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2019年9月13日〜9月19日 秋のはじめの好きと遺書

9月13日「Up On The Table」

 ほっとするような涼しい朝が来た。季節が変わる瞬間は、いつも私を安心させる。同じようなことの連続は苦しい。この季節もどうせまた苦しくなる。でもやがてまた変わっていく。

 起き抜けに『実話ナックルズ』の原稿を書き上げて、公園を歩きながらジャック達のライナーノーツを考えていた。汗をかいているのか、湿気が肌にまとわりついているのかわからない夏が終わって、秋の朝はひんやりとした空気の中で自分の体温が上がっていくのがはっきりとわかる。

 ライナーノーツはできるなら歩きながら考えたい。始まったら時間通りに終わるCDに対して、文章には際限なく時間をかけられてしまうからかもしれない。そもそも歌う時と書く時の心情は全く異なる。文章はひとり内側にこもって延々と書き続けられるので、体を動かしながら書いたほうが、多少は音源のタイム感に合わせられる気がする。

 そういうわけでジャック達の新譜を聴きながら歩いていたら、一色進さんから電話がかかってきた。4DXみたいだ(笑)。

 今日は一日中躁状態で、ずっと原稿を書き続けていた。どきどきしていて眠れそうになくて、無理やり横になったがやっぱり眠れず、ごく浅い眠りについた。

 午前三時、月が眩しくて目が覚める。秋だ。世界が美しく見える。

9月14日「だから私は推しました」最終回

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