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参加サークル:hs*

文学イベント東京 参加サークル 「hs*」の紹介ページです。

hs*のせらひかり様は、少し不思議、隣に異世界な小説や絵を描かれる作家様です。140字小説から長編まで。


「貴方がいけないんだ!」身勝手に言って、君は目の前のぬいぐるみを噛みちぎった。嗚呼、誰か止めてくれ。アンティークは気に入られてずたずたに引き裂かれる。興奮して野生的になった猫又は、ストーブに尾が当たって我に返った。「こんなことになって辛い」しおれた猫又のため贈り物は繕ってやった。

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一人にしないで。捕まえてしがみつく。寒すぎて、体が震える。捕まえられた方は迷惑顔。温もりを分かつ前に、お互い奪い取られる形。夜はどんどん更けてゆく。ふわりと軽やかに雪が降り出す。夜を明かした後、小鳥の翼は一直線に逃げて行く。鷹も悠然と空へ。彼らを抱き込んで暖を取った竜も羽ばたく。

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闇の中、突然訪れる沈黙が怖い。さっきまで話していたのに。ふと黙り込むと、誰もいないようだ。呼吸や温かさだけが頼りだった。大丈夫だよと君は呟く。歌でも歌ってよ。山で道を外れ、穴に落ちたまま歌う。歌のおかげか日暮れ前に発見してもらったが、君は隣にいない。化かした狸か何かに礼を言った。

 *

夜更け、人気のない道を急ぎ足で駆け抜ける。呼応するように足音が増える。軽いものや重いもの、四つ足のもの。はぐれないよう着いてきていたそれは、真後ろに迫る怪しい誰かの足に絡みつき転ばせた。慌てて角を曲がって逃げ切った後、お守り代わりのストラップからビーズがいくつか消えていた。

 *

街路のツリーが光り輝く。ロマンチックに慣れてないので、距離を取って歩く。「何で離れるの?」君が聞くから、人混みのせいにする。それなら、と君がこちらの手を取る。掌が温かい。こちらは爬虫類ベースの獣人だが、今はいい防寒服があるから手は冷えていない。繋いだ手がずっと温かいことを願う夜。



■ 「はじまりのうたとおわりのうた」

書き出しと書きおわりのお題を使用した、55題×2=110話の140字小説の再録集。すこしふしぎな掌編小説の世界。

A6サイズ本文58p 自家印刷手製本



■ 「ツカノマアタラクシア」

「文体の舵をとれ」のお題で書いた掌編短編集。文体の縛りがある中で、ゆらゆら駆け回る物語。だいたいすこしふしぎ。

A6サイズ本文65p 自家印刷手製本



「はじまりのうたとおわりのうた」300円
「ツカノマアタラクシア」300円
は、文学イベント東京 販売予定作品です。

参加希望者(WEB作家さん・イラスト描きさん・漫画家さん)は以下でチケットを購入ください。


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