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自分で選んだ道が苦しくなってきたときに思い出したいこと。ここまで私達はよく頑張ってきたんだ。

自分で選んだことじゃないか、とひとは言う。

留学のための準備をしているときにそれが大変だと言っても、そもそもこの大学に進学したことも、アカデミアを目指すのも、全部自分が選んだことだ。

自分で選んだんだから乗り越えられるよね、とひとは言う。

だから、留学に行けるかどうか、行けたとしてうまくいくかという不安は常に抱えているし、大学に入って高額の授業料を払っているから授業をサボったり起き上がれなくて遅刻したことなどないし、就活を一切しないぶん論文を読んでいる時間の使い方も、私が選んだことで、私がその良いところも悪いところも受け取る。

私はこれを乗り越えられると思う。

ただ今日はゴールデンウイーク最終日。ろくに休んでる余裕もなかったけど、それでも「休み」と「オンの日」は気持ちの入れ方が違う。休みだと思って緩んでいた緊張が、また高まるのを感じる。いつまでも休みというのはなかなかしんどい。次第にやりたいこともなくなって、だらけてしまって、その解けた糸が戻らなくなって、だんだんゴムが緩んでいったズボンのように、見向きもされなくなる。

自分で選んだことじゃなかったら、誰かのせいにしていたと思う。

結局、誰かのせいにできないからこそ、プレッシャーにやられてしまいそうなときもある。ただ、良くも悪くも自分のせいだからこそ、自分でそのすべてのパイを受け取る。美味しく焼けた部分も、焦げてしまった部分も、全部私が作った私のためのパイだ。できることなら美味しく食べたい。自分がせっかくここまで頑張って焼いてきたんだもん。

私は、ここまでよくやってきた。

約1年にわたる交換留学の選考の話だけではない。プレッシャー、ストレス、胃痛、そういったものは程度の差こそあれ常にあった。周囲を見ていると、現代社会を生きる私達は、なんらかの理由でそれらを常に隣に置いて生きていくしかないのだと思う。それを感じない瞬間を増やすために、胃薬があって、美味しい食べ物があって、こころに染み渡るようなお酒があって、そういったものがストレスを消していってくれたんだった。

しんどいときは、過去にもあった。

高校受験の日に、吐きそうになったのをいまでも覚えている。ナウゼリンに似た市販薬(そんなものはない)を買おうと思って、薬局に行こうと思ったけど、そこが閉まっていたから結局そのまま行って、問題用紙を見ているうちに吐き気が消えていって、無事に合格した。その高校で、私は新しい世界を知った。オーストラリアに留学して、こんなにも飯が不味い国があるのだと知った(ほかにも多くのことを学んだけれど、それはここに書くには余白は狭すぎる)。なお、英語圏はメシマズ国家の連邦だけれど、自炊すると美味しいものが食べられるらしい。救いはある。

そのたびに、私は生きることを、前に進むことを選んできた。

私が今日このnoteを書いているのは、いままで自殺しなかったし、事故や災害に巻き込まれずに生きられているからだ。しんどいと思いながらも、それを忘れられるような瞬間を待ち望んで生きてきた。買い物をしているとき、美味しいものを食べているとき、面白い本を読んでいるとき、そういったストレス解消法があるから、私は前に進んでこられた。生きて、幸せに生きることができるようになった。なんだかんだ行って、私は4度留学したが、それは恵まれているからこそ、そして健康だからこそ、できたことだと思う。

その手に巻き付いた紐が痛むなら、離してしまうことだってできる。

なにか頑張っていることを辞めることは、後ろに進んでいることではなく、その逆だ。ピアノを辞めた。その時間を読書にまわした。バイオリンを辞めた。その時間を受験勉強に費やした。そのおかげで、本を読むことが何より好きな少女は、イタリアの志望校に合格できた。離してしまうと、それを持ち続けていることが案外しんどいことだったとはじめて気づく。そして、手が痛いと叫ぶ自分を守るためにも、戦略的な後退が必要なことがある。

あしたは、どんな美味しいものが食べられるだろう。

美味しいものが食べられるからこそ、それを至上の喜びとして生きていける。美味しいものが食べられるひとが、あしたはひとりでも多くなりますように。そうしたら、私達は生きていけるから。頑張ってきた自分を思いきり抱き締めることができるから。幸せに生きるための道しるべになるから。いつだって美味しいものが私達の傍にあって、それを思い出しながら、その記憶に支えられながら、私達は生きてきた。そうやって、自分を愛して、過去の努力を愛することで、私達は生きていける。明日も。

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