開幕した関西リーグを2日連続して見てきたので、ちょっとガッツリといろいろ書いてみた、というお話

関西リーグの開幕戦は毎年、淡路島にあるアスパ五色での集中開催です。JFLや地域CLも開催したことのある会場で、クラブハウスとスタンドのあるメイングラウンドと芝生のスタンドのみのサブグラウンド、2面とも天然芝という恵まれた環境のグラウンドです。欠点と言えば、アクセスが悪いこと。一度はなくなってしまった、淡路島最大の「都会」洲本からのバスが近年復活したのでアクセスは改善されましたが、それでもなかなか行くのが困難な場所に変わりないです。開幕節の土日で4試合、いや見ようによれば最大8試合見ることが出来るのでとてもお得なのですが、アクセスの問題から土日のどちらかしか行かない年が続きました。でもそれではもったいない、ということで今年は土日2日間、アスパ五色に行くことにしました、幸い今年は土日とも天気が良さそうなので(屋根がほとんどないので、雨が降ると地獄なのです…汗)

4/13 アストエンジ関西リーグDivision1@アスパ五色メイン 阪南大クラブ 2-4 アルテリーヴォ和歌山、FC BASARA HYOGO 0-3 Cento Cuore HARIMA

開幕戦のカードは毎年、前年度1位vs8位、2位vs7位、3位vs6位、4位vs5位といった具合に組まれます。実に分かりやすい(笑)ということで、今年は1部1位のアルテリーヴォ和歌山は前年度2部2位の阪南大クラブとの対戦となります。
2年連続優勝のアルテリーヴォ和歌山ですが、昨年の主力だった堀野や田口がそれぞれ飛鳥FCとCento Cuore HARIMAに移籍と、今年も選手繰りが苦しいシーズンとなりそうです。まずは開幕戦に勝って良いスタートを切りたいところ。2部降格から5年ぶりの1部復帰となった阪南大クラブ。1部経験者は本田監督のみということで、どのような戦いを見せるのでしょうか。

試合は和歌山がボールをキープする時間が長いものの、決定的なチャンスはあまり作れず。それでも昨年見られた前線での手詰まり感はあまり感じず、今年の攻撃陣の出来は良さそうです。対する大クラも、学生チームの春先の開幕期によく見られる攻守にわたるグラグダ感はなく、それなりにチームとして機能している印象。やはり大クラは1部のチームにとっても嫌な存在になりそうですね。
そのまま前半を0-0で終えるかと思われた41分、和歌山のエース北野のゴールが決まり試合が動くと、ATにCKから新加入の11番新田のゴールで追加点。アルテリーヴォ和歌山が2-0とリードして前半を終えます。

41分、北野がPA内に持ち込み…
体制を崩しながらもシュート!
キーパーもよく反応して必死にセーブに行くも…
ボールの勢いは止められずゴールイン。
北野らしい、泥臭いゴールでした。
ATの45+2分、CKのボールを中央で新田がヘッド。
叩きつけるようなシュートは…
大きくバウンドしてキーパーの頭上を超えてゴールイン。
得点力不足に悩んだ和歌山に現れた新エースの予感です。

後半も手を緩めない和歌山は59分にまたも新加入の和田の豪快なゴールで3点目。さらに交代で入った二木が82分にカウンターから4点目を決め、試合はほぼ決まったかのように思えました。私もつい、裏で行われているDivision2の関大FC2008vsOKFCの試合を見ていたら、終了間際に大クラの塩見が2ゴールを決めて、終わってみれば4-2というやや締まりのない試合になってしまいました。アルテリーヴォ和歌山としては無失点で終わらないといけない試合だったかと思います。

59分、エリア内に侵入した9番和田は…
DFを振り切って豪快に左足でシュート!
放ったシュートはここしかないというコースを通り…
綺麗にゴールに吸い込まれました。
東京23FCでも活躍した実力を見せつけたゴールでした。
さらに82分、2点目のゴールを決めた新田からのパスを…
DFラインの裏で受けた二木。
キーパーの動きの逆を突いたシュートは…
ゴールの隅に決まって、ダメ押しとも思える4点目。
北野へのマークがキツくなる今シーズン。
彼らの活躍が3連覇の鍵となりそうです。

続いて第2試合。昨年のKSLカップファイナリストのCento Cuore HARIMAと、昨年辛うじてDivision1の残留を果たしたFC BASARA HYOGOの一戦。共に主力メンバーにそれほど大きな退団選手がなかったですが、BASARAは得点源だった北原がJFLのアトレチコ鈴鹿に移籍した穴を埋め切れるかに注目です。
試合は実力通り、HARIMAがペースを握る展開。特に動きの良かったのは新加入のボランチ、名古屋や徳島、北九州などJでの経験豊富な花井と、奈良クラブでの活躍はもとより、流通経済大学時代には日本代表の守田とボランチを組んでクラブドラゴンズをJFLに昇格させるなどの活躍をした吉田の2人。吉田の運動量と天才的なボールの展開力を見せる花井。このカテゴリーには反則じゃないかと思うくらいの質の高さです。そのうえ、FWに陣取るのは超ベテランの藤田祥史なので見ていて非常に楽しかったです(笑)
試合が動いたのは18分、鵜飼のロングスローがこぼれたところに花井がボレーシュートで決めて、HARIMAが先制します。BASARAのDFも思わず避けてしまうほどのシュートは流石にキーパーも止められませんよね。和歌山同様、開幕戦から新戦力が活躍する展開となりました。さらに30分には、再三に渡り右サイドを駆け上がっていた、同じく新戦力の30番衛藤からのクロスをファーで合わせたのは和歌山から移籍の田口。どフリーの状態であとは丁寧に合わせるだけの「簡単なお仕事」でHARIMAが追加点。対するBASARAはパスはそこそこ回せるものの、そこからの展開がほぼ皆無。前半はほぼ何もできずに終わった印象でした。

先制点は鵜飼のロングスローから。
綺麗な放物線を描いたボールは…
ゴール前まで届き、DFが頭で触るも…
流れたボールに反応したのはHARIMAの花井。
花井の放った豪快なボレーシュートは
思わずDFも避けてしまうほどの威力。
そのシュートがネットに突き刺さり、HARIMAが先制。
新戦力が活躍しての先制ゴールに沸くHARIMAの選手たち。
そして、いつものようにキーパーの石原がやってくる(笑)
2点目はこちらも新戦力の衛藤のクロスから。
再三フリーとなった衛藤からのクロスは…
ファーで待っていた和歌山から移籍の田口の元に。
こちらもフリーで合わせるとボールはふわっとした軌道を描き…
反対側のサイドネットに吸い込まれました。
ゴールを決めた田口とそれを迎える鵜飼。
自分のことのように喜ぶ鵜飼。
今年のHARIMAもチームの雰囲気は非常に良いですね。

後半も手を緩めないHARIMA。48分に得たPKを、ベテラン藤田がキーパーの動きを見極めて軽〜く浮かせたシュートをキッチリ決めて3点目。勝敗の行方がほぼ決まったところで、ベテラン藤田を交代させたり新戦力を使ったり、また昨年までの主力を使ってコンビの組み合わせを確かめたりと余裕の展開。残り5分のBASARAの猛攻もしっかりと凌いで、Cento Cuore HARIMAが3-0と快勝。昨年は実力差がありながらも1敗1分と相性の悪かったBASARAに勝って最高の開幕スタートとなりました。一方のBASARAは今年も厳しい1年になりそうな予感です。

獲得したPKのキッカーとなったベテラン藤田。
大ベテランでもPKを蹴る前は緊張するのですね。
一瞬の静寂の中、PKを蹴る藤田。
蹴ったボールは力を抜いたフワッとしたシュート。
倒れ込もうとしたキーパーの上を軽く越してゴールイン。
いや〜、ベテランらしい実に落ち着いたPKでした。
キャプテン伏木と喜び合う藤田。
そしてお約束のように現れるキーパーの石原(笑)
その石原と熱い抱擁を交わす藤田。
さらにベンチにも向かう藤田。
若手ベテラン問わず、共に喜び合える最高の雰囲気でした。

さて、各チームの開幕戦の寸評を軽く書いておきます。
まずは開幕戦に勝利した2チーム、アルテリーヴォ和歌山とCento Cuore HARIMA。
アルテリーヴォ和歌山ですが、海津監督3年目の今年は勝負の年と言ってもいいでしょう。ここ2年、守備の形はしっかりと構築できたものの、攻撃はとにかく得点力不足に苦しめられた印象でした。今年も特に攻撃陣の主力が多く抜けましたが、南山大学卒の新田や和歌山以上に主力の流出した東京23FCから移籍した和田が開幕からスタメン、さらにゴールを決めるなど、昨年までの得点力不足が嘘のような仕上がりでした。
しかし、今までは安定して計算の出来た守備が4-0からとはい2失点。しかも2点目はキーパーとDFとの連携ミスとも取れる内容。3連覇、そして悲願のJFL昇格に向けて大きな課題も残った試合だったかと思います。また、個人的に気になるのは昨年ボランチで非常にいい動きをしていた小久保が、今年は右のサイドバックでプレーしていたこと。ポリバレントな起用を期待してのことならいいのですが、小久保の良さは全く活きてなかったことを考えると、今後の彼の起用方法について注目しておく必要があるかと思います。

2試合目で3-0と文句なしの快勝だったCento Cuore   HARIMA。こちらも佐野監督3年目とあって、海津監督同様勝負の年と位置付けているのではないでしょうか。和歌山と比べて主力の大半は残った今年、さらに戦力を補強。特にJでも活躍したボランチの花井や吉田、ロアッソ熊本ユースからトップ昇格、さらに鹿児島ユナイテッドでもプレーした経歴を持つ衛藤など、地域レベルでは頭ひとつ抜けた感のある選手の補強が目につきます。その上でさらに、ライバルの和歌山から田口が加入、開幕戦でキッチリとゴールを決めるなど、新戦力が早くも機能している印象でした。昨年からいる戦力もしっかりと活躍していました。特にベテランの藤田については、昨年は途中出場が多かったのですが、今年はスタメンで起用されていました。コンディションが上がってきた証拠ではないでしょうか?
もちろん彼だけでなくキャプテンを務めた伏木や、サイドバックというよりロングスロー要員とも言える鵜飼も、新戦力に刺激されて活躍していました。まだ1部のチーム全部見られていませんが、おそらく今年はHARIMAを中心に優勝争いが繰り広げられるのではないかと思いました。

勝った2チームは「勝つべくして勝った」といった印象でしたが、その中で課題も見つかった和歌山とそうでないHARIMA。この違いが今後のリーグ戦の行方にどのように作用するのか、注目したいところです。

対して負けた2チーム、阪南大クラブとFC BASARA HYOGO。この2チームに関してはやや明暗が別れたかな?といったところでしょうか。
まずは久しぶりのDivision1となった阪南大クラブ。長年チームの指揮を取っていた本田監督。昨年はトップチームのコーチを務めていた関係でチームから離れていました。その影響か、昨年の大クラはガツガツとしたプレーが影を潜め、パス主体の綺麗なサッカーになっていました。現にトップチームがそれを趣向しつつあるのでやむを得ないとは思いますが、大クラらしいチームではなかったのは事実です。でも今年は本田監督が戻ってきたこともあり、かつてのガツガツ感満載のサッカーに戻りつつあるかと思います。ただ、先にも書きましたがDivision1経験者が皆無なこともあり、そのプレースピードや当たりの強さに戸惑っていたようにも思えました。D1とD2では同じ関西リーグでもかなりのレベル差があり、それを実感させられた開幕戦だったのではないでしょうか。
それでも0-4と大勢が決した後とはいえ、ディフェンディングチャンピオンの和歌山相手に2得点を挙げたのは好材料です。昨年阪南大Revolutionで活躍し、この日も途中出場で2得点を決めた塩見に加え、同じく昨年まで阪南大Revolutionでも活躍した石田、さらにはいいパスを供給していた10番の小田など、十分に通用する戦力はいるので、リーグが進むにつれて厄介な存在になることは間違いないでしょう。

一方、開幕から0-3と完封負けを喫したFC BASARA HYOGOですが、いいところがあまり見られなかった印象でした。昨年、前線で重戦車の如く縦突破を繰り返してチャンスを作り出していた北原がJFLのアトレチコ鈴鹿へ移籍。その影響が思いの外大きかったようで、昨年よく見られた縦へのドリブルがほとんど見られませんでした。他に大きく主力が抜けた訳ではないので、よっぽど北原の力が大きかったのでしょうね。それならば前線にいる築山にボールを預けておけばそれなりにチャンスが出来るのでは?と素人ながらにそう思うのですが、とにかくパスにこだわるサッカーを展開していました。しかし、そこから先にボールが出ずに途中で失ってピンチを招くという悪循環。根本的にサッカーのやり方を変える必要があるように思えました。このままでは今年も残留争いに巻き込まれる可能性が高いのではないでしょうか。

開幕戦を落とした両チームですが、そこには大きな明と暗が潜んでいるように感じた初日でした。

開幕戦からゴールを決めた、南山大学から来たFWの新田。
ゴールだけではなく、チャンスメイクも出来る万能FWです。
ボランチは新戦力の2人。
14番の谷口は東海リーグ、wyvernからの移籍組。
もう1人の18番佐藤は関西学院大学卒。
動き自体は悪くなかったですが、やや物足りない印象でした。
昨年ブレイクした7番の清本。
今年はさらに飛躍した一年にならないと厳しいかも…
昨年、不動のボランチだった小久保はサイドバックでの起用。
慣れない動きに、持ち味が活かされてなかった感がありました。
才能を如何なく発揮した阪南大クラブ10番小田。
まだDivision1の当たりとスピードに慣れず、苦労する場面も。
DFでリーダーシップを見せたキャプテンの池田。
この日は4失点と課題もあったDF陣を纏めるキーマン。
昨年はRevolutionで10番を背負った7番の石田。
サイドから突破を図るも、D1の壁にぶち当たったようでした。
前半、気を吐いたのは2年生FWの27番大久保。
やや不安定な和歌山DFを切り裂いてゴールを狙うも…
ボールはキーパーの正面に。
D1のスピードに対応できれば、ゴールを量産しそうな予感。
後半途中まで前線で体を張ったプレーを見せた藤田。
この場面でも体を張ってキープしたのち…
脇を走る田口に丁寧に落とす、お手本通りのポストプレー。
ここまで綺麗に決まると気持ちいいです。さすがベテラン。
その藤田と前線を組んだ2年目の堀田。
スピードに加えて、体の強さも付いてきたようで、
今年はブレイクしてもらいたい選手のうちの1人です。
昨年と大きく変わったのはボランチ陣。
18番花井はセンス満点のファンタジスタ。
中盤で華麗なボール捌きを見せる姿は美しい。
でももう、彼も今年で35歳になるんですね…汗
その花井とコンビを組むのは21番の吉田。
流経大時代は日本代表の守田とコンビを組んでいたことも。
運動量豊富で、スルスルと相手との距離を詰める動きは
相手にとって実に嫌な存在となるでしょう。
チーム在籍年数の長い、22番伏木も元気です。
何度もサイドを駆け上がってはチャンスメイクに励みます。
中盤で奮闘するBASARA HYOGOの8番小延。
縦への突破があまり見られなかったのが残念でした。
大黒柱だった北原の跡を担うであろう9番の築山。
ゴール前ではなく、下がってボールを受けるシーンが多く、
本来のゴールハンターとしての役割は果たせず。
2列目からの飛び出しを期待されていたであろう10番林。
しかしボールが前に出ないのでその役目も果たせず。

4/14 アストエンジ関西リーグDivision2@アスパ五色サブ おこしやす京都AC 5-0 ACミドルレンジ、Division1@アスパ五色メイン 飛鳥FC 1-3 守山侍2000

この日も朝からアスパ五色。2日間とも天気が良くてよかったです。雨だと特にサブは全く屋根がない上に、スタンドは芝生なのでとんでもないことになるのです。とはいえこの日は、機材の調子があまり良くなく、ちゃんと撮れているかが心配でしたが、まあ大丈夫っぽかったので安心しました。ということで、試合の話に移りましょう。

この2日間はメインに張りついて1部全8チームを見ようと思っていたのですが、どうしてもサブで行われるおこしやす京都の試合が気になったので、開始直前で予定を変更。この試合だけDivision2の試合を見ることにしました。まあ、裏で行われている試合のFC AWJとレイジェンド滋賀は近々見る予定があるので、後回しでもいいかということで…(笑)

昨年は開幕から低調で、そのまま浮上することなく最終的にはDivision1の最下位で降格したおこしやす京都AC。昨年から選手登録の少なさが気になっていたのですが今年はさらに少なく、ケガ人が出てくると大変なことになるのでは?とやや心配になります。選手の少ない理由は、どうやら昨年から選手全員、おこしやす京都ACの運営会社である株式会社スポーツXの社員になったそうで、そのためたくさんの選手を登録することが出来なくなったとのこと。ということは、かつて大分にもいた清武の弟(功暉)もスポーツXの社員なんだと思うと、なんだか凄いな〜などと感じますね。
そんなおこしやす京都と対戦するのは、大阪府リーグ2位ながら府県リーグ決勝大会で優勝したACミドルレンジ。近年、府県リーグによく出場する常連クラブでしたが、今年1月に同じ大阪府リーグのOKFCに決勝で勝って関西リーグ昇格を決めました。1社会人クラブではあるものの、小学生や子供たち向けのサッカースクールを開いていたり、あるいはシニアのチームも持っていたりとそれなりに規模の大きいクラブです。府リーグと違い、対戦相手のレベルも試合環境も日程も違う中、どこまでやれるのか、やってくれるのか楽しみです。

試合は予想通りというか、おこしやすの一方的な展開。特にスタメンで起用された9番ステファンの動きがキレてました。どうやら香港リーグを終えてからチームに合流したらしく、恐ろしいくらいの仕上がりっぷりでした(笑)。当然プレーの質も、このレベルでは反則なくらいのレベルで、いきなりそんなのに当てられたミドルレンジが気の毒なくらいでした。
7分に清武があっけなくゴールを決めると、そこから先はおこしやすのやりたい放題の展開。24分に右サイドからスルスルとドリブルしてきた小塚が2点目のゴールを決めると、さらに32分には新加入の清田のゴールで3点目。ミドルレンジもただ一方的にやられっぱなしという訳でもなく、チャンスを作ってシュートを放つシーンも見られました。しかし、絶対的なスピードと判断力の差を補うため、かなりのハイペースを強いられた影響が後半になって露骨に現れてきます。

1点リードした23分、右サイドからエリア内に侵入した小塚が…
深いところから一度フェイクでDFを交わして…
からの〜、シュート!
これが綺麗に決まって、おこしやす京都が追加点。
苦しいシーズンを経験しただけに、嬉しいゴールでしょう。
2-0で向かえた32分。19番野田がシュートを放つも…
ミドルレンジ22番油田がブロック!
そのボールを21番の清田がシュート!
これが反対側のネットを揺らして3-0。
若い新戦力が活躍すると、チームも活気付きますね。
ミドルレンジもやられっぱなしではなかったのです。
0-1の29分、21番田中の放ったシュートは…
DFに当たって角度が変わり、ラインを割ります。
直後のCKを24番塚本が合わせるも…
惜しくもゴールの枠は捉えられず…
どちらかでも決まっていれば、まだ試合は分からなかったはず

後半になると、その実力差はますます顕著になっていきます。とにかくゴールを取らないといけないミドルレンジは、192cmの長身FW和田を後半開始から投入して局面を打開しようとしますが、彼までボールが届くシーンはわずかでした。対するおこしやす京都は相手との距離を無理に詰めず、ワイドに展開したエコなサッカーに徹します。それでも63分に再び清武が、さらに71分には山本のゴールで5-0。後半、ミドルレンジはボールを追いかけるのもやっとの状態で、後半は放ったシュートも0と完敗。初の関西リーグは実に厳しい結果に終わりました。一方のおこしやす京都は、予想はしていましたがD2ではやはりケタ違いの実力を発揮したといった試合でした。

4-0となった71分、16番山本が放ったシュートは…
キーパーをかすめてゴールイン!
体勢が決まっても手を抜かないおこしやす京都。
1年でのD1復帰に向けていいスタートを切りました。

第2試合は昨年Division1で4位だった守山侍2000と5位だった飛鳥FCとの対戦。
一昨年の2位からさらなる躍進を目指して美濃部監督を招聘しましたが、昨年は5位と低迷。今年は挽回を図りたい飛鳥FCと一昨年6位、昨年は4位、さらにチーム初の全国社会人サッカー大会出場と着実に実力を上げている守山侍2000。開幕戦をどう戦うかが、今年のチームの行く末を左右するであろう大事な一戦。
飛鳥FCは昨年よく見られた、パスは回るけどそこからボールが出ない、といった攻撃の手詰まり感はなく、特に左サイドの14番小笹、17番井口の縦突破を起点に守山侍ゴールに迫り、惜しいシーンも見られました。対する守山侍はやや飛鳥に押されつつも、こちらもボランチの村田、小酒井から効果的なボールが供給されて攻撃はそれなりに機能していました。やや飛鳥優勢の中、36分に左の小笹からのクロスに飛び込んできた19番北田のダイビングヘッドで飛鳥FCが先制します。そのまま飛鳥ペースで進むかと思われた43分、25番田中から出たパスに裏抜けした9番三田尻を、飛鳥の3番大原が後ろから倒してしまい退場。エリアからやや距離があるとはいえ、ゴールを狙える位置でのFKを、ラストパスを出した田中が直接決めて守山侍が追いついて前半を終えます。

飛鳥FCは左サイドバックの小笹がキレてました。
ドリブルで水からエリア内まで侵入してシュート!
惜しくも守山侍キーパー大野のセーブに阻まれます。
36分、相手陣深くまで切り込んでいた小笹が
背後から来た守山侍23番藤田を交わしてクロスを上げると
そこに飛び込んできたのは19番北田。
どフリーで豪快なダイビングヘッドで合わせると…
至近距離からのシュートに全く反応できず、ゴールイン。
呆然と立ち尽くす守山侍の大野とDF陣。
喜ぶ飛鳥FCと、してやられた感の守山侍。
ここまでは完全な飛鳥FCの試合でした。
1点を追う守山侍は43分、田中から前スルーパスを出すと…
それに反応した三田尻に、飛鳥の大原が後ろからチャージ。
三田尻を倒してしまい、得点機会阻止で一発退場。
エリアのちょっと外の位置でのFKを得ます。
念入りに壁の位置と角度を見極める三田尻と田中。
三田尻が助走するも手前で止まり、相手が反応したところで
それを見た、隣にいた田中がすかさずシュート!
完全に意表を突かれた飛鳥DFとキーパー。
キーパーも反応が遅れ、直接決められてしまいます。
見事なトリックプレーで守山侍が同点に追いつきました。

前半はプラン通りに先制したものの、終了間際に追いつかれたうえに1人少なくなった飛鳥。自分たちの形が作れないままリードされて終わると思われた時間に追いつくことのできた守山侍。たった一つのプレーが、この試合の行く末を大きく作用させます。
息を吹き返した守山侍は、後半始まって1分も経たずに貰ったCKを、DFの浦谷がヘッドで決めて守山侍が勝ち越します。本来なら退場してDFの枚数が減ったならそれに対応すべきところを、混乱したまま何の対応もしていなかったであろう飛鳥ベンチのミスもあるとはいえ、それでもこれだけ綺麗に決められると厳しいです。逆に守山侍はこの1点でさらに勢いを増し、53分にはエース三田尻のゴールも決まり勝負有り。飛鳥は後半ほぼ何も出来ずにそのまま終了。ワンプレーが勝敗を分けた試合となりました。

46分のCKに頭で合わせたのはDFの6番浦谷。
ニアでコースのないところを突かれた感じ。
さすがにこれは仕方ないと言えばそれまでですが、
それでも飛鳥にとってはもったいない失点でした。
守山侍としては、2点ともしてやったりといったところ。
この1点が両チームにとって非常に大きかったのは事実です。
ダメ押しの3点目を決めた三田尻は歓喜のこのポーズ。
前から言ってますが
「流経大で幕作ってもらえる選手はレベルが違うんだ」って…

ということで、各チームについての寸評を。まずは第1試合から。

昨年、不覚にもDivision1で最下位となり降格したおこしやす京都AC。今年は絶対Division1へ復帰しないといけないシーズン。そのためか、近年の開幕戦の中でも一番良い仕上がりでした。まあ、清武のように関西D2でプレーするレベルではない選手もいますから、当然と言えばそうでしょう。でも、その中でも際立ってキレが良かったのは新加入の9番ステファン。前所属が香港のチームで、香港リーグが終わってからチームに合流したとのこと。そりゃあ、誰よりも仕上がりはいいはずです。サイドでキレッキレの動きを見せて、ただでさえレベルのやや劣るミドルレンジの選手がさすがにかわいそうに思えるくらいでした。
ただ、そんなD2では反則クラスのこのチーム。唯一の落とし穴は登録メンバーの少なさ。ベンチ入り可能な人数である17人に満たない、わずか16人しかいないのでシーズン中にケガ人出るとチームが組めなくなってしまいます。そこだけがウィークポイントではないでしょうか。

関西リーグ初挑戦となる開幕戦で、圧倒的な実力の差を見せつけられたACミドルレンジ。ここ数年、大阪府リーグや府県決勝の上位に食い込んでいたこともあり、どれくらい出来るかが楽しみでしたが相手が悪すぎましたね(笑)。それでも先制された直後や、2失点目の直前には決定的なチャンスも作れていました。実力的にはそんなにD2中位クラスのチームとの差はないかと思われます。ただ、昇格チーム共通の課題である、スピードとスタミナ、それと日程の問題が解消されれば大崩れはしないかもしれません。
また、キャプテンを務めた10番の安藤は、元関大クラブ2010で活躍した選手ですし、21番の田中もかつてバンディオンセ加古川にいたこともあり、彼らのような関西リーグ経験者が中心となってチームを牽引していけば、残留も十分可能かと思われます。とはいえ、そう簡単な道ではないでしょうが、残り13試合を精一杯戦ってもらいたいです。

香港リーグから来たモンテネグロ出身のステファン。
左サイドからドリブルでゴール前に迫ると…
出てきたキーパーを見据えてシュート!
あまりにも余裕がありすぎたのか、枠を上手く捉えず…
今度は接近戦。DFを背負いながらボールをキープしつつ…
縦へと振り切ろうとするステファンとDF。
必死についていく24番塚本。
その塚本を振り切って切り返し、中にラストパス。
後半の時間帯でこの動きへの対応は、DFにとっては酷です。
なかなか判別しにくいですが、清武の先制ゴールのシーン。
低い弾道でゴールを狙う一撃に対し…
キーパーも素早く反応するが、弾くのが精一杯。
これはお見事としか言えないゴールでした。
そして中盤でもこの動きを厭わないのが、彼のいいところです。
ミドルレンジのキャプテン、安藤は元関大クラブ2010。
攻撃の軸になるはずが、この日は守備に追われていました。
かつてバンディオンセ加古川に在籍したこともある田中。
ミドルレンジに入ってはや8年目の超ベテラン。
かつての関西リーグでの経験をチームに活かせるか?
カウンターから攻撃を仕掛ける8番石川。
回数は少ないものの、チャンスもしっかり作れてました。
後半開始から投入された36番の192cmの長身FW和田。
彼に合わせようとしますが、なかなかボールは入らず。
仮にうまく入ったとしても、相手のチャージに
簡単にボールを失う場面も多く厳しかったですね。

続いてDivision1の守山侍2000と飛鳥FC。
守山侍2000は今年も上位陣にとっては苦労しそうチームですね。エースの三田尻はさておき、同点ゴールを決めた田中は昨年までレイジェンド滋賀にいた選手。また、三田尻とコンビを組んだ22番の大嶋はびわこ成蹊スポーツ大学から関東リーグのVONDS市原を経由してきた選手と、三田尻のコンビを組むには実力的に十分申し分ない選手が揃いました。現に同点ゴールは三田尻が蹴ると見せかけての田中のシュートでした。まだ、お互いの動きが把握できてないでしょうが、徐々にわかってくればさらに驚異になることでしょう。要だったベテラン石橋が抜けたDFもそこまでの不安要素は見られなかったです。今年は上位食いにとどまらず、状況次第では優勝争いにも大いに絡む可能性も秘めた存在になり得るかもしれません。

先制はしたものの前半のうちに数的不利になってしまった飛鳥FC。昨年は高瀬、志水のボランチにボールが入るとそこで流れが止まってしまっていましたが、今年は高瀬が抜けて志水もベンチスタートとあってか、ボールの回りは良かったです。特にサイドは和歌山から移籍の堀野と新加入の井口、小笹の3人でチャンスを量産していました。先制点もCKに飛び込んできたボランチの北田と、以前いた日高のように絶対的なFWはいないもののどこからでもゴールが奪えそうな雰囲気は感じました。それだけにこの試合に関しては、前半終了間際のCB大原の退場がもったいなかったです。ただ一つ気になるのはその数的不利になった後半開始から、誰か入れて修正を図るのかと思ったら何も策を打つようなそぶりもなく、そのままの悪い流れのままに勝ち越されてしまい、その後の試合展開に完全に手詰まってしまった点です。ベテラン監督らしからぬ采配ミスは、14試合という短期決戦では致命的になりかねません。ベンチワークにちょっと課題が残ったような気がしました。

レイジェンド滋賀から来た田中。同点ゴールはお見事でした。
三田尻へのマークを分散させるだけの活躍っぷりでした。
入って5年目の村田は、もはやボランチとして欠かせない存在。
中京大学時代から活躍していたのでよく見てた選手です(笑)
その村田とコンビを組むのは中央の5番小酒井。
ちなみに弟は、J2大分で活躍する19番の小酒井新大です。
かつてレイジェンド滋賀でも活躍した11番の梅村。
昔から変わらない、スピードを活かしたドリブルは健在です。
34歳のアマチュアプレイヤーとは思えない動きは必見です。
ライバルの和歌山から移籍加入した堀野。
和歌山時代同様、サイドでキレのいい動きを見せてました。
金髪で一際目立つ17番の井口も今年入った新戦力。
高校卒業後、モンテネグロに渡り武者修行した強者が、
停滞していた攻撃陣を活性化することが出来るのか?
85分までピッチを駆けまくった14番の小笹。
積極的にシュートを打つ姿勢は
今までの飛鳥FCに足りなかったであろう要素です。
1-3の場面から交代で入った7番の清川。
後半勝負を見越しての起用も、局面の打開は出来ず。

以上、開幕戦の雑感でした。開幕から仕上がっているチーム、まだぎこちないチーム、このまま調子に乗れそうなチーム、そうでなさそうなチーム…。開幕戦に見せた姿は8種8様ですが、これから約半年間繰り広げられるリーグ戦。最後にどのような結末を迎えるのか、今から楽しみです。

最後にちょっと珍しい場面を…。日曜日のおこしやす京都ACvsACミドルレンジの試合の終盤。ファールでもなんでもないシーンで突然、主審が笛を吹いたので何事か?と思ったら、立ったまましきりに足を気にする様子。そしてすぐに横になって、周りの選手たちに足を伸ばしてもらう姿…。あ〜、足攣ったんですね…。ということで、足を攣った主審が4審、代わりに副審が主審を務めることで試合再開。たしかに4月にしてはちょっと暑かったのと、シーズンが始まったばかりということで、レフリーの方々もコンディション調整が難しかったのでしょうね。レフリーの方々も開幕戦お疲れさまでした…

突然笛を吹いたレフリー。しきりに足を気にする様子を見せる。
どうやら足を攣ってしまった模様。
担架に乗せられてピッチを後にするレフリー。
代わりに笛を吹く副審と、これまでの流れの打ち合わせ。
レフリーの方々もいろいろと大変だった開幕戦でした。

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