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トランプ前大統領、ゼレンスキー氏の招待に「米国はウクライナをあきらめる」と返答~ドイツ・ショルツ首相も”匙を投げる”兆候…ウクライナ戦争


【画像① ゼレンスキー氏にとって、トランプ氏は現役大統領の時から手ごわい相手だ。大統領時代のトランプ氏は、米国からウクライナへの軍事援助中断の可能性をチラつかせたことがしばしばあり、政治問題化もしたからだ。2019年9月25日、国連総会の際に会談したゼレンスキー、トランプ両大統領。】



◆ゼレンスキー大統領、トランプ氏をウクライナへ招待?


ウクライナ戦争でのゼレンスキー大統領の立場は、年末に向け日々悪化しているのが明らかだ。先週は、来年の大統領選に向けてヒートアップが始まりつつある米国で、自分がトランプ陣営vsバイデン陣営のせめぎあいの真ん中に入ろうと企図したのか、「トランプ氏をウクライナへ招待」する意向を明らかにした。



「ウクライナのゼレンスキー大統領がこのほど、米国のトランプ前大統領を自国に招待した。トランプ氏は来年の米大統領選で自身が勝利すれば、ロシアによるウクライナとの戦争を24時間以内に終わらせることができると主張していた。…ゼレンスキー氏は(11月)5日放送の米NBCとのインタビューで、トランプ氏の主張を疑問視。…その上で、トランプ氏がウクライナを訪問した場合、24分あれば同氏にこの戦争を処理するのは不可能であることを説明できると発言。トランプ氏が和平をもたらせない原因はロシアのプーチン大統領にあるとも指摘した」


「トランプ氏は今年5月、CNNの取材に答え、ロシアが全面侵攻を開始した時点で自身が大統領だったなら、戦争は起きていなかっただろうと発言。自分が大統領に再選されれば、プーチン氏やゼレンスキー氏との会談を通じ、1日で紛争を解決できると語っていた」


(参考)「ゼレンスキー氏、トランプ氏をウクライナに招待 『和平もたらすのは不可能』」2023/11/7 CNN(日本語版)

https://www.cnn.co.jp/world/35211171.html


トランプ氏は、ゼレンスキー氏の「招待」申し出について、「今は適切な時期ではない」と断ったようだ。このことに関連し、ロシアのリア・ノーボスチ通信がいくつかの情報を取り上げて伝えている。




【画像② トランプ前大統領は、5月10日、CNNが中継する集会で「自分が大統領だったらロシアがウクライナに侵攻することは決してなかった」「自分が再び大統領に返り咲いたら、24時間以内にウクライナで和平を取りまとめてみせる」と述べた。会場で「ウクライナ紛争で誰に勝利してほしいのか」と問われると、誰の味方か明言せず「私は勝ち負けではなく、事態を落ち着かせる観点で考えている」「みんな死なないでほしい」と答えた(BBC報道、2023/5/12)。】



◆「アメリカはウクライナをあきらめる」~トランプ氏


「【モスクワ、11月12日、リアノーボスチ通信】 ウクライナのウラジーミル・ゼレンスキー大統領は、交渉のため、アメリカのドナルド・トランプ元大統領に連絡を試みている。『Strana.ua』(ウクライナのオンラインニュース)が報じた。…それによれば、『トランプ氏は現在、ウクライナへの支援に反対しているアメリカ議会下院を(共和党が多数派であることを通じて)事実上コントロールしている。ウクライナ大統領府はそれを理解した上で、トランプ氏とゼレンスキー氏との直接対話を実現しようとしている』という」


「『Newsmax』によれば、トランプ氏は、『ウクライナ訪問は現在適切ではない』として、それを断っており、『アメリカはウクライナをあきらめる』とも指摘。その証拠として、マスメディアにおけるウクライナ報道はすでに下火になっていることを挙げている。…西側の各マスメディアでは、すでに(各国世論が)軍事対立に疲弊していることが報じられ、ゼレンスキー政権への支持も弱まっている。『New York Times』紙は、ウクライナが弾薬不足に直面する中で、バイデン大統領はウクライナに対するのと同様に、イスラエルに対しても支援を約束しており、現在ウクライナ軍が不足に直面している軍事物資は、イスラエルに必要とされる可能性を指摘している」


(参考)「ゼレンスキー大統領、トランプ元大統領に連絡試み」2023/11/12 リア・ノーボスチ通信(ロシア語報道)

https://ria.ru/20231112/zelenskiy-1909019901.html




【画像③ ガザ地区の街区で掃討作戦を展開するイスラエル国防軍歩兵部隊。イスラエルでの紛争勃発は、西側諸国にとって行き詰まったウクライナ戦争への支援を後回しにするきっかけを与えたといえる。】



ガザ暫定地区からのハマスの奇襲に端を発したイスラエルでの戦争に、最も近しい同盟国への支援を米国は表明しており、行き詰まったウクライナ戦線よりも支援の重点が置かれそうな雰囲気は否定できない。そこで、ゼレンスキー氏はそれを牽制するため、現政権の対極にあるトランプ・共和党陣営に揺さぶりをかけようとしたのだろうが、トランプ氏はあからさまに「ウクライナをあきらめる」と述べ、ゼレンスキー氏からのSOSに背を向けた訳だ。


一方、欧州ではこれまで最も熱心にウクライナ側を支援してきたポーランドが軍事支援にも難民受け入れにも消極化するのに続き、ドイツでも先行きを見てウクライナのゼレンスキー政権を見放すような動きが生じつつある。



◆ショルツ首相がプーチン大統領との対話を模索


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