【POP VIRUS/星野源】の現場で起きた親子の絆を感じた話

本日12月12日、星野源さんのPOP VIRUSのMusic PVが公開されました。

PV内に出演している外国人キャストのキャスティング担当させて頂きました。

キャスティング依頼の相談を受けたのが撮影1週間前。

タイトすぎるスケジュールで、撮影日直前まで人を探していましたが、

たくさんの人の協力により、無事にキャスティングすることができました。
(様々な方に相談させて頂きました。この場を借りて御礼をさせて頂きます。)

撮影は想像以上にスムーズに終わり、星野源さん初め、プロデューサー、監督にも喜んで頂いたのでほっと一安心でした。


そんな撮影の裏で、僕にとって心に残るシーンがありました。

今回の外国人キャストは30人。
控室に全員入るとキャスティング資料には載っていない
黒人のおばあちゃんが一人。

「あなたはどこから来たんですか?」

「私は息子に呼ばれてきたのよ。カナダのケンブリッジに住んでるの」

と少し噛み合わない会話。

すると、キャスティングしている黒人の男性が現れ、

「彼女は私の母なんです。今日本に一時的に来ていて家に一人で置いておけないから連れてきた。迷惑かけないから控え室で待たせてもらえないか。」

追い出すわけにもいかないので、プロデューサーに状況を説明し、控室で待機してもらうことに。

そうは、言っても撮影は頭から終わりまで約12時間想定。


そんなに一人で待っていられるのかな、と思いながら、

現場と控え室を両方見れる位置に。

予想通り、撮影中盤になると、僕のところにやってきて

「私の息子はどこにいるの?もう家に帰ろうと思うの。ここに居てもやることがないから」

と。

撮影の合間まで話し相手になり、休憩に入った時に息子さんに、

お母さんがそう言っているよと伝えると

「Oh Gosh…」

と少し疲れた顔を。

ここでさすがだな、と思ったのは、

息子さんがお母さんに声かける時の第一声が

「How are you Mom?Everything is okay?」
(お母さん、調子はどうだい?全部いい感じかい?)

と大きな笑顔と優しい口調で話しだす。

その後、お母さんを諭し、

また控え室で一人で座って待っているお母さん。

だが、少し経つと

「私の息子はどこなの?一目みて私はカナダに帰るの」

と何度も聞いてくる。

ここでやっと会話がうまく成立しなかった理由がわかった。

彼女は恐らく認知症なのだと。


何とか会話を続け、控え室で待ってもらっていたが、

撮影の終盤になると、我慢できなくなったのか

「息子に会いたい」と現場スタジオに走り出す。


撮影現場を中断させるわけにもいかないので、

何とか制作スタッフの皆さんの邪魔にならないよう静止していたのですが

プロデューサー始めスタッフ皆さんが様子を察してくれ

「現場の近くに椅子を置いてそこで座ってみてもらって大丈夫ですよ」

と優しく言って頂いた。

そこに座ってからは息子さんの顔は見えるし、

休憩の度にすぐに息子さんがすぐに駆け寄って話し相手になれるから

おばあちゃんもニコニコ笑いながら大人しく待ってくれました。

撮影も問題なく進行。

結果、予定よりも早く終わり、大きな拍手に包まれて無事撮影終了。


息子さんからは何度も何度も

「母のケアをしてくれて本当にありがとう。本当は終日待ってもらえるか不安だったけど、あなたのお陰で母もこうして楽しんで待ってくれた。心から感謝する。」

と握手&ハグされる僕。彼の役に立ててよかった、そう思えました。


撮影終了後の帰り道、

7年前に亡くした母を思い出し、生きてたら会いたいなぁと

ちょっと寂しい想いと親子の絆の暖かさを感じながら帰路につきました。


僕はこの曲を聞く度にこの親子の事を一生思い出すでしょう。

星野源 POP VIRUS

曲も素晴らしく素敵なので、改めて、ぜひ聞いてください。

Yuzo



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