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ソーシャルグッドよりも、プロダクトファーストであるべき理由

スウェーデンで、フルーツペットナットという微発泡の自然派ワインが注目を集めているようです。

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雑誌「ブルータス」最新号(2020/12/15)で紹介されていたフルーツペットナット。発酵途中でワインを瓶に移し、瓶の中で最後まで発酵を行なわせるという製法で作られる。スパークリングワインよりも「優しい泡」になるのが特徴だ。

誌面で紹介されているのは、2年前に設立されたばかりのスタートアップ・ブルーツ社。ファウンダーの5人はもともと友達同士。ストックホルム郊外に醸造所を構えていることから、本格的にペットナットに向き合っていることが窺える。

ペットナットは通常ブドウが使われるのだが、ブルーツ社が扱うのは、廃棄されるリンゴ、梨、スローベリー、プラム、ブルーベリーといった国産フルーツだ。スウェーデンではフルーツの供給過多により少なくない量のフルーツが廃棄される傾向にあるようで。そこに目をつけた彼らは、生産者から直接廃棄食材を調達し、ペットナットを作っているというわけだ。

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彼らが作っているペットナットの商品画像を見ると、若者を意識したカジュアルなパッケージデザインを採用していることが分かる。

ブルータス誌面に写るブルーツ社の5人は、さながらロックバンドのような爽やかなビジュアルだ。醸し出された「イケてる感」からは、ソーシャルグッドな雰囲気は微塵も感じない。

「廃棄食材を利用して」と書いたが、ともすれば、こういった取り組みは関係者とのWin-Winやソーシャルグッドを意識するあまり、プロダクトそのものを注力することが後回しにされがちだ。社会性を意識し過ぎた結果、マーケットを無視したプロダクトになってしまう。

そうなると、ビジネスとしては本末転倒だ。

「オレたち、ペットナットがめちゃくちゃ好きでさ……」こそ、メーカーとしてあるべき姿勢だ。顧客のインサイトを誰よりも理解するためには、プロダクトを好きであることが不可欠だ。

もともと「好き」が起点にあれば、自分たちのプロダクトをブラッシュアップしていくことが苦にならない。品質に磨きがかかれば、プロダクトも会社も周囲の共感も得ることができる。「あいつらの商品なら、間違いない」と。

彼らのように、軽やかに事業を進めていく姿勢を見習いたい。

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書いていると、彼らのペットナット、飲みたくなってきますね。笑

近いうちに、彼らのペットナットが、日本でも気軽に飲める日が来ると信じています。

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