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医療・福祉がもうすぐ最大の雇用業種に―毎月勤労統計調査からー

 毎月勤労統計調査(厚生労働省)第3表「常用雇用及び労働異動率」により、ここでは、どの業種で働く人が多いのか。どの業種で労働者が増え、どの業種で減っているか。また業種により、パートタイム労働者(非常勤労働者)の比率にどのような差があるのか。といったところを確認する。
 

   上記の表を見られたい。総労働者に占める比率でみると、卸売業・小売業、医療・福祉、製造業が、労働者数の多い三大業種である。そのなかで、卸売業・小売業が最大の業種で全体の18%台を占めている。2016年1月から2024年1月までの8年でみると、医療・福祉が急速に増加する中、製造業は次第に減っている。
 この8年間の総労働者に占める比率の変化(間差)に注目すると、医療・福祉は2.7ポイント、その他サービス業は1.4ポイント、学術研究等は0.6ポイント、情報通信業は0.5ポイント,不動産・物品賃貸業は0.3ポイント増加した。逆に製造業は1.4ポイント、飲食サービス業等と運輸業・郵便業とはいずれも1ポイント、建設業は0.9ポイント、生活関連サービス0.7ポイント、金融業・保険業が0.3ポイント減少した。
    他方で、卸売業・小売業、教育・学習支援業、複合サービス業、電気・ガス業は比率が安定している。
    この間の最大の変化は、医療・福祉が、製造業を抜いて、二番目の雇用業種になったことである。現在の各数値の趨勢が今後も続くとすれば、医療・福祉が、間もなく卸売業・小売業を抜いて最大の雇用業種になることは間違いないだろう。
   ところで先ほどの表は、一般労働者とパートタイム(PT)労働者とを合算した表であった。2024年1月について、これらに分割してみると(下に掲げた表)、業種によりパートタイム労働者への依存比率が異なるので、それぞれの労働者ごとに、異なったランキング表を得られる。一般労働者に限定してみると、なお製造業が最大一番手の雇用業種であるが、二番手に医療・福祉がきており、三番手の卸売業・小売業を合わせた上位の3つが競り合っており、三者を併せた占有率は49.5%である。他方、パートタイム労働者に限定してみると、卸売業・小売業、飲食サービス業等、医療・福祉とがパートタイム労働者雇用の順で三者を併せた占有率は65.0%に達するが、三者間の差がかなりあり、最初の2つだけで47.5%に達する。


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