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なぜ、いま、「投資のススメ」なのか

「投資のススメ ピケティの向こう側」というタイトルで連載コラムのマガジンをはじめます。テーマはタイトルそのまま。
買い切りマガジンにポンポン入れます。サブスクじゃないのでお金を払うのは1回きりです。
初回は全部無料で読めるようにしておきます。

投資ってモヤモヤしますか?

みなさん、もう投資してますか。
「NISAでデビューしました」という人、多そうですね。
あるいは会社のDCやiDeCo、いわゆる確定拠出型年金で投信を組み入れてみた、というパターンもありそう。
一方で、よく分からない、怖い、ブームで煽られてる気がして嫌だな、という人も多いでしょう。
「額に汗せず濡れ手に粟なんてけしからん」という積極的な嫌悪派もおられるかと思います。

いきなりマガジンのタイトルを否定するようですけど、別にしなくたっていいんです。投資なんて。
やりたい人、好きな人、やった方が良いなと納得した人だけがやればいい。「ススメ」なんておせっかいです。
それは百も承知なのですが、でも、私にとっては割と自明に「やった方が良いこと」なんです、投資って。
老後に備える資産形成といった個人レベルだけでなく、社会にとって投資って大事だよな、と心の底から信じています。
そこにはひとつだけ、大きな前提があります。
「人類、そんなに捨てたもんじゃない」という前提です。
なぜそうかは、連載の最後の方に納得してもらえる説明ができるんじゃないかな、という予感がしています。

ピケティをどう読むか

「投資のススメ」は四半世紀くらい前からの持論ではあるのですが、強く確信したのはフランスの経済学者、ピケティさんのおかげです。
2013年に出た『21世紀の資本』という本で彼が提唱した、

r>g

という有名な不等式、ご存知の方も多いかと思います。
おさらいしておくと、「r」は資本収益率、株式や不動産に投資した場合のリターン(もうけ)を指します。gは経済成長率です。
不等式は、経済成長は誰もが恩恵をうける「上げ潮」だけど、投資家・資本家はそれ以上のペースでもうかる、と解釈できます。
これは時代や地域を問わずに成り立つ資本主義の本質で、なにか手を打たないと金持ちはどんどん金持ちに、普通の人はいつまでも普通のままで、格差はどんどん広がる。
ざっくり、これがピケティさんの主張です。
世界中で格差問題への不満が高まっているので、大うけしたのはご存知の通り。

ピケティさんの見立てが正しいのか、この不等式が常に成り立つのか、議論は残るところかもしれませんが、私は「そりゃそうだよな」と一目で納得しました。長年思ってたことをシンプルな式にしてくれてスッキリした。
だって、そうじゃなかったら、誰もリスクをとって投資なんてしませんよね。
ピケティの不等式が成り立たない方がおかしい。

「投資のススメ」という連載の趣旨からすると、これだけでも「投資した方がいいですよ」と説得するには十分かもしれない。
普通に働くだけじゃ、右辺の「g」くらいの上げ潮にしか乗れない。
なら、それよりもうかる左辺の「r」にもイッチョ噛みした方がいい。
ものすごくシンプルです。

でも、実はこれは私が言いたいことではないんですよね。

「投資した方がもうかるから」とか、そういう話じゃなくて、この「r>g」という式の意味をよく考えると、経済の流れとか、大げさにいうと世界の仕組みが見えてきて、もっと晴れ晴れとした気持ちで投資に向き合えると思うのです。

NISAブームの反動というか、予想された反応ではありますが、「政府や金融機関のあおりに乗るな」とか「『投資で企業を応援』なんて欺瞞」といった声をちょいちょい見かけます。
私は自分が常に正しいと思えるほど賢くないし、それぞれごもっともな部分もあるので、全否定はしません。
でも、こういうネガティブな見方にふれて、自分なりに考える機会が持てなくて、投資に二の足を踏んだり。
「それでも投資しよう」と決めたけどモヤモヤした罪悪感みたいなものを抱えたり。
そんな人に「いや、そんな悪いもんじゃないですよ」と思える解説があってもいいなと思っていました。
ただ、説明すると、けっこう長くなる。会う人、会う人に、いちいち説明するのも大変なので、きちんと話したこともあまりない。
そんなある日、某出版社の編集者と飲んでるとき、小一時間かけて「ピケティの不等式の本当の読み方」をお話する機会がありまして。
そのまま「それ、本にしましょう!」となりまして。
思考の整理をかねて連載にしてしまおう、と始まったのがこちらのマガジンでございます。
書いてみないと、本になるかは分かりませんが。

閑話休題。
「r>g」を深掘りすると、スッキリした気分で投資家になれる、というお話でした。
では、どう深掘りするのかというと、世界的な経済学者の画期的功績をつかまえてこんなこと言うのはおこがましいのですが、そもそも、変なんですよね、この不等式。
いや、正しいと思いますよ、rとgの関係自体は。
でも、ここから「資本家が肥え太るのは資本主義の宿命的な欠点だ」と主張するのは、ちょっと変というか、筋が悪い。

と筆が乗ってきたところですが、ちょっと長くなったので「何がどう筋が悪いのか」は次回以降に書きます。

連載は週1~2回のペースの予定です。
死ぬほど忙しいときは休載するかも、ですが、最低でも月4~5本のペースは守るつもりです。いつまでたっても本にできないし。
最初に書いた通り、こちらのマガジンは買い切りです。最終的に記事は数十本になると思うので、1本あたりの単価は恐ろしく安くなるはず。

では、乞うご期待!
(以下は『おカネの教室』とYouTubeのリンクがあるだけです)

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150字
こちらはサブスクではなく、買い切りマガジンです。お支払いは1回だけ。 長期連載の予定なので、そのうち記事単価がものすごく安くなりそうです笑

なぜ投資をした方がいいのか。 それが経済にどんな意味があるのか。 ピケティの不等式「r>g」の読み解きを軸に、経済記者歴28年のオジサンの…

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