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乳がんになりました

経緯:2023年11月〜2024年1月

2023年11月初旬のこと。ここ何年か受けていなかった乳がん検診を乳腺外来のクリニックで受けたところ、マンモグラフィーには映らない小さな腫瘍が、超音波検査で右の胸に見つかりました。細胞診の結果、がんの疑いが濃厚となり、続いての組織診(針生検)で乳がんが確定したのが 12月1日。それから小川町の日赤病院に紹介状を書いてもらい、乳腺外科を受診し、MRI と CT を撮るなど詳しい検査を受けました。その結果、12月14日に確定した正式な診断名が以下のとおりです。

浸潤性乳管癌
ステージ I
腫瘍の大きさ:0.6cm(T1a)
リンパ節転移なし、多臓器転移なし。
ホルモン陽性、HER2陰性(ルミナルA)
Ki-67:3%
組織グレード:2

乳がんのことをよく知っている人ならこの時点で、私のがんがいわゆる「おとなしい顔つきをした」がんであることがお分かりだと思います。がんの疑いがあると言われてからの6週間は不安で仕方なかったけれど、これでかなり安心してしまいました。

そんなに急ぐ必要もなかったのですが、年明け1月9日に手術しましょう、ということになりました。初期がんだし、温存手術だし、家に近い病院で治療を受けたかったので、セカンドオピニオンなどは考えませんでした。

予定通り、手術前日の1月8日に入院。ところが翌朝、点滴につながれ、センチネルリンパ節の位置もマークし、いよいよ手術室へ、という段階の最後の検温で 38.4度の熱がありました。入院時の PCR検査は陰性だったのですが、インフルエンザも流行ってるので念のため調べましょうということになり、抗体検査をしたところ、なんとコロナ陽性というまさかの結果が。おいおい。

COVID に罹患した状態での手術は、重症化や合併症のリスクが高まるのでできないだけでなく、その後も4週間は手術不可とのことで、家で寝ててください、と言われて即退院し、すごすごと帰宅しました。

どうやら夫からうつったようですが、幸い夫も私も軽症で済み、熱もそれ以上にはならず、咳も出ず、喉の痛みも軽く、味覚や嗅覚の障害もなく、発症から4日後にはすっかり元気になっていました。が、とにかく4週間は手術できない宙ぶらりんの状況に。仕方なく、普通に生活しながら手術を待つことになりました。

いざ、手術:2月6日

1月の末に再度担当医師の診察を受け、仕切り直しの手術は、当初の予定からちょうど4週間後の2月6日ということになりました。今度はインフルエンザで延期… なんてことにならないように、入院前の数日は神経質になりました。そして入院した手術の前日はなんと大雪。手術当日に執刀医師が出勤できない、なんてことにならないか? とヒヤヒヤしましたが、 今回はアクシデントなく、手術は2時間ほどで終了。腫瘍と、腫瘍が転移する際に最初に辿り着く「センチネルリンパ節」を摘出し、その場で行われたセンチネルリンパ節生検の結果、転移も見られず。これで一安心です。入院は1週間が目安と言われていましたが、手術の翌日にはスタスタ歩いて看護師さんが目を丸くするくらい元気なので、手術後4日目に退院のお許しが出ました。

というわけで、退院後の自宅でこれを書いています。

実は私の周りには、初期の乳がんを克服して元気にしているサバイバーが何人もおり、私もごく初期にがんを発見できたので、そんなに心配はしていません。でも今回のことで、検診の大切さを痛感しました。あなたが女性なら、乳がん検診は受けましょうね。それもマンモだけじゃなくて超音波検査もね。

私の場合、この後の治療としてはホルモン抑制療法と放射線治療のみで、抗がん剤は必要ありません。もともと自覚症状があったわけでもなく、現在もいたって元気です。とは言えこれは、これまでの生活を振り返り、再発を防ぐために何ができるかを考える良い機会です。実は家族に同じ乳がんを罹患した経験のある者もいるので、遺伝的な要素があるのかもしれないとは思いますが、食生活や運動を含む普段の生活習慣、それに、ストレスになっていたのかもしれないことの検証も必要だと感じています。

当事者目線で考える「医療大麻とがん治療」

さて、これを読んでいる方たちの中には知ってる人もいると思いますが、私は普段、医療大麻に関する教育と啓蒙の活動をしていて、その中に、がん患者さんの治療を、日本で合法的に手に入るカンナビノイドでサポートする、という仕事も含まれています。2017年に立ち上げた一般社団法人GREEN ZONE JAPAN という団体の活動の一部として PCAT という患者会を運営し、会のメンバーさんの中にはがんの患者さんが何人もいらっしゃるのです。

(残念ながら日本には、がん患者に医療大麻を使った経験のある医師は皆無に等しいので、シアトルで 15年以上にわたってがん患者を医療大麻を使ってサポートしているコンサルタントのアドバイスを受けながらのサポートです。)

それらの患者さんの中には乳がんの方もいらっしゃいますし、大腸がん、肺がんからの脳転移、白血病など、さまざまながんの方がいます。そしてその方たちがカンナビノイドの恩恵を感じていらっしゃるのを、私は直接目にしています。もちろん私も、がんの可能性が高いことがわかったその日から、CBD 400mg と CBG 400mg を摂り始め、診断が確定してからはそれを倍増しています。

今までは「がんの人」を「がんじゃない私」がサポートしてたわけですが、これからは私も当事者です。そして、当事者になってみると、これまでは患者さんから聞いていたいろんなことがこれまで以上に切実に感じられるようになります。たとえば、

  • カンナビノイドが使えることのありがたさ。

  • カンナビノイドを安く手に入れられることの重要性。

  • 主治医に相談することの難しさ。

  • 日本で THC が使えないことの理不尽さ。

当事者になったからこそわかること、共感できること。それをうまく役立てながら、今後もがんの治療に医療大麻を取り入れている方たちのサポートを続けていくつもりです。

正直なところ、自分が乳がんになったことを公開するのはずいぶん迷いました。もともと私生活を SNS で赤裸々に綴るのは苦手ですし、サポートしている患者さんに不安を与えたくなかったからです。でも、医療大麻の必要性について患者が声を上げることが大切、と普段から言っているのは私だし、隠していては伝えたくても伝えられないことがあります。

そんなわけでこの note は、自分の治療についての備忘録であると同時に、がんと医療大麻について思うこと、学んだこと、体験したことをつらつらとお伝えしていく場にしたいと思います。



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