見出し画像

初任者教員に関する残酷な統計

新年度が始まり、初任者は夢や希望に満ち溢れてキラキラしています。しかし、夢には現実を覆い隠すという残酷な面もあります。教員になって半年もすれば、多くの方は現実が見えてきます。夢が覚めた先に待っているものとは…。

統計から示される残酷な事実をこの記事で紹介します。初任教員の方は、決して人ごとだとは思わないでください。


半年経たずに退職

せっかく正規採用されても、慣れない業務や多忙な学校現場により疲弊し、サポートも受けられず孤立し、1学期で辞めてしまう人が出てきます(詳しくはこちら)。

一年経ったら1〜2%が退職

1年の条件附採用期間を終えて晴れて一人前、と思いきやその1年で退職を選ばざるをえない人も平均で1〜2%います。

2021年度に全国で1年以内に退職した教員は1.6%でした。2022年度、東京都ではそれを上回る4.4%の新規採用教員は退職しています。さらに2023年度では悪化し、4.9%の新規採用教員が退職しました。精神疾患が退職理由に挙げられており、約半数を占めています。全国でも同様の傾向になりつつありそうです。

丁寧な新人育成をする環境が不十分である学校に配置されたり、業務精選が進んでおらず初任者への負担すら過度な学校に所属することになったりと、運が悪いと1年目で教職を去ることになるのです。

毎年2%は精神疾患で休むことに

初年度を乗り切ると、立派な一人前と見なされ、さらに業務負担や責任は重くなります。そして、精神疾患による休職のリスクと隣合わせになります。

2022年度に精神疾患で休職・病気休暇(一ヶ月以上)を取得した全国の公立学校教員は1万2192人でした。精神疾患による休職者・休暇取得者は教員全体の1.42%です。しかし、若い世代ほど割合は高く、20代の教員に占める割合は2.02%です。50人に1人が毎年精神を病んで休んでいる状況です。なお、教員の内訳は、小学校が3202人とほぼ半数を占めています。

初年度を乗り切っても、安泰ではありません。より負担の大きい業務を担い、長時間労働を続けていくことに耐えられなくなる可能性があります。

休職したら20%が退職

では、休職した後はどうなるのでしょうか。

2022年度に精神疾患で休職に入った6539人のうち、2023年度4月で1270人が退職していたことが分かっています。なお、4割の2606人は復職し、ほぼ同数は休職したままでした。

それ以外にも精神疾患にならずとも辞めていく人はいます。上記も含め、20代教員の自己都合退職率は5%ほどであることにも注意が必要です。

まとめ

このような現実が統計として存在します。新規採用されたあなた含めた100人の同期の数は、1年後には96人になり、2年3年と経る毎に91人、86人とどんどん減っていきます。その中には精神を病んで休職し、最終的には不本意ながら退職せざるを得なくなる人も含まれます。

夢を抱いて教職に就いた人はなおのこと要注意です。こういう現実があることも知った上で、働くことが何より大切です。無理しすぎず、働き続けられるように工夫して、自分の身を守るのです。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?