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ひろがるしゃしん

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架空の書籍の目次だけをつくってみたら実際に出版することになりました。写真についての考え方や生き方、はたらき方についての本になります。
運営しているクリエイター

#視点

世界を見つけるということ

「木洩れ陽」が好きでよく撮ります。美しいですよね。木々の隙間から光が射して映し出されたそれ。風に揺れるとまるで小さな子供たちがダンスしているようにも見えます。この言葉を生み出した豊かな感性に憧れます。ところで英語では「木洩れ陽」を一言で表せられないそうです。 英語では ”sunlight filters through the trees” のようなセンテンスで表現されるそうです。同じように日本語にも一言で表せられない現象があります。たとえば ”Petrichor(ペトリコ

みんなと同じものを撮るほうが難しい

写真という行為ができること、それは、ものごとを「どう見る」かだと思います。等しく目の前にひろがる世界を自分だけの目でどう見るのか。「何をどう見るのか」という眼差しこそがその人らしさを決めるのだと思います。 その対象は、なにも突拍子のないものや、誰も行っていないような場所、珍しいことでもある必要はありません。みんなが知っているものごとでもよいのです。むしろそのほうがおもしろくなると思っています。なぜなら、見慣れたものごとである分、その人だけの見方がより浮き彫りになるからです。

写真の真価

世界を自分だけの目で「見る」ということ。誰とも異なる見方をするということ。それが写真を撮る者の役目なのかもしれないと気づいてから、とても生きやすくなりました。 それまではずいぶん狭い視野のまま生きていたような気がします。追い込まれてしまっても、これしかない、と勝手に思い込んで苦しくなることが何度もありました。そういう経験ってありませんか? ほんとうはほかにも道があるかもしれないのに... そんな思考に陥ってしまうのはひどく危ないことですよね。 でも、写真という表現に出会っ