざわざ見せたいとは
全く思わないし、
むしろ見られることは好きではない。

昨日出演していた選手たちほど鍛えれば
もしかすると体をアピールしたくなる領域に
入るのかもしれないが、
少なくとも私にはその感覚はわからない。

結局、昨日の番組は妻も子供たちも
とても白熱しながら最後まで観ていたが、
私は一人離脱して別の部屋で
事前に決めたメニューの筋トレをした。

他人の筋肉を見るよりも、
やはり自分の筋肉に100%の意識を向けて
負荷をかけていくほうが私の性には
どうやら合っているらしい。

今から数年後にこの番組が続いているとすれば、
このような体を露出されるパフォーマンスは
無くなっていることを願いながら
背中の筋肉を追い込む私であった。

私がちゃんとシャツを着たまま
トレーニングしたことはいうまでもない。




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