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ブランドとファンの「素敵な距離感」

長年、ソーシャルメディアを中軸にブランドとファンをつなぐ仕事を支援してきて、痛感することがあります。

それは、ブランドとファンの「素敵な距離感」の難しさです。

ブランド側は、極限までファンとの距離を詰めたがる。先週よりも今日、週に1度よりも2度3度接触したいし、頻繁ないいねやリプライをもらいたい。

ブランドコミュニティであれば毎日のようにログインしてほしいし、こちらからのお題には応えて欲しいし、積極的な投稿を望む。

イベントにも来て欲しい。商品も買ってもらいたい。たくさん買って年間のLTV(Life Time Value:顧客生涯価値)も極限まで高くなってほしい。

商品やサービスを使ったら、TwitterやInstagramに投稿してほしい。好意的なレビューやレコメンドを拡散してほしい。新規顧客として友だちを連れてきてほしい。

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僕らは毎日約5,000回程度の広告に接触すると言われます。

コンビニには3,000種類の商品があり、スーパーには2~3万種類の商品が並び、GMSに行けば10万種類の商品が「買って!買って!」と訴えてくる。

僕らの家にも、数千アイテムの商品があると言われます。

その中には、大好きな商品もあれば、習慣で買い続けているものもある。

商品だけではありません。

僕たちは毎日さまざまなサービスを利用するし、いろいろな場所やお店に行く。

それらの大多数が、僕ら「顧客」と密接な関係をつくりたがっています。極限まで距離感を縮め、年間購入金額を最大化し、ソーシャルで拡散して、次の新規顧客を紹介して欲しがっている。

これ、どう考えても難しいですよね。

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脳科学者によると、僕ら人間は、一日の85%を自動運転で生活しているそうです。脳はとても優秀なので、「あなたは日常生活の中で、この選択をしていればだいたいOKですよ」というショートカットをたくさんつくってくれるという。

だから僕らは、毎日ほぼ何も考えなくても、朝起きたら顔を洗い、歯を磨き、着替え、身支度をして駅に向かい、同じ時間の電車の同じ車両に乗り、いつものコンビニでいつものお茶を買って職場に着く。その間、ほとんどの時間は、何か別のことを考えている。

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僕らには好きなモノやコトがあります。

たとえば、僕は、ロードバイク、山登り、キャンプ、DIY、鎌倉ライフが大好きです。

ブランドなら、ロードバイクはピナレロ、サイクルウェアはパールイズミとアソス、アウトドアウェアはパタゴニアとノースフェイスとマムート、普段着はBAYFLOW、スニーカーならアシックス、ヴィンテージランタンはコールマン、電動工具はマキタ、ビールは(断然!)ヤッホーブルーイングが好き。

じゃあ、それらのブランドと四六時中一緒にいたいかというと、申し訳ないが、毎日ベタベタ交流したいわけじゃない。

知りたいときだけ知れれば良いブランドもあれば、メルマガは受け取りたいブランド、SNSアカウントでつながっておきたいブランド、年に1回のイベントは絶対に行きたいブランド、その距離感はさまざまです。

これが、「普通に生きる消費者の普通」ではないだろうか。

もちろん、全顧客の1%~30%程度、熱狂的な顧客は存在する。ハマっている、夢中だ、ゾッコンだ、というレベルのお客さんです。

でも、そんな熱狂的な顧客であっても、毎日、濃密なコミュニケーションをしたいわけじゃない。いたとしても、それはものすごく少数だし、持続可能性も高いとはいえない。

ブランドとファンの間には、カテゴリー関与度やファンの熱量に応じた「最適な距離感」がある。

また、同じ熱量でも、好きなブランドとの関わり方にも、人によって大きく違いがあります。

調査に答えたい人もいれば、社員と交流したい人、ファン同士でつながりたい人、イベントに行きたい人、新商品開発やサービス改善に関わりたい人、商品やサービスの素晴らしさを広める手伝いをしたい人、本当にさまざまです。

そのことについては、『熱狂顧客戦略』の著者である高橋遼氏が下記noteで詳細にわたる考察をしている。ぜひご一読いただきたい。

超高度に成熟した現代社会におけるブランドマーケティングは、広義のコミュニティマーケティングに近づいていく。

ここでいうコミュニティとは、クローズドなオンラインコミュニティや、定期的にイベントなどで集まる仲間や場を言うのではありません(それは狭義のコミュニティです)

広義のコミュニティとは、ブランドが持つ哲学や、実現したい世界観、目指しているビジョンに共感し、消費欲や所有欲を超えたBE欲求とでも言える精神的、自己実現的なつながりを持つ心理的状態や物理的な場を指す。

仮に、ブランドマーケティングのゴールが、哲学やビジョンによって求心力を強めることで広義のコミュニティを形成し、そのコミュニティを持続可能な状態で保全・拡大していくことだとするならば、そこに価値共創者として参画するファンの関わり方は、もっと多様で良いのではないか。

ブランドとファンの距離感は、人によって違って良い。同じ人でも、近いときもあれば、少し距離があるときもある。

でも、長い間、ブランドの(広義の)コミュニティ構成員として参画してくれ、価値を共創してくれる。そんな素敵な距離感の関係が生まれ、持続することができたなら、ブランド担当者も、ファンも、もっと自然体で幸せになれるんじゃないか。

そんな想いから、今日、新しいサービスが生まれました。

その名も、MO.ME(モム)。モーメントとメメントからつくられた造語です。

自然体。持続可能。心地よさ。

ちょっぴりマッチョで肉食的な(?)マーケティングコミュニケーションを、僕らが信じるアプローチで、少しずつ変えていきます。

ご期待ください。

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▽MO.MEサービス詳細

▽プレスリリース

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