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「共産党の本質はシロアリ」~衆院3補選”野党共闘”のウラ実態、展開されるもう1つのドラマ 松崎いたる


【画像① 4月28日施行の衆院補選では立憲民主党候補を日本共産党などが自党予定候補を下して共闘するスタイルが展開された。東京15区(江東区)では、立憲公認の酒井菜摘候補を社民党、共産党、れいわの一部が支援した。また「市民連合」的な立場で都知事選”常連候補”宇都宮健児弁護士も応援にかけつけていた。写真は告示前日に東陽町駅前で街頭演説した左から宇都宮氏、櫛渕万里衆院議員(れいわ)、福島みずほ参院議員(社民)、酒井候補、田村智子共産党委員長・参院議員、蓮舫参院議員(立憲)」。】





4月28日に実施された衆院3補選(長崎3区、島根1区、東京15区)は、自公与党側の不戦敗(長崎3区、東京15区)やパーティー券裏金問題などの逆風という”敵失”の要素により、立憲民主党公認候補がいずれでも勝利した。そして、そこでは日本共産党とのさまざまな摩擦を経ながらも、「背に腹は代えられない」事情で成立した”野党共闘”が展開され、これも支持率は決して伸びていない立憲民主党を勝たせる上での重要な要素となった。


しかし、勝ったとはいえ、この経過が本当に先々の立憲民主党にとってプラスになったといえるのか?
この度の衆院補選で繰り広げられたウラのドラマを振り返りながら、元日本共産党板橋区議団幹事長の松崎いたるさんが”野党共闘”の真の意味を考察した(以下)。



◆「立憲共産党」と呼ばれた選挙協力に目くじらを立てる日本共産党幹部





先に行われた衆院3選挙区での補欠選挙(4月28日投開票)では、立憲民主党が全勝した。裏金問題などの政治腐敗の批判を受けた自民党が2つの選挙区で候補者を立てられないなど、立憲の圧勝は、いわば敵失の要因も大きいが、もう一つ、日本共産党が予定していた独自候補を選挙直前に取り下げるなど、実質的に立憲候補を支援したことも、大きかったといえる。



立憲民主党と日本共産党のこうした選挙協力を「立憲共産党」と呼ぶ人が多かった。共産党は、立憲の勝利を我が事のように大歓喜する一方で、「立憲共産党」という呼称には目くじらをたてている。



同党の山下芳生副委員長は、3選挙区すべてで立憲の候補者が当選した報をうけ、次のようにX(旧ツイッター)に投稿した。



「衆院3補選すべてで立民が勝利、自民は議席を失いました。裏金事件など末期的状況の自民党政治に有権者の明快な審判が下りました。維新代表による『立憲共産党』『立民を叩き潰す』『共産は日本に必要ない』など民主主義否定の姿勢も有権者に跳ね返されました。さあ、市民と野党の共闘で新しい政治を」(@jcpyamashita
4月28日)



【画像② 立憲民主党の3補選での勝利を「わがことのように喜ぶ」X発信をした日本共産党の山下芳生副委員長。】





維新の馬場伸幸代表が「立憲共産党」と呼んだことが「民主主義否定」だというのだ。「立憲」+「共産党」=「立憲共産党」ということに過ぎないのだが、この等式のどこにも「民主主義否定」の要素はない。


共産党は何が言いたいのか。補選の最終盤の4月26日に、立憲の野田佳彦元総理と共に、東京15区(江東区)に応援に入った小池晃共産党書記局長の演説を聞いてみよう。



「(対立候補は)なんだか立憲共産党だとか、そんなことを攻撃し始めてるんですね。こんなことしか言えないのか。だいたいみなさん、酒井なつみさん(候補者)は立憲民主党ですよ。そしてお隣にいる野田佳彦さんはもう誰が見たって立憲民主党ですよ。そして私、小池晃はおそらく誰が見たって日本共産党ですよ。違いははっきりしているんだ。でも違いがあったとしても、もうこんな裏金政治は終わりにしなきゃいけないんですよ。だからその違いを超えて力を合せているんじゃありませんか。みなさん、これが民主主義だと私は訴えたい。違いがあってもその違いを乗り越えて力を合せて政治を変えていく、それが民主主義の社会の当然の姿ではないでしょうか」



この演説を聞くと、どうも共産党は立憲との違いがあるのに一緒くたにされていることに立腹しているらしい。



もっとも共産党の小池氏の隣に立ち演説した立憲の野田氏は「違い」を強調せず、次のように訴えている。



「(自民党を)反省させなきゃいけないんです。反省をさせることのできる一票というのは市民と野党が共闘して、金権政治は許さないという覚悟を持ったチームの一員じゃなくてはいけない…同じチーム」



しかしながら、立憲民主党と共産党の関係は、違うもの同士の協力なのか同じチームなのか、はっきりしない。



【画像③ 日本共産党の小池晃書記局長(左)は立憲民主党の野田佳彦元首相と共に東京15区で酒井候補の応援演説を行った。4月26日。酒井候補の右後ろには、”都知事候補常連”の宇都宮健児氏もいる。おそらく、この選挙での「立憲共産党」共闘は、宇都宮氏を立てる形で7月の都知事選でも再現されるかもしれない。】





両党の協力関係が「立憲共産党」と呼ばれることに対して、共産党の志位和夫委員長(当時、現在は議長)は「『立憲共産党』という悪口がある。確かに酷い悪口だ」(@shiikazuo
·2023年9月21日) とか、「『立憲共産党』といった公党を侮辱するレッテル貼りの攻撃も行われ」た(2021年11月27日、第4回中央委員会総会での幹部会報告)などと、反発してきた。
先に引用した山下副委員長のXへの投稿は、これらの志位氏の言説を繰り返したものだが、共産党内で「立憲共産党」の呼称は「悪口」「反共攻撃」として浸透していることを示している。



◆「共産党」という名前自体が持つ”悪い意味”




「立憲共産党」が悪口になるには「共産党」という名前自体が”悪い意味”を持っていることが前提になっている。世間には共産党や共産主義は、全体主義や独裁主義と結びつき、個人の自由が許されない抑圧政治体制と同じだと捉えられている。



【画像④ 「『立憲共産党』は酷い悪口」と言った日本共産党の志位和夫議長。しかし、「悪口」になるのは共産党という名前のイメージが悪いからではないのか。】

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