TRPGことはじめ

この記事にも書いたのですが、最近TRPG熱が再燃して初心者の方などにTRPGを布教したり、初心者相手にGMをしたりする機会が増えたので、その際に毎回説明していることや、その他TRPGについての基本知識などについてまとめていきます。
本記事はあくまでも最低限知っておくと楽しい情報をまとめるものなので、特に「TRPG史」的なものに深く踏み込んだりはしませんので予めご了承ください(魔除け)


TRPGとは

テーブルトークRPG、あるいはテーブルトップ・ロールプレイング・ゲーム: Tabletop role-playing game)とは、テーブルゲームジャンルのひとつ。ゲーム機などのコンピュータを使わずに、鉛筆サイコロなどの道具を用いて、人間同士の会話とルールブックに記載されたルールに従って遊ぶ“対話型”のロールプレイングゲーム(RPG)を指す言葉[1]和製英語

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』

ということで、平たく言えばボードゲームとして遊べるウィザードリィとかドラクエ的なものです(厳密には逆なのですが)。
ダンジョンズ&ドラゴンズ(D&DまたはDnD)というゲームが元祖と呼ばれ、元々はRPGといえばこちらを指す単語だったようです。
大まかに以下のような進行をするゲームです。(以下はd100システムを使った架空のTRPGを考えているため、実際にこういう処理をするかは別とします。)

例:
GM「あなた達の眼の前には強大な赤いドラゴンが立ちはだかった、さてどうしますか?」
Aさん「では、赤いドラゴンに弓を射掛けます!」
GM(ゲームマスター)「では<弓矢: 50%>で1d100(10面ダイスを2つ使って1~100の値を出すこと)で判定してください。」
ダイス: 1d100 -> 45
GM「ではあなたのはなった矢は命中します。続けてダメージを2d10(10面ダイスを2回降って値を合計すること)で出してください。」
ダイス: 2d10 -> 15
GM「ではあなたの放った矢はドラゴンに15ポイントのダメージを与えます」

この用に、状況に応じてキャラクターにさせる行動をPL(プレイヤー)が決め、ダイスによって結果を裁定するというのが多くのTRPGの骨子となっています(簡単な行動にはダイスは振らなかったり、ダイス自体を利用しないシステムなどもありますが。)

このような「ルール」に乗っ取りながら、PLがPC(プレイヤーキャラクター)としてロールプレイ(役割になりきること)して剣と魔法の世界や、クトゥルフ神話の世界や、コンピュータに支配された世界を冒険したり探索したり、時には戦闘をするというのが、TRPGというジャンルです。

直近の日本のTRPGの流れ

このトピックについてはあまり詳しく書くと各方面から様々なツッコミが入りそうなので、大きな流れと現状の「流行り」的なものに絞って触れます。
最近の出来事については私見が多いです。
基本的に00年代までのあたりは自分が経験していないので伝聞メインになることもご承知ください。

1980年代頃から日本でもTRPGをプレイする人はいましたが、認知は今と比べてずっと低い状態だったようです。
そこからDnDのリプレイ連載である「ロードス島戦記」が大ウケして小説まで漕ぎ着けてサブカルチャーに大きな影響を与えたり、国産TRPGである「ソード・ワールド」が発売されて一定の認知を獲得していきます。(第一次ブーム)
そこからTCGの発展などの煽りを受け、「冬の時代」ともいわれるほど認知度が低下していきますが、2010年代にニコニコ動画でTRPGのリプレイ動画(人がプレイした様子を動画にしたもの、または架空のプレイを動画にしたもの)がにわかに投稿され始めたことで、オタク層の間で認知が広がっていき、第二次TRPGブームとでも言うべき時代になりました(私はここらへんの直撃世代です。)
特にこの頃投稿された動画がクトゥルフ神話TRPG(以下CoC)が中心だったため、数あるシステムの中でもCoCが特に流行っていくことになります。
また、この頃にどどんとふといったオンラインでセッション(TRPGをプレイすること)を行うためのツールも登場し始めました。
2020年に入るとコロナ禍によりオフラインでのセッションが実質不可能になり、危機に陥りましたが一方で、家で出来る趣味の需要が増加し、またDiscordやココフォリアなどオンラインでプレイするための環境も更に整い始めた影響で、結果としてプレイヤーは第二次の頃より増えているように思えます。
また、配信者がTRPGをプレイする配信を行ったり、シナリオ作者が自らGMする様子を配信して宣伝に用いたりする流れも広がり、自分ではプレイしない層にも存在は届くレベルまで広がっているのが現在です。

TRPGの魅力

TRPGは、通常のデジタルRPGと違い、プレイするために高価なルールブックを書い、シナリオを用意し、プレイする環境(オンラインなら例えばココフォリアのルームなど)を用意し、そしてプレイする友達を用意しなければ遊べません。ではなぜそこまでしてTRPGをやるのでしょうか?
以下は私がTRPGをプレイする理由です。

一期一会のプレイが出来る

TRPGはデジタルゲームと違って、同じシナリオでもプレイする人によって過程や結末が千差万別なのが魅力の一つです。
基本的にTRPGのシナリオはその性質上、一人に付き一度しかプレイできない事が多い(ネタバレなどがあるため)ので、一度のプレイでそれぞれが何を考え、どう行動するのかが人によってかなり異なります。
そういった一期一会のプレイで「今日はどんな冒険に出会えるだろう」とワクワクするのが楽しいのです。

自由度の高さ

TRPGでは、PCが現実的に可能なあらゆる行動が(セッションをより面白くするなら)容認されます。
例えば、鍵のかかった扉を力でぶち破る、ピッキング道具を持っているなら<鍵開け>で開ける、NPCを<言いくるめ>して協力させるなど……
シナリオが用意されている以上、ある程度逸脱しそうになったらGMが止めに入りますが、逆に言えばGMと同席しているPL(そしてダイスの女神)が容認するならそれは可能な行動となるのです。(あくまでも「セッションが面白くなる行動なら」であり、自分勝手な行動が容認されるわけでは有りません。)

キャラクターを演じること

Roll Playing Game の名の通り、TRPGではロールプレイが大きな楽しみの柱となっています。
ロールプレイとはなにか、様々な説明や人による認識があり、一概に「これ」ということは出来ませんが、一般にTRPGの文脈で「ロールプレイ」という場合、ざっくりキャラクターを演じることを指す場合が多いと思います。
キャラクターを演じるとは、なり切ってセリフを喋ったりすることだけでなく、「キャラクターの行動」として、ゲーム中での行動を宣言したりすることを指します。例えば、あなたが探偵ならば殺人事件が起きればその調査に執着を見せることでしょう。そういったキャラクターの背景や性格を考えてプレイをすることも、TRPGの楽しみの一つです。
普段の自分では出来ない性格、職業にするのも、逆に現実の自分に限りなく近いキャラクターを作って非日常に飛び込ませるのも、全てはあなたの自由なのです。

TRPGを取り巻く環境

前の記事にも書いたので詳しくはそちらを見ていただきたいですが、現代の日本のTRPGはオンラインセッションが中心の文化になってきており、それをサポートするようなツールも続々と出てきています。以下に代表的なものを列挙していきます。

Discord

言わずとしれたボイスチャットツール、オンラインでのコミュニケーションに最適。

ココフォリア

TRPGをオンラインでプレイするための「紙とペンと駒」の役割をするwebアプリ、ダイスを振るのはもちろん、テキストチャット機能やBGMを再生する機能など取り揃えている。

ユドナリウム

ココフォリアと類似のwebアプリ、こちらは立体的なマップを用意したり、マス目戦闘がし易いなどが特徴。自分でサーバーを立てることも出来るが、公式で用意されているサーバーもある。

TRPGをやるには?

TRPGを遊ぶために必要なものを紹介します。と言っても、必須のものはあまり有りません。

ルールブック

プレイするためのルールやキャラクターの作成方法が書かれた本で、基本的に全員所持する必要があります。
システムによって(CoCなどPL側のルールが難解ではないもの)については、GMの好意でPLはルールブックを不要としたり、オフラインなら皆で一つのルールブックを共有することもあります。

プレイするためのシナリオ

GMがアドリブで回したり、自作したりするのも良いですが、公式シナリオ集や、同人シナリオを購入してプレイすることも多いです。
基本的にGMだけ所持していれば大丈夫です。

(オンセなら)オンライン環境

PCやネット環境、通話のためのマイクやヘッドセットが必要になります。
ココフォリアがスマホでも操作でき、Discordもスマホアプリがあるのでスマホでもなんとかなる場合が多いですが、基本的には音質やココフォリアの安定性の観点からPC環境を用意できると良いでしょう。

友達

非売品。
ボードゲームである以上、プレイする仲間が必要です。
リアルの友達がいなくても、今はX(Twitter)などで募集していたり、Discordのコミュニティが立っていたりするので積極的に参加してみましょう。

代表的なシステム

TRPGを遊ぶためには、「ルールブック」と呼ばれるルールを纏めた本が必要になります。TRPGのルールブックは各社から様々な世界観やシステムを持つものが発売されていますが、本記事では独断と偏見で、有名所と言えるようなシステムに付いて軽く紹介していきます。

クトゥルフ神話TRPG(CoC)

CoCは日本で最も有名と言っても過言ではないほど普及しているシステムです。
H.P.ラヴクラフトの小説をもとに様々な作家が設定や世界観を広げて作品を紡ぐことで生まれた「クトゥルフ神話」の世界観を舞台に、「探索者」となって神話的事象に巻き込まれるというコンセプトになっています。
特徴としては正気度(SAN値)と呼ばれるステータスを用いたシステムで、神話的存在に遭遇したりするとSAN値チェックと呼ばれる判定を行い、失敗するとSAN値を失っていき、最終的には発狂してしまうことになります。
日本で最も流行っているだけあってBOOTHでは万単位の同人シナリオが販売されており、そのジャンルも戦闘から探索、いわゆる「うちよそ(自PCと他のPCの絡みを楽しむもの)」やPC同士の戦闘を行うものなど、本当に様々です。(中にはクトゥルフ神話からかなり離れているものも……)
人口も多く、(GMをやらないなら)ルールもシンプルで入りやすいため、初めてプレイするならおすすめしやすいシステムです。
紙のルールブック以外に、アプリでサブスクリプションでルールブックを読むことも出来ます。
「クトゥルフ神話TRPG(6版)」と「新クトゥルフ神話TRPG(7版)」と2つの本が出ていますが、今から購入するなら7版を購入することをおすすめします。

エモクロアTRPG

2021年に登場したルールブック完全無料の国産TRPGです。
日本でCoCの有名なシナリオを書いてる人たちが開発に携わっていることも有り、CoCをより洗練させて世界観を広げたと言ったイメージのシステムです。
世界観としては「怪異」と呼ばれる超常の存在がいる世界で、「共鳴者」達は怪異による不思議な事象に巻き込まれていく……といったものです。
特徴としては「共鳴」と呼ばれる怪異からの影響度合いを表す値があり、共鳴があがると感情に影響を受けたり、「逸脱」と呼ばれる日常に帰ってこれない状況になってしまったりします。
二次創作にも非常に寛容で、ガイドラインを遵守している限り自由にシナリオを作成することが出来ます。そのおかげか、まだ歴史が浅いにも関わらずかなりの数の同人シナリオも出ており、人口も多いためこちらも初心者におすすめと言えるシステムになっています。

ダンジョンズ&ドラゴンズ(D&D)

D&Dは最も最初のTRPGのシリーズで、現在は第5版と呼ばれる版が発売されています。
剣と魔法のファンタジーを舞台にしたTRPGで、有名なロードス島戦記も元はD&Dのリプレイ小説だったりします。
ファンタジーだけあって戦闘に重きを置いたシステムになっており、いわゆる「RPG」らしいゲームプレイを楽しむことが出来ます。

ダブルクロス

ダブルクロスは、戦闘をメインにした国産RPGの一つで、いわゆる「厨二病」的な世界観とシステムが特徴になっています。
PCたちは「レネゲイド」と呼ばれるウイルスに感染した「オーヴァード」と呼ばれる超能力者であり、能力を悪用する「ジャーム」と戦うというのが大筋のコンセプトです。
戦闘システムや能力も特徴的ですが、何と言っても特徴的なのは「ロイス」と呼ばれるPCと他のキャラクターの「関係性」を表すステータスで、あるNPCやPCに対してどういう関係なのか、相手に抱く「表の感情」「裏の感情」はなにか、といった事を設定することが出来ます。
この「ロイス」は戦闘中に「昇華」することで、攻撃に使う判定のダイスの数を増やしたり、死亡状態から蘇生したり、特殊な効果を得ることが出来ます。これにより、「オーヴァードが感情の昂りによって力を増す」という設定をシステムで再現しています。
ダブルクロスはサプリメント(追加のルールブック的なもの)も多く出ていたり、基本ルールブックの時点で参照するデータが多かったりと初心者向けとはいい難いですが、個人的には非常に好きなシステムです。
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その他

一つ一つについて説明していきたいのですが、ものすごい量になってしまうので、残りの有名どころといえるシステムは列挙していきます。

  • ソード・ワールド

  • アリアンロッド

  • シノビガミ

  • パラノイア

  • etc…

ここにあげたもの以外にも個性的なシステムや、アニメやゲームをモチーフとしたシステムもあるので、ぜひ色々と調べてみてください。

最後に

今、TRPGはかなり認知が広がってきた遊びだというふうに感じております。
そんな中で、「TRPGをやってみたい」「何となく知っているけどどういうものか気になる」といった人たちにこの記事がなにかの参考になれば幸いです。
皆、TRPGをやろう!


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